小池都知事はいい仕事をして見合う対価を得ればいい --- 大塚 俊哉

2016年08月09日 06:00

小池都知事が給料半減を公約に掲げたが、異論を唱える論客はいないようだ。しかし、前知事の舛添氏の金銭問題は“公私混同”であって知事の報酬の多寡ではなかったはずだ。公約通り東京五輪の予算を合理化し、待機児童を減らして安心して働ける女性を増やし、東京の経済を大いに活性化してくれるのなら、知事の報酬を逆に2倍、3倍にしても高くはない。

自己犠牲、滅私奉公という精神は日本では美徳であり称賛される。もちろん、会社のため組織のために報酬以上の仕事をしたいという気持ちが自然に湧きあがることに問題はない。そういった気持ちを皆が少しずつ共有することによって健全な社会、コミュニティを維持できるだろうし、公共心、利他的精神が子供たちに自然に芽生える教育も必要だ。都立病院医師である自分自身も、患者を診療すればするほど、手術を多くこなすほど、対価は減っていくが、医師という利他的属性がなんとかモチベーションを維持してくれている。

しかしながら、そういった精神を自分の部下や仲間にも過度に期待したり強制することが多くの悲劇を生み出している現実がある。某外食企業がブラック化し、社員が自殺にまで追い込まれたのは、社長独自の滅私奉公的メンタリティーを社員に社訓として押し付けたからだ。上に立つ者が自己犠牲的精神をわざわざ公言したり見せつけるのも無言の強制になるだろう。何よりも大きな問題は、頑張っても、残業しても、それが当たり前とされ、対価が払われない、報われない場合が多いことだ。女性にはさらに性差別という高いハードルがある。

「給料減らして頑張ります」という小池知事の公約は、一見潔さを感じるが、ある意味滅私奉公を強制するブラック企業社長のメンタリティーを支持するようなメッセージにもとれる。女性がますます社会に進出していくためには、差別なく正当に評価され報われる世の中を実現しなくてはいけない。小池新知事には、働く女性のリーダーとして見本として、いい仕事をして堂々とそれに見合う対価を手にしてほしい。

東京都立多摩総合医療センター 医師 大塚俊哉

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