JALは羽田のハブ空港化に協力しないのか?

前回の話の続き。

羽田空港を発着するアメリカ路線の昼間枠が設定され、ANAに続きJALもそのダイヤが発表された。

JALの場合は新規路線の開設が認められないという理由で、現在は深夜早朝枠で運航されているサンフランシスコ線とホノルル線が昼間に移管されることになった。

そのダイヤだが。

サンフランシスコ線
羽田19:45発 - サンフランシスコ12:05着
サンフランシスコ14:55発 - 羽田19:20着

ホノルル線
羽田22:55発 - ホノルル11:00着
ホノルル15:45発 - 羽田19:50着

地方在住者の私としては、もうちょっと何とかならなかったのか、という印象を受けた。

もともと羽田空港の国際化は、成田に比べて羽田発着の国内線が多いことから、国内線と国際線の乗継に便利な、いわゆる「内際ハブ」として活用できる、とも言われていた。「とも」と私が書いたのは、実際には関東住民にとって便利なだけで、国内線との乗継は考えていないのが実状だからである。JALの植木社長も、かつて「国内各都市と海外をつなぐゲートウェイとして地位が向上してきており、最大限活用したい」と語っているが、今回発表されたダイヤを見る限り、首都圏から海外への需要だけしか考えていないことがわかる。

いっぽうの成田空港は、北米と東南アジアを結ぶ「際際ハブ」として機能しており、ダイヤも北米線と東南アジア線が乗継しやすいよう配慮されていることは前回書いた通りである。

 

今回のJALのダイヤを見ると、羽田発は国内線から乗継ぐことはできるが、羽田着便はぎりぎり不可能である。この時間に羽田に着いても国内線には乗継げないから、地方路線に乗継ぐには東京で一泊する必要がある。これ、せめてあと1時間半、できれば2時間前倒しできなかったのか、と思う。

特にホノルル線である。羽田発はほとんど深夜便かと言えるような出発時刻。これは地方からも乗継がしやすくていいのだが(この時間では昼間枠の意味がないのだが、強制的に深夜枠から移行させられたので仕方がない)、羽田着は国内線に乗継げる時間に何故しなかったのだろうか。

ホノルル線の利用者は、ほぼ日本国内発着の人だ。東京で乗継いで第三国へ行く数は少ない。となると、いよいよ羽田で国内線に乗継げるようにして、羽田の利便性を国全体で享受できるようにすべきだと思うのだが、どうしてこのような地方民にとって嫌がらせのような時間に着くようにしたのだろうか。

ちなみに私は深夜枠のホノルル発羽田着便を利用したことがある。当然東京に泊まって翌日長崎に帰ったのだが、できればその日のうちに長崎まで帰れるダイヤにしてくれれば、どれだけ楽か。JALも、国内線との乗継が便利なことを売りにできるよう、このホノルル昼間枠を活かして宣伝すればよさそうだが、そうしなかった。

もちろん、関東在住の上客で羽田発着のホノルル便の席が埋まるのは明白なので、わざわざ地方からの貧乏乗継客のために、貴重な羽田便の座席を融通しない方がいいことは、営利企業の経営として間違いではない。

 

JALはANAと違って羽田で国内線に乗継げることで羽田昼間枠を有効に活用している、ということを国に対するゴマスリに使えば良かったのに、と思う。

そうしなかった理由は、
1.国も本気で羽田を内際ハブとして活用させようと思ってないから、ゴマスリにならない。
2.JALは今さら国に対してゴマを擂る気がない。
という所だろう。

いずれにせよ、地方住民としては、国の金が相当羽田空港に注ぎ込まれているのだから、地方からも便利になるような使い方をして欲しいものだ。

前田 陽次郎
長崎総合科学大学非常勤講師