イスラム指導者「反テロ宣言」の概要

2017年06月16日 11:30

オーストリアのイスラム教指導者(イマーム)が14日、ウィ―ンのイスラム教文化センターに結集し、イスラム過激派テロに抗議する「反テロ宣言」に署名した。欧州居住のイスラム教指導者たちによる「反テロ宣言」の署名は初めての試みだ。同署名式には約180人のイマームが参加し、残りはメールを通じて署名を送ってきたという。総数300人を超えるイマームの署名が集まった。

▲「反テロ宣言」に署名したイスラム教指導者たち(2017年6月14日、「オーストリア・イスラム教信仰共同体」のHPから)

▲「反テロ宣言」に署名したイスラム教指導者たち(2017年6月14日、「オーストリア・イスラム教信仰共同体」のHPから)

以下、オーストリア国営放送(ORF)のHPに掲載された「反テロ宣言」の概要を紹介する。

「反テロ宣言」の署名は、「オーストリアのイスラム教信仰共同体」(イブラヒム・オルグン会長)が提案したもので、欧州で多発するイスラム過激派テロ事件に対し、「イスラム教は平和の宗教であり、イスラム過激主義、テロ活動はイスラム教の教えとはまったく一致しない」ことを内外に宣言し、それを通じて「イスラム教の教えへの理解を促進したい」という狙いがある。オルグン会長は「イスラム教にとって歴史的な日だった」と述べている。

過激主義、暴力、テロに反対するオーストリアのイマームの「反テロ宣言」のタイトルは「全てのイスラム教徒に告ぐ、オーストリアで平和的に共存するために貢献することを願う」となっている。同時に、「世界のテロ行為を批判する」として、全てのオーストリア居住のイスラム教徒にそのために貢献するよう期待している。
署名に参加したイマームたちは寺院前の広場に集まり、「過激主義とテロに抗議することで一致した」と書かれた垂れ幕の前で記念写真を撮った。

以下、「アラーの名によって」という書きだしから始まる「反テロ宣言」を紹介する。

“もし人が一人の人間を殺せば、全ての人類を殺すことであり、一人の人間を救えば、全ての人々を救済することだ”
(コーラン5・32)

われわれオーストリアに住むイマームたちは社会のパートナーであり、オーストリアで平和的に共存するために努力を傾ける決意だ。

われわれオーストリアのイマームは

①世界中で起きているテロ、過激主義による暴力を批判する。

②イスラム過激テロ組織「イスラム国」(IS)の蛮行、テロ行為はイスラム教の教えに反するものであり、厳しく批判する。
ISテロリストはわれわれの平和的宗教、イスラム教を自身の政治的目的を達成するために悪用している。

③イスラム教徒の課題は自身が住む国の安全と平和のために積極的に貢献することであると明らかにする。

④自由は全ての人々にとって不可欠の善であり、全ての社会の課題だ。いかなる時、如何なる場所でもその自由のために努力する決意だ

⑤イスラム教は人間の尊厳を不可欠の価値と捉え、その原則に反する如何なる言動に対しても拒否する。

⑥ これに関連し、テロは宗教、民族、文化にも属するものではないことを強調する。

⑦イスラム教徒に最も願われることは、社会の様々な分野に積極的に参加し、社会に奉仕することだ。

⑧オーストリア憲法の精神を堅持する。

⑨ 青少年たちとの場では、非過激化・防止教育の重要性を強調する。

同時に、イスラム教徒を一様に批判し、反イスラム主義、民族主義的な言動に対して警告したい。それらの傾向は社会を不必要に扇動し、分裂を助長する結果をもたらすだけだ。それらは社会の過激化の温床となる。

宗教的少数派を政治的迎合主義や敵意から守ることはこれまで以上に重要となってきた。民族主義、反イスラム主義、イスラムフォビアとの戦いは、過激主義との戦いと同様、社会の課題であり、オーストリアのイマームも社会の一員として相互共助の社会建設のために責任を共有する。

預言者ムハンマドは「イスラム教徒はを人を罵倒したり殴打したりしないし、人の命を取ったり物を奪ったりしたりしない」( 出典Tirmidhi)。と言っている。

オーストリアに住む我々イマームはいかなるテロ、過激主義、暴力にも強く抗議するためこの宣言文に署名する。

なお、同宣言コピーは後日、全ての政治家、宗教指導者、社会の主要な機関などに発送されるという。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年6月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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