ヤフー VS LINE 〜 ニュースなハルマゲドン

2016年03月22日 09:30

ニュース戦争

どうも新田です。この前、書きそびれたLINEニュースの記者会見(17日)の感想記を書くとしましょうか。やべっ、あさっては経営陣も出しゃば…もとい出張ってくる大型カンファレンスもありますし、書いておかないと。記者会見の発表内容ですが、もうお読みになった方も多いと思いますが、ストレートニュースを知りたい方はこちら。

LINE、エンゲージメントを高める5つの機能を「LINE NEWS」に追加 | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2016/03/17/573/

“PV至上主義”から“エンゲージメント”へ――LINE、ニュース事業を強化 公式アカウントで媒体のファン作り – ITmedia ニュース http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/17/news138.html

スマホシフトで進む?ニュースの「嗜好品」化

「10代のニュースソースメディアのナンバーワンはスマホ」だという彼らのPR調査を引くまでもなく、今後ニュースの消費者と供給者のタッチポイントのスマホシフトはますます進んでいくのは衆目一致のところ。PCインターネットの主戦場だった時代はヤフートピックスが王者だったわけですが、今回発表した3つのポイントのうち、1番目に持ってきているパーソナライズ配信機能は、いつでも持ち運びできるスマホという“個人メディア” との親和性は高く、仕事や家事・育児に追われ、通勤・就寝前のスマホタイムに限られる中で、効率的に興味関心のある情報を探したいというユーザーニーズを拾えそうです。

反面、ニュースのパーソナライズ化がテクノロジーであまりに効率化してしまうと、偏った情報収集、偏った思考形成につながりかねません。食べ物と同じで「とにかく自分が面白ければいい」とばかりに好きな情報ばかりに触れていると、自身の仕事や生活に関わりのある不都合な真実を見落としたり、あるいは炎上マーケティングや陰謀論に振り回されたりして、かえって情弱を再生産しかねないのでは、という危惧を拙著「ネットで人生棒に振りかけた!」でも指摘いたしました。

しかもネット時代になって、プラットフォーム(ヤフーやLINE)がバラエティ番組の島田紳助氏のように大手を振るい、ニュースコンテンツ供給者(新聞、雑誌、ウェブメディア)が「ひな壇芸人」として差配される構造(いわゆる「島田紳助とひな壇芸人」理論)になりますと、テクノロジーベースによるニュースの“嗜好品化”がますます進みかねない気もして、政治系のニュース消費者でいえば、「ネトウヨは産経や右派論客の記事だけ、Sealdsや反原発のデモ参加者は朝日や左派論客の記事だけを、それぞれ読み込む」傾向になりかねない……と、本を書いていた去年の秋までは思っていたのですが、ここにきてLINE側がアカウントメディアを始めて、LINEニュースの門戸を今後どんどん開放していくのを見ると、「島田紳助とひな壇芸人」の構造に変化が少しは出てくるのかなと感じます。

LINEが“島田紳助とひな壇芸人”構造を変える?

まあ、LINE側としては伝統メディアのプライドをくすぐって、彼らを巻き込み、コンテンツの質や事業ブランドの向上というスケベ心が本音なんでしょうけど(笑)、アカウントメディアなら、媒体ごとで読んでもらえる可能性が増えることは、ヤフートピックスが王者となったPC時代の「島田紳助とひな壇」理論を部分的にでも崩す形となり、LINE側の意図としては優先順位は低いでしょうけど、スマホ世代にも媒体特性でニュースを読むという視点を与えるとしたら、ネットニュースの読み方を増やす意義はあるでしょう。

実際のところ、記者会見では媒体ごとの「回遊性」についての調査結果も発表。島村さん、5年前はそこらへんのウェブ会社の兄ちゃんって感じだったのに、すっかり偉くなってしまったね(笑)SNSに出た記事をクリックして訪れた読者よりも、アカウントメディア経由で訪れた読者の方が、その媒体の他の記事も見ているとのこと。伝統メディアのおっさんたちが泣いて喜ぶ「朗報」となっています。

「ローカルニュース」という主戦場

LINEニュースがアカウントメディアという形で、伝統メディアを含むコンテンツ供給者に対し、様々な優遇措置を提案して囲い込みに入ると、ヤフーニュースとの競争もさらに激しくなりそうです。その点、両者の動きを見ていて最近気づくのは、ローカルニュースへの力の入れよう。LINEは本日からアカウントメディアで全国の地方紙・ブロック紙22社がスタートしますし、ヤフーも3月1日から新しいテレビコマーシャルを開始。ニュースアプリのユーザーが出身地設定により、地元のニュースを読めるサービスを大々的に打ち出し、田舎出身の都会民によるローカルニュース需要を掘り起こそうとしてます。

まあ、ローカルニュースに力を入れるのは、安倍政権の地方創生ブームという社会的背景もあるんですが、ニュースの「ネット化」が手付かずの市場が地方の方こそ広がっているというマーケット事情もあるんですがね。

ヤフーニュースの記者会見にも2月に行きましたが、向こうがプリンスホテルのパークタワーの大宴会場を貸し切っているのに対し、LINEニュースの会見は自社の会議室というあたりが、現時点での勢力分布を象徴するのかもしれません。「信長の野望」で言うなら、関東をほとんど抑えたヤフー北条家に対し、LINE真田家は信濃統一を果たしばかりってところでしょうか。

しかし、開発時点からポジショニング戦略を駆使してのし上がってきたLINEの成り立ちを考えると、「小が大を呑み込む」のが彼らの流儀。ニュース市場のスマホシフトと合わせ、LINE側が「ヤフーから本気でニュース市場のシェアを奪ってトップに成り代わってやる」という闘志は見え隠れしております。

じゃ、あとは24日に

まあ、我々コンテンツ供給者からすれば、競争が激化し、レベニューシェアの賃上げとユーザー流入をどんどんやっていただくことで我々の懐も温まりますから、12ラウンド判定勝ち狙い的な姑息な川中島的アウトボクシングではなく、「ここが関ヶ原だ」という気迫で、お互いノックアウトを狙い、ノーガードの連打を浴びせに行く血みどろのバトルを大いにやっていただきたいものです。

とりあえず、あさってのLINEカンファレンスはニュース以外も含めた事業全体としての当面の展望を、経営陣がジョブズなりきりでプレゼンを記者席から見届ける予定。経済記者の関心はもっぱら「てめえら、いつ上場するんだ」なんでしょうけど、個人的には早稲田の放送研究会の後輩でもある舛田君の晴れ舞台を現地で見届ける楽しみもあり、どんな大風呂敷が披露されるのか、現地で激しくヲチしようと思います。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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