米シェール産業は死に絶えることを拒否している

2017年05月18日 06:00

昨夜遅くにこの記事を読んでいて “Samson Resources” の名前が記憶の片隅の何かにひっかかったのだが、調べる余裕もなくベッドに潜り込んでしまった。今朝検索してみたら、伊藤忠が2015年6月に25%の保有株を1ドルで売却したシェール業者だった(「伊藤忠 米シェール開発から撤退 保有株を1ドルで売却」産経ニュース電子版 2015年6月24日09:25)。2011年に約780億円で25%株式を購入したが、2015年3月期には435億円の減損を計上、累積1,000億円超の損失はすべて会計上処理すみ、というニュースだった。

今朝(5月17日)あらためてFTのこの記事を読んでみた(”US shale groups refuse to down and die” by Ed Crooks around 21:00 on May 16, 2017 Tokyo time)。

要は、本ブログの読者はご存知のように、Ch-11(会社更生法に相当)申請はシェール生産が止まってしまうことではない、Ch-11が裁判所によって認められた段階で、すべての負債支払い、不利な契約の履行を停止でき、再建策を打ち出していくことができるので、「良い資産」がある会社は立ち直ることができるということの実例をEdがまとめて報じてくれているのである。

それにしてもEdは文章の組立て方が上手いなぁ。
書き出しがこうなっている。

・昨年OPEC事務局長に就任したMohammad Barkindoは、OPECにとって最大の脅威であり、21世紀のエネルギー業界最強の新勢力である中小のシェール業者との関係作りに努めてきた。「いかにシェール革命を推し進めてきたか、彼らには語るべき素晴らしい物語がある。彼らが成し遂げたことは賞賛されて然るべきだと私は思う」と2月のロンドンにおける会合でこう語った。「だが残念ながら、多くのシェール業者がいまや墓石と化している」

・OPECにとっては悪い話だが、多くのシェール業者が墓地にとどまることを拒否している。

以下は長いので要点だけを紹介しておこう。

・弁護士事務所Haynes & Boonesによると、2015~2016年に114社がCh-11を申請した。だが、ホラー映画のモンスターのように、なかなか死なないのだ。

・(114社の)中の大きい10社を取ると、8社が依然として操業を続けている。

・生産量の減少を余儀なくされている会社が多い中で、成長を目指している会社もある。Ch-11申請時の経営陣がそのまま、寛大なインセンティブを貰いながら経営を続けているところも多い。

・2014年秋にサウジが目指したのは、シェールを含めて高コストの生産者を追い出すことだったが、シェール業者はコスト削減と生産性向上とで生き残った。また、新たな資金を供給する果敢な投資家も存在したままだ。

・たとえばSandRidge Energyは昨年5月にCh-11を申請したが、10月には17億ドルの負債を削除しNYSに再上場した。2016年第1四半期(1Q16)は3億2,400万ドルの赤字だったが、1Q16には5,100万ドルの利益を計上した。Halcon Resourcesは昨年7月にCh-11、9月には再興しており、1Q16には5億6,700万ドルの赤字だったが、1Q17は1億8,000万ドルの利益を計上している。成長を目指しており、北ダコタ州で2機目のリグを稼働させる一方、いま一番ホットなパーミアン地域において8億4,000万ドルで資産を購入している。

・ただ、新しい投資家たちは短期の利益計上を強く求めているため、プレッシャーは大きい。

・Samson Resourcesは、2015年9月にCh-11、今年3月にSamson Resources 11として再出発しているが、ほとんどの資産を売却せざるを得なかった。さらに東テキサスおよび北ルイジアナでも資産を売却する方針。

・これらの動きは、財務体質の強い会社に資産が移動することになるので、業界全体として強くなるということだ。


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2017年5月17日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。

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岩瀬 昇
エネルギーアナリスト

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