普通のストローを1本200円で売る方法 --- 林 けんいち

2017年09月30日 11:30

タイトルは自分が大学生時代、友人達と学園祭の屋台を出店した時のビジネスモデルです。

せっかく出店するんだから、なにか挑戦的な試みをしようと通常では売れるはずのない低原価なものを学園祭屋台の平均単価100円〜200円程度で売る事が出来るかと言う事になり、商品をストローに決定しました。

仕入れは100円均一ストア、200本入で100円のストローパックを仕入れて、それを1本200円で販売するという事になりました。

全く普通のストローです。1本あたり、仕入原価は0.5円(税抜)です。

それを200円で販売する、、、さて、売れるんでしょうか?

結果から先に言うと、初日で約1万円程売れました。

50人が買ってくれたことになります。粗利益でいうと、他の屋台と比べなかなか健闘しているほうです。

しかも学園祭は3日間あったのですが、リピーターが続出。初日に購入してくれたお客様が友人を伴い、ストローを買うためだけに再来店してくれる。。。と言ったケースもけっこうありました。

熱狂的なファンをたくさん獲得する事も出来たのです!!!

『商品が悪いから物が売れない』なんて話を周りから良く聞きます。でも、僕はそんなふうに考えた事はありません。この時に知ったのです。

工夫次第で売れない物なんて存在しないと言う事を!

だってストローです。原価0.5円のただのストローです。それが1本200円でどんどん売れていくわけです。『商品が悪いから物が売れない』と言ってる人で、これより悪条件な人を見た事ありません。

これからどのようにして、なんの変哲もないストローを200円で売っていったかを解説します。もしこの記事を読んでいる人の中に、商品が売れなくて困っている人がいらっしゃれば、なにかヒントを得て頂く事が出来るのではないかと思います。

まず長机を一台置いて、その上に商品(ストロー)を陳列しました。イメージとしてはガラスケースこそないんですが、宝石売り場の宝石を陳列するように置いていきます。

そして販売員は皆スーツで揃えました。学園祭の屋台の販売員でスーツを着ていたのは僕らだけでした。

さらに、白い布手袋を着用し高級感を印象付けます。

そして長机の両サイドにイスを置いて、従来の屋台の早い回転率の販売方法ではなく、座って頂いてお客様にじっくり商品を見て頂く形にします。

そして『ショップ ストロー』と書いた看板を出しました。

実はこの時点で屋台の前を通行する人達は、ほとんどがこちらに興味を引かれるように視線を注ぐようになります。学園祭でスーツに白手袋を着用した販売員が重々しく立っており、そして置いてある商品を見ると、ただのストローで、『1本200円』と表示されているのです。他の屋台と比べての特殊性ゆえに注目を集めないほうが難しい状況です。

そして、そのシチュエーションに混乱したような視線を注ぐお客様に声がけをしていきました。

「いらっしゃいませ、ストローはいかがですか?200円です」

そうすると、ほとんどのお客様が素通りする事なく質問で返してくれました。

「何、言ってるんですか?」と。。。

この質問をしてきたお客様の、約70%程が購入に至る事になるのです。

その後のセールストークを会話形式で説明していきます。

客 「何、言ってるんですか?」

店員 「えっ、何と申しますと・・・?」

客  「いや、ストローって何ですか?」

店員 「あ、ジュースなどを飲用する際に使用する棒状の中が空洞になっているもので・・」

客  「いや、それは知ってます。そういうことではなくて」

店員 「あ、失礼しました。で、いかがでしょうか?今なら200円でお買い求め頂けるんですが?」

客  「だからそれが意味がわからないって言ってるんです」

店員 「・・・説明下手ですいません。どのあたりがわからないですか?」

客  「なんでそんなの200円で売ってるんですか?」

店員 「安すぎますか?」

客  「高すぎます!!!」

店員 「えっ!?あ、でも商品を見て頂けたらご納得頂けると思いますよ、ちょっと見て頂けます?」

客  「見ます(興味津々)」

店員 「ではこちらにお座りください」

(客、着座)

店員 「まずご説明させていただきますと、当店の基本ストローには3種類の仕様がございます」

客  「はあ・・」

店員 「まず、絵柄のストライプが赤タイプ・緑タイプ・黄色タイプとございまして・・・どれでも1本200円です」

客  「え、色だけですか、、、」

そこで、別の店員2が、これ見よがしに店員1に耳打ちをする。

店員 「えっ?マジで・・・(客に向き直り)お、お客様!おめでとうございます!お客様がちょうど来店1000人目という事で、特別サービスがございます!」

客  「絶対ウソだ!!」

店員 「いえいえ、本当です!本来3種類のから1本お選び頂いて200円なんですが、特別に・・・・・3本セットで200円!いやぁ、お客様本当に運が良い!!」

客  「いらなーい!!」

店員 「えっ、3本で200円ですよ」

客  「全然ほしくない!」

店員 「お待ちください!特別サービスはこれだけではございません!」

客  「まだあるの?」

店員 「はい、これからスペシャルなお客様にしかお見せしていない特別な商品をお見せいたします」

客  「そうなんだ」

(ストローを半分ほどの長さにカットして短い裁縫ヒモを通した物を裏から持ってくる)

店員 「こちら、まだ未公開の新商品なんですが・・携帯ストロラップでございます」

客  「あははっ、ただのダジャレじゃないですか」

店員 「まだありますよ!!」

(今度はさっきより長い裁縫ヒモの付いた物を出してくる)

店員 「このようなネックレスタイプの物もご用意しております!」

客  「ほんとバカだねあんた達」

店員 「まあ、そう言わずに試着は無料ですのでお試しだけでも・・」

(客、笑いながら装着・・・した瞬間に販売員全員、バラエティーのように転ぶ)

客  「えっ、ちょっとなに?どうしたの?」

店員 「・・・いや、あまりに驚いたもので・・すいません。僕が今まで試着して頂いたお客様の中では、キャメロン・ディアス様が一番お似合いになると今まで思っていたんですが・・・今までは!(他の販売員に向かって)なあ!」

店員2 「心臓が止まるかと思いました」

客  「何?この屋台。面白いんだけど」

店員 「わかりました!ここまでスペシャルなお客様をお迎えしているわけですから、私も最大限、勉強させていただきます!」

客  「どういうこと?」

店員 「3点の基本セット・・・に加えて、こちらの携帯ストロラップ、さらにネックレスタイプも加え、すべてセットでお付けして・・・」

(客を見つめる)

客  「ん?」

店員 「200円で!」

他店員一同 『えーーーーーーーーーーーーーーっ

(店員2が接客中の店員1に掴み掛かる)

店員2 「おまえ、ちょっと何を言い出すんだよ!そんな事したら大赤字だろ!」

店員 「責任はすべて俺がとる!例えどんな値段でもこのお客様に買って頂く事がショップストローの1番の宣伝につながるんだよ!」

店員2 「・・・そうか、お前がそこまで言うなら・・そうかもしれんな・・」

店員 「わかってくれるか?」

店員2 「ただし!ここの責任者は俺だ!責任を取るのは俺の仕事だ」

(店員1と2、しばらく間を取ってから熱い抱擁)

店員2 「・・・まぁ、心配するな。社長もきっとわかってくれるよ」

店員 「・・・ああ、ありがとう」

(爆笑している客に向き直り)

店員 「大変失礼致しました。ご安心ください。すべて合わせて200円で結構です!」

客  「・・・わかった。買うわ」

と言ったセールストークを展開していくと、ほとんどのお客様は購入して、そして、何人ものお客様が友人を連れて再来店頂くほどの盛況ぶりでした。

この販売方法で、ストローを(最終的に数本お付けするんですが)200円で販売する事が出来たのです!

商品の品質なんて、売り方次第でどうにでもなるのです。
世の中、売れないものなんてない!と、この時に確信したのです。

ちなみに翌年の学園祭では、屋台出店規約に
『極端に原価の低い物を売ってはならない』
という一文が追加されていました。

林 けんいち
インターネット通信販売・飲食店経営を経て現在はフリーランスの営業・ライター活動に従事。
個人ブログ: 非常識バイアス

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