日朝合意後の韓国の「複雑な心境」 --- 長谷川 良

2014年06月02日 09:06

韓国聯合ニュース5月31日ニュースランキングトップ記事は「日朝合意に複雑な心境 、韓米日協調への影響」だった。

「日朝合意発表から約5時間後に韓国政府当局者が表明した政府の立場は、人道的な次元で日本人拉致問題に対する日本の立場を理解するとしながらも、北朝鮮の非核化問題に関しては対北協調を持続させる必要性を強調した」
「そして外交の専門家からは『北朝鮮核問題が大変微妙な時期での日朝合意が、国際協調、韓米日協調の弱体化につながらないことを願う』との意見もある」


この記事を読んで、少し事実誤認を感じる。「国際協調、韓米日協調の弱体化につながらないことを願う」は大切だが、現在の日韓関係の険悪化は韓国側の執拗な「正しい歴史認識問題」に関連した反日攻撃であった点には何も言及されていない。都合のいい時、「国際協調」という言葉を使用しても説得力に欠ける。

実際、産経新聞電子版によると、米バージニア州フェアファクス郡に設置された慰安婦碑の除幕式が30日、行われている。同碑には、「『20万人を超える女性と少女が、強制的に性的奴隷にさせられた』など、史実を歪曲された文が刻まれている」という。米国内で反日活動を展開させながら、「日米韓の協調」と叫ぶ気持ちを理解することは容易ではない。

中央日報日本語電子版は「北朝鮮の対日接近には、韓日米協調を揺さぶろうという意図があると見なければならない。安倍内閣としては北朝鮮カードで、日本の歴史認識問題を声を合わせて批判してきた韓中を牽制しようという側面がなくはない」と指摘している有様だ。

一方、朝鮮日報日本語電子版(31日)は「北朝鮮は韓国の拉致問題にも対応すべきだ」という記事を掲載している。

「統一部の金義道報道官は30日、定例のブリーフィングで『朝日合意で重要なのは人道的部分で、韓国にも拉致被害者や離散家族の問題がある。北朝鮮は、拉致被害者や高齢の離散家族の再会問題に直ちに呼応して乗り出すべきだ』と語った。韓国政府によると、北朝鮮は6・25戦争(朝鮮戦争)当時およそ8万人の韓国国民を北に連れ去った」

これこそ韓国側が日朝合意直後、叫ばなければならない点だ。韓国政府側が安倍政権のように自国の拉致犠牲者の解放のために努力してきたかを自省すべき時だからだ。

日本人拉致問題は人道問題だが、政治的問題であることは否定できない。政治的解釈や対応が出てくるのは仕方がないが、韓国側が国際協調、日米韓の協調を叫び、日朝合意に難癖をつけるのは「品格」のない業だ。もちろん、日本側も北朝鮮の意図を冷静に分析して交渉に臨まなければならないことはいうまでもない。

相手の喜びを心から喜ぶことができるのが真の友人だが、日韓は残念ながら真の友人関係からはほど遠い。韓国側が日朝合意を自国の問題のように心から喜ぶならば、日本人は感動しただろう。これまでの反韓感情も吹っ飛んだかもしれない。韓国側は日本人の心を掴む最高のチャンスを「複雑な心境」で葬ってしまったのだ。残念でならない。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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