外国人観光客で儲けておけ --- 岡本 裕明

2014年11月23日 12:50

安倍総理は日本の消費が低迷していることを理由に消費税の引き上げを1年半延期することとしました。消費が低迷しているか、といえば私の感覚としてもそう思わざるを得ません。日本人の価格に対する繊細さや消費に対する慎重さは長いデフレの際にマインドとして埋め込まれてしまいましたので景気が良いから消費をする、という転換にはなりません。


よく比較されるのが80年代のバブルを謳歌した人々は今でも消費力が高い、とされるのですが、理由はそれを当然とし、その楽しさを知っているからです。では、失われた15年の人たちは楽しさを知る時がくるのか、といえば既に楽しんでいるわけで消費の仕方が違うだけの話です。じっくり選んで価値のあるものしか買わないといったスタンスの違いの話です。つまり、安倍首相をはじめ、政権の人たちがある大きな勘違いをしているのは消費の仕方が変わったのにそれを昔のように力づくで消費させようとしていることでしょうか?この新しい消費スタイルをほぼ1世代に渡って作り上げたということです。よって、政府の思惑通りの消費性向の上昇は期待できないと私はみています。

さて、それを横目に外国人の消費の凄まじさに閉口しています。先日、成田空港で少々時間があったので免税店の辺りをうろついていたところ、「秋葉原」というお菓子や電化製品を売っている店に黒山の人だかり。どうにか、中を覗くと商品の補充が全然追いついておらず、スカスカの棚がたくさんあります。中国人らしき人たちが菓子箱を5個10個と大人買いし、5つのレジ前は長蛇の列であります。この「秋葉原」という店は以前から確かに流行っているのですが、ここまで混んでいるのは見たことがありません。

池袋北口といえば今や中国人のメッカであります。このあたりを歩いていればここは何処、と思いたくなるパワーがありますし、池袋の家電量販店からも外国語があちらこちらから聞こえてきます。まさに外国人サマサマであります。

今、銀座のデパートだけは他店の売り上げ下落傾向に対して売り上げが伸びているそうなのですが、その理由が外国人の爆買いとされています。どのデパートも免税受付を目立つところに置き、中国のクレジットカードを受け付け、まさにお得意様扱いです。店員に中国人を配し、中国人客の応対に忙しそうにしています。

東洋経済の電子版によると台湾、韓国、中国から今年既にそれぞれ200万人以上の人が観光などで日本を訪れています。そして今年7-9月の旅行消費額が5500億円ですから年間にすれば2兆円ぐらい使ってくれるという事です。うち中国人の消費が7-9月というベストの夏休み時期の四半期で1800億円とのことですから年間では7000億円程度は使うのでしょう。更にその半分が土産代とされています。つまり、ざっくり年間3500億円もお土産に使ってくれるのです。成田空港の爆買いもなるほどと思います。

我々も昔経験したのですが、海外旅行に行くと親戚や近所に必ずお土産をあげます。理由は「おっそわけ」が習慣ということもありましたが「外国に行ってきた」という自慢も少し入っていたと思います。私が学生時代に貧乏旅行したころでも帰りのスーツケースは他人に配る土産がかなりの場所を占めていました。そんな時代ですから成田空港の税関でも免税枠を超える「課税」のラインがかなり多かったのですが、最近はほとんど見受けられません。事実、若い人たちが他人に配る土産を買うことはまずしないでしょう。バンクーバーの日本人向け土産物屋が今や1件しか残っておらず、それもはっきり言って流行っているとは言い難い状態になっているのはいまさら、外国土産よりちょっとした店に行けば何でも手に入る、という事もあるのでしょう。

ところが中国人の買い方は明らかに親戚、近所などに配ることを前提とした買い方です。つまり我々が忘れかけていたあの「おっそわけ」が外国人観光客によって再現されているのであります。実にうれしいことではないでしょうか?

バンクーバーにいて思うことはこの国は外国の金持ちにお金を消費させることで経済が回り、税収を上げているという事です。金持ち移民が主流の中、移民して先ず5000万円もするような住宅を買い、家具や電化製品を買い、クルマを買い、外食し、日常生活でお金を使います。この街にアジアのブラッドが入っていなかったら高層マンションもないし、街も潤っていないし、活気もなかったでしょう。

日本も同じで、外国人がお金を落としてくれることをありがたく感じるようになってきた、ということでしょう。移民は嫌だけど観光で来てくれることはOKであればこの円安もありますからぜひともそのブームがあるうちにこの消費力にあやかるべきです。日本の歴史を教訓とし、サイクルが短くなる習性を考えれば、このブームはせいぜい10-20年しか続かないはずですから今のうちに売って売って売りまくるのが得策、ということではないでしょうか?

外国人に忘れかけていたお金の使い方を教えてもらった気すらします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年11月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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