民主党政権の政策を否定した岡田代表

2016年05月19日 09:36

きのうの党首討論で民進党の岡田代表が、消費税の10%への増税を2019年度まで延期するよう提案して、安倍首相を驚かせた。岡田氏は野田内閣の副総理として「社会保障と税の一体改革」の三党合意をまとめた責任者だ。首相でさえ慎重な表現で保留しているのに、増税を決めた政権の責任者が前言をひるがえすのはどういうつもりか。

キャプチャ

これは岡田氏が2012年2月の対話集会で示した図だ。ワニの口といわれるように社会保障給付が増え、保険料との差額が拡大して税や国債で埋めている。このとき107.8兆円だった社会保障給付は、2015年度は116.8兆円に増え、ワニの口はさらに開いた。

岡田氏はこの対話集会で「借金をこのままどんどん重ねていって、結局次の世代にどんどん借金を増やしていけば、それはどこかで行き詰まってしまうわけで、次の世代に対して責任を果たしたとも言えない。そういう中で、まず5%を引き上げていくことをお願いしたい」と10%への増税への理解を求めた。

このときは「景気が悪くなったら増税をやめる」とはいわず、「明日の安心」や「次の世代への責任」を強調していた。その後、安倍首相は2014年11月に10%への増税を延期した。このとき首相は「再び延期することはない。景気判断条項を付すことなく確実に実施する」と断言したが、最近は「景気に配慮する」とゆらぎ始めた。

「次の世代に対する責任」を強調していた岡田氏が、党首討論でこの点を追及するのかと思ったら、逆に再延期を提案したのにはあきれた。首相の「約束違反」を追及するなら、まず岡田氏が陳謝して代表を辞任するのが先だ。

これは参院選の「民共協力」への配慮だろう(他の野党もすべて再延期を主張した)。それで共産党の票は取れるかもしれないが、民進党は自分の政権が決めた政策を否定する嘘つきだということがはっきりし、今後はどんな立派なマニフェストを掲げても、誰も信用しないだろう。

もともと岡田氏は小沢一郎氏と一緒に自民党を離党し、消費税引き上げを主張する財政タカ派だった。それがここまで堕落したのは、小沢氏の末路を思わせる。参院選を花道に引退するするつもりなら、最後ぐらい筋を通したほうが評価されるだろう。選挙目当てに政策を二転三転させて負けたら、小沢氏のように物笑いの種になるだけだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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