経済格差発生の様々な要因 ~ カナダの例 --- 岡本 裕明

2013年11月11日 12:41

経済的格差の問題はこの数年、急速に持ち上がったと思います。99%と1%といった表現が北米を中心に大きく広がり、世界は革新政権が大きく伸びました。経済格差についてこれほど注目されたことはありませんでした。ではなぜ、今なのか、いくつかの国ごとにそこに迫ってみたいと思います。今日はその第一弾として移民国家カナダを考えてみましょう。


カナダ、バンクーバー。ここには年間4万人以上の移民という「新参者」が新たに居を構えていきます。カナダの他の地域から温暖な気候や環境を求めてやってきたリタイア層などもいますが、多くは世界有数の住環境から多くの移民層にとっての憧れの地となっています。

しかし、移民しても仕事にありつけるチャンスは非常に低いといわざるを得ません。理由は語学能力もありますが、カナダの仕事のやり方に精通していないハンディを背負っているからであります。フィリピンからの多くの移民は大学卒でエンジニアや会計の仕事に携わっていた能力ある人たちですが、実際には清掃関係などその能力とはまったく違った業務についている人を多く見かけます。理由は本国での専門能力をほぼ生かすことが出来ないのです。エンジニアでも会計でも法律でも医療看護でも不動産業でも制度が違えば資格を取り直さなくてはいけないのです。そして、そこにはカナダ仕様の英語の試験が待ち構えています。カナダの人とある程度差しさわりのないビジネス上のやり取りができることが条件になるのです。そしてこのハードルが実に高いのです。結果として何年も意図しない仕事をしているうちに自分の持ち合わせた夢は薄くなり、消えていきます。

バンクーバーは北米でも有数の高額不動産の街です。高級住宅街で1億円で物件を探しても選択肢が少ないとすればそこに住む人と住めない人の格差は何でしょうか? それはもともといた人たちと外から来た人たちの違いではないかと思えるのです。移民政策が安定しているカナダにおいてコンスタントに年間4万人がくれば10年で40万人という規模になります。メトロバンクーバー圏の人口が230万しかいないなかでどれだけのインパクトがあるかお分かりいただけると思います。

かつてバンクーバーでビジネスをしていた人たちは資源なり農業なり、林業なり、観光業なり外向きの事業に対して少ない地元だけの人口で対応していました。つまり、ビジネスが少人数で回りやすい環境があったのです。ところがグローバル化はビジネスに競争原理を持ち込んだと同時に人が増え、結果としてライバルが現れやすい環境を作りました。そこには激しい競争とビジネスの果実の縮小化が発生します。BC州が長くカナダでもっとも最低賃金が低い州のひとつだった理由は移民が多いことで安い労働が溢れていたことがあげられるでしょう。

これは使う者と使われる者の圧倒的格差を生み出します。つまり、カナダにおける格差は移民政策がもたらしたという原因は数多く語られる経済格差の要因においてカナダ独特の理由とみてもよいのだろうと思います。カナダの格差は移民の増大によるダイリュージョンから発生したことは無視できないのです。

経済格差は世界共通の問題と各国が抱える特徴の組み合わせではないかと思います。続編としてアメリカ、そして日本を考えていきたいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年11月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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