実行準備行為はテロ等準備罪の構成要件という説明の意味

いわゆる実行準備行為は、組織犯罪集団のテロ等準備罪の成立要件ではあるが、組織犯罪集団の構成員若しくは周辺密接関係者の犯罪の構成要件とまでは言えないだろう、というのが私の理解である。

組織犯罪集団の構成員若しくは周辺密接関係者の一人一人が実行準備行為をしなくても、計画に関わった中の誰かが実行準備行為を行ってしまえば計画に関わったすべての人間が処罰の対象となる、というのがそもそもの法の建付けなので、実行準備行為はテロ等準備罪の構成要件だ、などと法務省の刑事局長が説明しているのはどうもおかしいな、ということになる。

まあ、説明ぶりは違うが、念頭に置いていること自体は刑事局長と私の間には大した違いはないはずなので、そう大した問題だとは思わないが、私のブログにコメントを寄せていただいた「ああさん」という方が下記のような問答を紹介されていたので、念のため。

参考:国会議事録より

「○國重委員 今、刑事局長から具体的に答弁をいただきましたが、実行準備行為というのはその計画との関係で決まってくるんだ、計画と実行準備行為との関係性が極めて重要なんだという旨の答弁をいただいたかと思います。次に、この実行準備行為の法的性質についてお伺いいたします。
この実行準備行為は構成要件なのか処罰条件なのか、いずれなのか、林刑事局長にお伺いいたします。

○林政府参考人 実行するための準備行為は、計画行為とともにテロ等準備罪の成立要件でございまして、したがいまして、同罪の、テロ等準備罪の構成要件でございます。」


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。