柏崎刈羽原発問題は国が態度を決め、知事は大人の対応をせよ --- 岡本 裕明

2013年07月07日 17:50

東京電力の新潟県柏崎原発6、7号機の再稼動申請にかかる最大のハードルの一つとされた地元首長への説明。7月5日に東電、広瀬社長が柏崎市、刈羽村、新潟県を訪れ、その申請にかかる説明を行いました。結論からすると予想通りの厳しい内容でした。

特に注目されたのが新潟県泉田裕彦知事と広瀬社長の会談であり、メディアのトーンは平行線といった書き方になっています。原発再稼動の是非は別にしてこの二人のやり取りをベースにこの両者のポジションを分析してみたいと思います。


まず、会談のプロセスですが、東電が社内の決定機関である取締役会での決議を経て再稼動申請を決議、その上で社長が新潟県に挨拶に行くという流れをとったのですが、泉田知事はこのプロセスが気に入らなかったのがありありと表れています。その上、秘書が泉田知事とのアポイントをとるのに「就任挨拶」ということになっているが、実態は原発再稼動申請のお願いではないか、という完全なる感情論が先行してしまいました。

この点は東電の体質が一向に変わっていないことを物語っています。つまり、「まずは社内」なのです。そして機関決定しないと地元説明すら出来ないという役所以上の融通性のなさが今回のまずさを物語っています。広瀬社長の説明も申し訳ないのですが、しどろもどろでへたくそと言いたくなります。言い方は悪いのですが東電の上から目線も透けて見えます。

想像ですが、東電は先に中央政府との会談を済ませ、地元を後回しにした可能性があるように見えます。結果としてこれが感情論ばかりが出た実のない会談結果を生んだのだろうと思います。

一般企業や外交交渉ならば実務ベースでの話が先に進んで、最後にトップ同士がけりをつけるというのがシナリオです。ですが、屏風である広瀬社長が最初から登場しなくてはならない形にしたのはいかにもまずかったと思います。屏風の後ろには何もない、だから実務ベースで詰めるだけ詰めて残った問題点をトップ同士が決着つけるというのがスムーズなやり方なのです。しかし、泉田知事は広瀬屏風が最初から気に入らないですから会談はしても気持ちをシャットアウトしてしまいました。その点は沖縄の知事のスタイルに似ています。

次に泉田知事の対応ですが、正直、人気のある知事さんですが、この頑なな対応が果たして正しかったのか、という疑問は残ります。会談の端々に出てくる信用できない、約束を守らないの類の言葉での応酬は三流の夫婦喧嘩のようでした。つまり、知事が感情的になりすぎて知事として必要な情報を得、冷静なる分析力、判断力を指し示し、東電に対して論理的に対応しているとは当然思える内容ではないのです。あの内容で県民にどのような報告をするのでしょうか?

つまり、私からすればこの会談は両者とも稚拙さが出てしまった、と見えるのです。その点では柏崎市、刈羽村とのやり取り方がまだしっかりしています。

では解決方法ですが、仮に政府が本気で安全なる原発の再稼動は認めるというスタンスを貫くのであれば政府が泉田知事に話をつけざるを得ないと思います。それは国の方針であり、それを運用するのが東電である、というポジションの入れ替えが必要です。広瀬社長は真摯に地元説明を続ける必要はありますが、氏では解決できない気がします。

泉田知事に聞いてみたいのは仮にこの申請者が東電ではなく、他の電力会社だとしたらどういう態度をとったのか、ということです。同じではないような気がいたします。だとしたら個人的感情が知事としての判断を凌駕したかもしれませんね。

本件は実に微妙な案件です。東電の経営が申請の判断基準かといえばその通りに決まっています。ですが、そこには多額の国のお金が投入されていて、東電は経営が国のコントロール下に置かれ、その自由度はないのであります。ですから泉田知事の東電の責任云々は国の責任と言い換えてもよいことになってしまいます。

地元の声なき声も聞かなくてはいけないでしょう。泉田知事には大人の態度と判断を期待したいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年7月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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