「身近さ」をよりアピールする「LINE」の強み --- 岡本 裕明

2013年08月22日 11:08

LINEといえばスマホの無料電話アプリの代表格。日本での登録者は4700万人で海外を含めると2億3000万人にまで伸びてきました。日本のスマホは急速に普及しつつあるも今だ25%程度に留まる中で4700万人の登録というのは計算が合わないのですが、ほとんどのスマホ利用者がLINEのソフトをダウンロードしているという点では疑う余地はなさそうです。


なぜLINEか、といえばひとつには急速に伸びてきた無料通話アプリを使い、通話料を節約するという背景がアプリダウンロードの最大理由であることは間違えありません。ではどのアプリを使うか、という点において通話相手が同じアプリを持っていることが前提ですので最も普及しているアプリにより利用者が集まるというのは自明の理であります。

日本で有名な無料通話のアプリといえばLINE、カカオ、COMM、VIBER、スカイプといったところだと思います。私はカカオとVIBERを使うのですが、LINEは必須だろうと考えています。結果として日本ではLINEの完勝と言っても良いでしょう。ヤフーと提携しているカカオは実は韓国ではほとんどの人が使うアプリ。私がVIBERを使うのは日本とカナダのやり取りで音質が最もクリアでストレスなく通じるからでしょうか?

そのLINEが近々ビデオ通話、ネット通販、音楽配信を行うことを発表しました。ネット通販はつい先ごろ、カカオも発表したばかりで無料通話アプリを使って事業の成長戦略を描く構図が明白になってきました。こうなってくるとすでにLINEの最大の収入源であるゲーム課金にもプラスの効果が出てくることは間違えありません。

何故この変化に注目しているかといえば人々のライフにまた一つ新たなる変化を加えたということであります。携帯を持つ→携帯でネットやメール、ゲームをする→スマホを使う→スマホの無料通話アプリを使う→そのアプリのサービスを使う…という変化であります。変化が起きるたびに必ず振り落とされる業界、ビジネスがあり、積み上げたビジネスストラクチャーがいとも簡単に崩れることに恐怖すら感じます。

例えば今、悩みを抱えるのがグリーとDeNA。プラットフォーム型ゲームとして一世を風靡したものの先日にはゲームソフト15社がスマホ向けゲーム開発で提携し、グリー、DeNAは更に窮地に立たされる結果となりました。

LINEの強みは多くの人が同じアプリを通じて繋がっているということで音楽配信にしろ、ネット通販にしろ画期的な販売方法と販売促進が期待できるのではないでしょうか? 例えば、可能かどうか別として友達の購入履歴が見えたりすることで「○○さんもこれ買ったんだ」「○○君と同じ音楽ダウンロードしたい!」という感じでしょうか? これはフェイスブックなどでもみられなかった一歩進んだ個人行動に基づくセールスの促進に繋がることになるのです。

先日、バンクーバーでラジオを聞いていたら消費者がモノを購入する最大の決め手になるものは何か、という質問に対しフェイスブックの答が最も多い結果となりました。つまり、人々は案外、企業側が発するセールストークよりも身近な人などのコメントにより信頼性、信憑性を感じているともいえるのです。ならば、LINEのように電話番号で繋がっている人々、つまり、双方がそれなりに良く知っている関係であればなおさらその意味合いは強くなるということなのだろうと思います。

そうなってくれば無料通話アプリは基本的には一強の時代が来るはずです。DeNAが開発しているコム(COMM)が苦しんでいるのはどれだけ内容やソフトが優れていても今から4700万人のLINEに対抗するのはあまりにもハードルが高すぎるということなのです。一方でカカオのように日本ではまずまずでもスマホ天国の韓国で圧勝しているところは問題ありません。自分の城を築けるかどうかにかかっているともいえるのでしょう。

我々の生活のプラットフォームもどんどん変化していく一方でビジネスの厳しさを感じないわけにはいきません。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年8月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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