冤罪事件の暗黒

アゴラ編集部

死刑囚として刑務所に入り、48年間という長期にわたり無罪を訴え続けた袴田巌氏が3月27日、事件が起きた静岡地裁の再審決定で東京拘置所から釈放されました。静岡地検は、東京高裁に拘置停止に対して即時抗告したんだが、高裁はそれを棄却。すると、さらに地検は31日、再審の判断に即時抗告を出した。これにより、東京高裁の即時抗告審で再審開始の決定について再度、審理されることになります。


死刑囚など重罪事件の再審の場合、裁判所は捜査過程によほどの疑義が明らかにならないと決定を出しません。古くは1952年に死刑が確定し、1983年に無罪となった免田事件から、最近では無期懲役の判決に対して無罪が下された足利事件や布川事件など、多くの冤罪が起きています。そのどれもが、犯人とされた本人が終始一貫して否認し続けたり、支援者らの地道な活動や粘り強い再審請求によって勝ちとられたものです。

今回の「袴田事件」についても、警察や検察の取り調べ過程での証拠などの「捏造」が明らかになり、さらに足利事件のように取り調べ当時の稚拙なDNA鑑定技術が疑われた結果、裁判所も再審に動かざるを得なかったわけです。例えば、事件当時、袴田氏の同僚がアリバイを証明していたのに検察がそれを揉み消すどころか、逆に真犯人であることを裏付けるように書き換えていたことが発覚したり、味噌樽から発見されたとされる着衣の血痕が、DNA鑑定により袴田氏のものではないことがわかったことなど、ずさんで悪意のある捜査が明るみに出てきました。

1992年に福岡県で起きた「飯塚事件」では、本人や弁護側が冤罪を主張していた元死刑囚に対し、2008年に死刑が執行されています。いまだに元死刑囚の妻や弁護側が活動を続け、3月31日に福岡地裁へ再審請求を出している。しかし、それを地裁は請求棄却。これも捜査当時のDNA鑑定技術が争点になっているんだが、裁判所は検察の過ちを認めません。

死刑が執行された後も冤罪を立証しようとするのは、ひとえにその人の名誉を回復したいからこそ、と思うんだが、日本の司法はそれを一蹴し、取り付く島もない。捜査当局の沽券を死守し、自らの無謬性を保持しようとしているようにしか見えません。井上陽水の歌に『人生が二度あれば』というのがあるんだが、死んだ者は生き返らない。

「袴田事件」の場合、48年というギネスブックにも掲載されるような長期間、いつ死刑が執行されるかわからない恐怖と隣り合わせで生きてきたんだと思います。死者と同様48年という年月も取り戻せません。この国の司法は、国民の権利より自分たちの無謬性のほうが大事なんでしょう。これは人ごとではない。瓜田に履を納れずとも、泥をなすりつけられるかもしれない。取り返しのつかない冤罪が、いつなんどき、あなたの身に降りかかり、犯人に仕立て上げられてしまうかわかりません。

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袴田事件で唯一助かった長女が死去!再審決定翌日に遺体が発見される!果たして偶然か?


3,300-Year-Old Tomb with Pyramid Entrance Discovered in Egypt
livescience
エジプトのピラミッドの入口付近で、3300年前の一般人とおぼきし一家の石棺群が発見された、という記事です。ファラオ、つまり王家の墓は有名なんだが、一般人がどういう埋葬をされたのか、まだ不明だった。石棺内は盗掘されていたものの3、4人の男性、10人から12人の女性、少なくとも二人の子どもの遺体があったらしい。石棺の外側にエジプト文字が刻まれ、その判読から古代エジプト第18王朝最後のファラオだったホルエムヘブ(Horemheb、在位:紀元前1323年~紀元前1295年)の父か兄だったのでは、と考えられています。ホルエムヘブは元は軍人で、前の王の娘をめとり、その王が指名した後継者を逐って自分が王位に就いた人物。なので、その父や兄は一般人です。複数の女性が埋葬されているため、当時は一夫多妻制だったのでは、という説に信憑性をもたらす発見だそうです。

ほとんどの人が本当の自分の顔を知らない!?|自撮りの時は別の顔
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自意識、というのは誰にでもあります。他人の視線も大事なんだが、自分で自分がどう見えるか、というのも気を遣う。携帯端末にカメラがつき、誰でも自分で自分を撮影するようになりました。しかし、この記事によれば、それは「仮の姿」らしい。他人に見せている自分の顔や表情を自分で垣間見る機会はあまりありません。意外な姿にギョッとするかもしれない。録音した自分の声を聴くと違和感があるもの。同じようなことが外見にも言えるんでしょうか。

どこかが深いところでへんになった日本
生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ
世が世ならノーベル賞も、と言われている日本の分子生物学の泰斗が書いているブログです。今は沖縄の大学で研究生活をおくっているらしい。その先生が、佐村河内騒動やSTAP細胞事件など、昨今のニュースについて感想を述べている。やはり、論文については理系研究者らを中心にかなり神経質になっているらしい。STAP細胞についていえば、理化学研究所がどういう処断をするのか、しないのか、またこうした事象が特殊な例ではなく、日本で一般的に広く進行しているのでは、と危惧している。STAP細胞事件では渦中のキーパーソンの一人、理化学研究所の笹井芳樹氏が沈黙を続けていることについて言及しています。

Container rethink: Ooho team cooks up water holder
PHYS.ORG
スペインといえば、すでにないんだが伝説的なミシェラン三星レストラン「EL BULLI(エルブジ)」が有名です。スペイン人というのは、ときどきおかしなことを考えるもので、これは可搬型の新しい水容器の提案。ゼラチンの膜でジェル状にした袋に水を入れる。外側の膜も食べることができるらしいんだが、これで何か料理が作れるかもしれません。「designboom」というところが作った技術。香港の広東料理レストランへ行くと、フカヒレとスープを同じような膜に包んで出してきたりする。最初は白っぽい球体で何かと思うんだが、箸で突くとパッと弾けて中からフカヒレが出て皿の上に広がります。だから中華料理には、こういうのすでにあります。


アゴラ編集部:石田 雅彦