アルジェリア人質事件で安倍政権が背負った重荷

2013年01月25日 13:45

犠牲者の遺体と生存者が無事羽田空港に到着した。これと併せて政府は犠牲者10人の氏名を公表した。これで一旦は日本国中を震撼させたアルジェリア人質事件も幕引きである。


しかしながら、安倍政権が新たに重い課題を背負ったのも今一つの事実である。

そもそもの話であるが、日揮は今回の惨劇に懲りてアルジェリアから撤退してしまうのであろうか? それとも歯を食いしばって契約したプラントをの工事を続行し、予定通り完成さすのであろうか?

私は後者以外日揮の取るべき道はあり得ないと思っている。そして、この決断は民間企業日揮としての「テロには屈しない」と言う何よりも強い世界に向けて発信されるメッセージとなる。

安倍政権がテロと戦う日揮を支援せず、日揮が再びテロの餌食となる様な事があってはならない。その為には、今回浮かび上がった問題を整理し、具体的な解決策を策定する必要がある。

先ず第一は、現地大使館の情報収集能力の問題である。今回の事件ではっきりした事は、外務省や現地大使館がアルジェリア政府にもイスラム組織にも、如何なる情報源、情報ルートも持っていなかった事である。

約一年前に外務省に見る小さな政府の欺瞞 で、この外務省や在外公館の問題を指摘した経緯がある。

ODAは商社やコンサルタント会社に丸投げ、在外邦人の管理、掌握は現地日本人会に同様丸投げと言うのが現地大使館の実態である。

彼らの説明としては、こういったルーティンワークは「民間」に任せ、自分達は高度に専門的な機密情報の取得と情報ルートの構築に注力するといったものであったはずである。

しかるに、今回の如き「いざ鎌倉」とでもいうべき肝心の時に全く情報が取れない!

大使館は「邦人の安全確保」のために高い経費をかけている訳であるが、この経費はそもそも一体何に使われているのか?

「特命全権大使閣下」は毎日何をして過ごしているのか? 高額な「機密費」の使途は?

大使館の問題は何もアルジェリアに限った話ではないが、日揮が請け負ったプラント建設を再開すると言うのであれば「邦人の安全確保」に何の役にも立たなかった大使館を放置して良いとは思えない。

今回の事件をきっかけに、大使館と外務省の在り方を抜本的に見直すべきと思う。

今一つの課題は「邦人の安全確保」のための自衛隊活用を具体的に検討する事である。

今回、安倍首相はアルジェリア政府に対し人質の安全確保を最優先とする様要請したが無視され、アルジェリア正規軍の日本人から見れば拙速とも思える軍事行動によってテロは壊滅した。これが多数の邦人に犠牲が出た背景である。

仮に、安倍首相の要請に対しアルジェリア政府より内々、「自国政府軍は人質の安全を確保しつつテロを殲滅する様な高度な軍事技術は持ち合わせておらず、テロ実行犯を取り囲み逃がさぬ様にするので日本より特殊部隊を派遣して欲しい」と、逆に頼まれる展開となっていらた、却って苦慮したのではないか?

今回の日揮に限らず、多くの日本企業がリスクが高く生活が厳しい地域で企業活動を展開している。そして、その結果、金を稼ぎ、企業は法人税を納税し、一方従業員は所得税や住民税を納税すると共に、決して軽くはない社会保障費を負担している訳である。

こういう日本企業や日本人を政府が見捨てたり、見殺しにして良い訳がない。

テロが勃発して相手国から要請があったり、或いは許容された場合は速やかに「邦人の安全確保」のため自衛隊を派遣出来るシステムをなるべく早期に構築すべきである。

上記は安倍政権が本物なのか? 或いはまがい物なのか? を占う試金石になると思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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