蓮舫さんの“日本語”は美しい

2017年07月29日 11:30

日本の野党「民進党」代表の蓮舫氏の27日の記者会見をYouTubeで聞いた。日本の政界の動向に疎いが、とても興味深かった。以下は、二重国籍問題で追及されてきた蓮舫氏の代表辞任表明の記者会見の印象記だ。

辞任会見する蓮舫氏(民進党サイトより:編集部)

先ず、台湾と日本の二重国籍者だった蓮舫さんの日本語がとても美しいのに感動した。日本で成長し、仕事をしてきたから当然だが、二重国籍者ではなく、純粋な日本人の当方は長く欧州に住んでいるため、とても蓮舫さんのような美しく、メリハリの利いた日本語は喋れない。そのうえ、蓮舫さんの声は聞きやすく、隣室にいても壁を突き抜けて聞こえてくるような響きだ。よく通る声は政治家だけではなく、日常生活でも大変メリットがある。当方の声はタダ早口で声自体は内にこもりがちだから、相手は聞き取りにくい。

日本語といえば、日本の政治部記者の日本語の丁寧さにも驚いた。敬語の使い方ひとつにしても、「自分はあのような敬語を駆使した日本語はもはやできない」といった思いが一層深まった。海外に住むと日本語が美しいということは非常に魅力的に感じるのだ。

ウィーンにも日本人記者クラブがあるが、定期的なクラブ会合が日本レストランで開かれた時だ。そこで記者たちの話題といえば、「下」ネタの話題が多かったという。サービスした日本人ウェイトレスが驚いたほどだ(かなり昔の話)。それと比較すると、日本の政治部記者の言葉使いの良さには驚いた。彼らはひょっとしたらエリート記者たちで平均的日本人記者ではないのかもしれない。

さて、蓮舫氏の二重国籍問題だが、個人の情報開示、特に出自について国が強制的に開示を求めることに懸念の声があると聞いたが、当方は別の考えだ。政治家は公人だ。国の問題を担当する責任者だ。だから、その政治家が二重国籍所有者だということは考えられない。なぜならば、日本の政治家は与党であろうと、野党であろうと、日本の国益を最優先にして考えなければならないからだ。

その政治家が別の国籍をも有しているということは国家の安保問題を脅かすことにもなる。少なくとも、公人は国籍問題では必要ならばその情報を開示しなければならない義務があると考える。蓮舫さんの場合はそのケースだ。「私のケースを最後にしてほしい」といった趣旨の発言をされていたが、政治家は二重国籍問題が提起されれば、即戸籍謄本なりを提示し、疑惑を解消すべきだ。

蓮舫氏は記者会見で「昨日一日、(今後の対応について)熟考した」といわれていた。その上で27日、「緊急執行幹部会でその進退を報告した」という。参議院から衆議院への鞍替えなど、蓮舫氏が考えらえたのか。それとも、二重国籍問題の追及でオーストラリアの政治家のように辞任に追い込まれる前に一旦身を引こうと決意されたのか、本人しか分からないことだから、ここでは憶測を控えたい。

興味深い点は、記者の一人が「党内で後ろから鉄砲を撃たれ、退陣を強いられたのではないか」といった趣旨の質問をした時だ。どの政党でも党内には意見の対立がある。グロバリゼーションの時代、「多様性」という言葉は好意的に受け取られることが多いが、実際は一つの政党といっても政策も世界観も違う烏合の衆といったことが多いのではないか。

蓮舫氏は少し笑いながら、「後ろから鉄砲を撃たれたということはありません」と否定する一方、「水鉄砲を撃たれることはありますが、水鉄砲の場合、直ぐに乾きますから」と答えていた。冗談か本音か分からないが、代表職を務めていると、「鉄砲」ではないが、「水鉄砲」を背中から撃たれることはあるのだろう。

いずれにしても、野党第一党の代表辞任表明を受け、今後は新指導部の選出が焦点となる。代表を辞任された蓮舫氏は「一議員として頑張りたい」と言っておられたが、その美しい日本語とよく通る声を利用すれば、政治家以外の仕事も見つかるのではないだろうか。

欧州の政界は目下、夏季休暇期間だ。8月末から9月初めに政界は動き出す。ただし、今年は9月24日に独連邦議会選、10月15日にオーストリアの総選挙が控えていることもあって、ドイツとオーストリア両国に限っては、政治家は夏季休暇返上のホットな日々が続くことになる。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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