外国人が日本へ「リピート観光」しない理由 --- 岡本 裕明

2014年06月17日 12:20

訪日外国人の2000万人、3000万人を目指すプロジェクトの一環として成田と羽田を、東京駅を中心に直結する路線計画が具体化してきています。この計画自体は10年近く前からあり、ここにきてようやく具体化してきました。一つにはアベノミクス、一つには訪日外国人1000万人突破、一つには羽田の国際空港化の弾みでしょう。

計画自体について利便性が確かに良くなることは否定しませんが、インパクトや効果としては正直、疑問視しています。


外国人の利便性とは何でしょうか? 日本で計画されているインフラ整備などの計画は日本人の目で見ています。しかし、外国人の意見とは案外全然違うところにあったりするものです。

例えばこの羽田~成田の直結路線の計画は誰の為でしょうか? 私は外国人のための利便性ではなく、丸の内に近辺の人たちの利便性以外に思いつきません。成田からの羽田での国内線乗換を容易くするという意見もあるでしょう。しかし、成田からの地方空港への便数は着実に増えています。春秋航空も成田から佐賀、高松、広島路線を就航させる計画です。それ以外の国内乗継であれば羽田着の国際線も増えており、利便性という意味では羽田と成田の二枚看板を使い分けることでうまくワークしていくと思います。

では、私が気がつく外国人が喜ぶアイディアやサービスとは。

成田空港のJR乗り場前。そこにはひときわ目立つ長蛇の列。それはJRパスという外国人がJRを一定期間乗り放題できるバウチャーをチケットに交換する窓口があるところです。外国人が外国の空港にきて必ず思うことは二つ。一つは通関手続きがスムーズであること、もう一つは荷物がきちんと出てくることであります。そして荷物を取るまでのプロセスが外国人はどうしても長くなりがち。ようやくそこを通過できたと思ったらJRパスで再び長い列なのです。窓口がせいぜい2つ。何故増やさないのか、これは不思議です。

では「国際空港羽田」の場合はどうなのでしょう? 窓口は何と18:30で閉まってしまうのです。羽田空港の到着便はかなり遅い便もありモノレールにも乗れるのであれば、18:30とはどうにかならないものかと思います。

羽田から京急で品川に出てJRに乗り換える人は多いと思います。この時ある不便があります。それは京急とJRの間の6,7段の階段。あれは不便です。エレベーターがあるものの本来であればエスカレーターを設置すべきでしょう。また、JRはエスカレーターを駅ホームに設置していますがどこにそれがあるか表示がありません。駅のホームにエレベーターと共にエスカレーターの絵文字の方向案内設置は不可欠でしょう。

今後外国人の訪日が増えるとすればその主たる目的は観光。その人たちが泊まるホテルはどこにあるのでしょうか? ネットで見ればフォーシーズンズとかパークハイアットといった名前が人気ホテルとして並んでいますが、それはビジネス客や一部富裕層。8割以上はツーリストホテルに滞在しているはずです。そのロケーションは品川、新宿、池袋、上野といったロケーションなのですが、案外、羽田からも成田からもアクセスが悪いのが新宿、池袋エリアなのであります。このあたりに来れば羽田も成田も時間的には大差がない地域であり、成田~羽田の直通路線の新設、何か違うな、というのは実感頂けると思います。

日本が外国人観光客からなぜ人気がないのか、七不思議のひとつだと思っている人も多いでしょう。フランスは年間8000万人も観光客が来ます。レストラン、ショッピング、観光地は十分潤います。なぜ日本はその8分の1なのでしょうか? 理由をあげればこのブログを一週間書き続けることができますが、敢えて一言で言うなら外国人が不安になると言ったらどうでしょうか? 日本は「おもてなし」を含め、快適さを提供することは極めて優れています。しかし、その快適さに乗っかるまでにハードルがあるのですが、それが日本人に気がつかないことが多く、リピーターを作りにくいと思います。

北米において日本の大ファンで年に一度必ず遊びに行くという人はあまり聞いたことがありません。「Japan! Great!」だけど、そこに行きたいと思わせない何かがあります。当面はビザの緩和などで東南アジアの人々で初期の賑わいは保てると思います。しかし、フランスのような継続的な観光立国としての楽しみ方を提供するにはまず、日本人が外国人慣れする必要があるでしょう。彼らの意図と期待がどこにあるか、それをじっくり観察することから始めてみたらどうでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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