次期独大統領選は総選挙の予備選

2016年06月15日 11:20

少し遅くなってしまったが、次期独大統領選についてまとめておきたい。
ヨアヒム・ガウク独大統領は今月6日、2017年の再選には出馬しない意向を表明した。独週刊誌シュピーゲルなどドイツ・メディアは既にガウク氏の再選出馬はないだろうと予想していたこともあって、ガウク大統領の表明自体は冷静に受け取られたことはまだ記憶に新しい。

ガウク氏(76)は再選出馬断念の理由として「活力をもって職務を遂行することが難しくなると予想されるからだ」と、健康理由を挙げている。旧東独の元プロテスタント教会聖職者だったガウク氏は2012年3月、就任直後からドイツの戦後清算と同時に積極的な国際貢献を国民に呼びかけてきた。

ドイツでは大統領は連邦議会と16の州議会から比例代表で選出された代表によって選出される。隣国オーストリアの大統領のように国民から直接選出されない。政党が有力候補者を擁立し、投票で過半数を獲得した候補者が選出される。過半数獲得した候補者がない場合、3回目は最高得票者が当選する仕組みだ。任期は5年間。

大統領職は基本的にはオーストリアと同様、名誉職的な性格が強い。ガウク氏の場合、前任者2人、ホルスト・ケーラー(任期2004~10年5月)、クリスティアン・ヴルフ(2010年7月~12年2月)が任期満了前に不祥事で退陣に追い込まれた直後だった。それだけに、政党の枠を超えて国民の支持があったガウク氏に白羽の矢が立った経緯がある。ガウク氏も大統領職の名誉回復に努めてきた。それだけに、メルケル首相(「キリスト教民主同盟」CDU)もガブリエル副首相(「社会民主党」SPD)もその再選断念表明を惜しむのは当然だろう。

さて、新大統領選出は来年2月12日に実施されるが、同年9月には連邦議会選挙が実施される年だ。それだけに、誰が大統領府(ベルヴユー宮)の主人に選出されるかは次期総選挙に影響を与えると予測されている。すなわち、大統領選は次期総選挙の行方を予測する予備選挙の性格があるわけだ。

次期大統領選にはCDU、CDS、SPO、[同盟90/緑の党」、左翼党、AfD(ドイツの為の選択肢)、EDP(自由民主党)の7党が関わってくると予想され、コンセンサスを得る候補者の擁立は難しい。3回目の投票ではCDUとSPDの2大政党は自党擁立の候補者を当選させるチャンスはあるが、秋に実施される次期連立政権を考慮し、大統領選も他の政党との連携を模索する道を選ぶだろう。例えば、CDUは「同盟90/緑の党」、FDPの3連立、といった組み合わせだ。

現時点で次期大統領候補者を予測するのは時期尚早かもしれないが、独週刊誌シュピーゲル電子版が8人の候補者を挙げて紹介していたので、そのプロフィールを紹介する。

1)ノルベルト・ランメルト連邦議会議長(CDU)
67歳、経験豊富な政治家、大統領職に関心を表明している。CDUの中ではリベラル派でSPD,「同盟90/緑の党」、自由党からの支持も期待できる。

2)ヴォルフガング・ショイブレ財務相(CDU)
党内ではランメルト議長より支持があるが、73歳と高齢がネックだ。

3)ウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相(CDU)
57歳、女性でリベラル。大統領職より、メルケル首相の有力な後継者と見なされている。

4)ゲルダ・ハッセルフェルト議員(「キリスト教社会同盟、CSU)
65歳、難民対策でCDUとCSUの間で軋轢があった。それだけに、CDUがCSU政治家を大統領選に担ぎ出すことでCSUに懐柔のシグナルを送ることができる。

5)フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外相(SPD)
60歳、直接選挙だったら当選が可能と受け取られている。国民の中で人気は高い。ただし、本人は立候補するか否かを表明していない。

6)ユッタ・アルマイディンガー(SPD)
59歳、社会学者、ベルリン「社会研究科学センター」会長

7)マヌエラ・シュヴェーズィヒ(SPD)
42歳 家庭相、SPD副党首

8)ヴィンフリート・クレッチュマン(「同盟90/緑の党」)
68歳 バーデン=ヴユルテンベルク州首相
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【短信】  バグがウィーンに顔を見せた

英国のシンガーソングライターのジェイク・バグ(Jake Bugg)のコンサートが13日夜、ウィーン市16区であった。主催はラジオFM4だ。バクがウィーン入りし、コンサートを開くことは事前には知らされていなかった。同日朝のメトロ新聞の小記事で初めて知ったファンが大多数だった。ファンにとっては嬉しいサプライズだ。今年11月にバグのコンサートがウィーンのガソメータで予定されているが、13日のコンサートは関係者以外はまったく突然だったわけだ。すなわち、業界用語でいう‘Secret Gig‘だ。

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▲新アルバムを出すジェイク・バクのコンサート(2016年6月13日、ウィーン市内のコンサートで撮影)

バグは今月17日、新しいアルバム「On my one]を出す。バクの新曲を聴こうとファンたちがコンサート会場に殺到し、数時間前から長い列が出来た。サッカーの欧州選手権(ユーロ2016)開催中ということもあって、ファンの出足が心配されたが、全く杞憂だった。バグは新アルバムから4曲を含め、計16曲を歌った。

バグは17歳でデビュー。最初のアルバム「ジェイク・バク」が出ると、アルバムチャードでナンバー・ワンになった。神童といわれ、「ボブ・ディラン」の再現ともいわれてきた。英ロックバンドのオアシス(Oasis)のリーダーだったノエル・ギャラガ―がバグの音楽に触れて「未来の音楽を聴いた」と述べ、バグのソングを高く評価したという。

なお、バグは7月22日、日本を訪れ、新潟で新曲を披露する予定だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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