さすがに五輪決定で休刊日はマズくねー?

2013年09月09日 22:00

今朝、郵便受けに行ってみると、日経が入っていない!
あっ、そうか。今日は新聞休刊日だったのか……。いや、待てよ。東京五輪決定の大ニュースのあった翌日に朝刊が無いだとー!?……というのは、半分冗談で休刊日であることは、前日までにFacebookで誰かが書いていたので知ってたよ。しかし、この歴史的な大ニュースの日に号外を配って終わりというのは、さすがにマズイんじゃないか?そもそも新聞休刊日とは何なのか?デジタル大辞泉の定義ではこうある。

日刊の新聞が発行されない日。多くの新聞社がおよそ月に1日、新聞配達員の休養のために設定し、新聞の発行を休む。新聞休刊日。◆スポーツ紙・夕刊紙などは宅配分は休刊となり、駅売り・店売り分は発行されることが多い。

というわけで基本的には、販売店のためだ。一応、11年、新聞業界にいた人間として補足しておくと、新聞社も全社的に休業。もちろん事件事故警戒で休日出勤している社会部や地方支局の記者は当然いるし、スポーツ記者は日曜や祝日に大概試合があるので休刊日でも当然休むことはない。編集局の当番社員以外にも、印刷工場やITシステムのメンテナンス作業を行うことが多い。ま、それでも新聞社は大体、年間休日がフルに休めても105日(11年いて100日休めた例がないけど)と他の業界よりは少ない。ぶっちゃけ、私のようにサボるのが大好きな(苦笑)人間にとっては、数少ない休める計算の立つ日でもあるので、デートの予定を入れたり、実家に帰ったりとか、重宝させてもらいました。勝谷さんがよくメルマガで休刊日批判をするけど、ご出身の週刊誌だってお盆と年末年始は「合併号」などと“手抜き”をしているし、「お互い様じゃない?」って記者だった頃は、恨み節も覚えたものだった。

※一日遅れでの開催決定報道(9日付・日経夕刊)
130909休刊日論考

しかし、そんなサボリだった人間でもこう思う。今回の休刊日を“断行”したのは、さすがにヤバいんじゃないか?そもそも五輪開催地を決めるIOCの総会スケジュールは突発事案ではなく、とっくの昔に決まっていたイベントだ。しかも東京のほかには候補地は、マドリードとイスタンブールのみと競合が少ない。強敵のアメリカの都市は参戦しておらず、東京招致が実現する確率が高くなるのは容易に想像できたはずだ。

休刊日スケジュールはたしか一定のルールがある(1月は元日、8月は第2日曜の翌日…等、朝日のサイト参照)。もちろん国政選挙が入れば当然キャンセルだ。仮に安倍さんが今月下旬に突然、衆院を解散して今年11月の休刊日前日である10日に選挙を実行すれば、もちろん新聞は発行するわけだ。「五輪はスポーツイベントに過ぎない」という反論もあるだろうが、2002年の折はサッカーW杯が行われる6月は休刊日を設定しなかった。

今年喜寿を迎えるウチの父親なんかインターネットをやらない。新聞を読み物としてだけでなく世間の動向を知るツールとして「生活必需品」にしている高齢者は多い。またPR的な観点から言うと、五輪招致成功の裏側をある程度掘り下げた分析記事をいち早くお届けすることが新聞を読まない人たちに、存在感を示せるチャンスだったはずだ(営業的にはダメ元でもやらないよりはいい。新聞社のネット記事は基本的に紙面に連動しているのでストレートニュースの速報以外に担当記者が書いた分析記事は休刊日に電子版に掲載されることは稀だからだ)。

●軽減税率適用を求める以上・・・
新聞協会は今年に入り、軽減税率適用を求める声明を出し、先頃も“外部有識者”でつくる研究会の意見書で再度、軽減税率適用の意義を強調している。その意見書の中には、ネットニュースの普及など激変する情報環境の変化を認めながらも、このような自信と自負に満ちたくだりがある。

(前略)…情報を相互に関連づけて読者の理解を促す総覧性など、従来の新聞固有の機能は、ネット上のニュースにはいまだ多くを期待できないことも指摘できる。もし、インターネットの情報サイトなどで見た情報のみを世のニュースだと信ずるならば、情報摂取の偏りが生じるなど、恐ろしい事態を生み出すことになることが容易に想像できる。つまり、新聞がニュースの伝達の主役の地位を譲り渡せるような代替媒体の存在を社会に認めることができない。

五輪は単なる世界運動会ではない。畏れ多くも今回は皇族を事実上、担ぎ出してまで政官財が総力を挙げた国家プロジェクトであり、日本で半世紀ぶりに夏季五輪招致が実現したのである。ニュースの伝達の主役を自負するなら、休刊日を予定通りに行ったことを読者にどのように説明するのだろうか。現場の記者から疑問の声があったと信じたいが、経営陣は、なぜ国政選挙と同様に休刊日の変更を決断しなかったのか。

●マーケットインの発想を
そもそも、休刊日という発想自体が実にプロダクトアウト的だ。しかしメディア市場の環境が激変しているのは、意見書でも述べられている通り。新聞を読まない若者はもちろん今や企業の広報担当者ですら、ヤフートピックスが伝播力においては“国内最強のニュースメディア”だと認識し始めている。読者ニーズと社会的影響力から逆算したマーケットイン的な発想が、新聞の役割を見直させる礎になるのではないでしょうか。サボリ癖があって、特ダネが取れなかった筆者でも社会人の基礎を鍛えてもらった恩があるだけに、今は一市民として危惧を持っております。

では、そんなところで。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
新聞業界には恩義は感じております
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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