八幡和郎の選ぶ2017年10大ニュース(特別寄稿)

2017年12月22日 09:00

11月に初来日し、安倍首相と会談したトランプ大統領(首相官邸サイトより:編集部)

海外10大ニュース

①トランプ大統領のアメリカ第一主義
②トランプ大統領の就任とアメリカ政治の混乱
③北朝鮮危機と文在寅親北政権誕生
④過去のセクハラのてきはつが拡大
⑤シリア・イラクでISがほぼ壊滅
⑥サウジアラビアで皇太子が権力掌握
⑦世界の株式相場が好調
⑧スペインでカタロニア独立を巡り混乱
⑨フランスでマクロン大統領当選し二大政党制が崩壊
⑩中国が環境取り組み強化と民主化の後退
番外:イギリスはEU離脱をめぐり混乱続く
番外:ロヒンギャで大量虐殺か

世界はトランプ大統領の就任により振り回された一年だった。それに関する出来事が多かった。

①「トランプ大統領のアメリカ第一主義」と②「トランプ大統領の就任とアメリカ政治の混乱」という形でまとめた。パリ協定やTPPからの離脱、NAFTAなど経済協定の見直しなど影響は広汎に及ぶ。しかし、世界経済は好調でNY株式相場は記録を更新し、これはトランプによる混乱を緩和している。

アジアでは朝鮮半島情勢が大揺れ。金正恩は、核実験やミサイル発射を繰り返し、金正男とをマレーシアで暗殺するとともに、韓国での朴槿恵政権打倒と文在寅政権の樹立に成功した。南北の動きは連動したものと見ることが大事だ。

中東では、ようやくISに対する戦争で勝利が収められたが、サウジとイランの覇権争いが激化している。とくに、サウジのムハンマド皇太子の独裁体制の樹立と社会変革、カタールとの断行やイエメン内戦の泥沼化などサウジに目を離せない。

ヨーロッパは、イギリスがEU離脱決定による影響に苦悩し経済は低迷し政治も混乱しているが、これは予想の範囲内。フランスでは中道改革派のマクロンが大統領となり総選挙でも新党が圧勝してドゴールの流れを汲む保守派とミッテランの党だった社会党の二大政党制が終わった。左右対立の元祖ともいえるフランスにおけるこの変化の意味は重要。スペインではカタロニア独立運動が高揚し、政府は関係者の逮捕に踏み切った。その行方によっては、各地の分離運動に拍車か。

中国は習近平が環境問題への取り組みを強化し、トイレの清潔化などを進め、文明国らしくなってきた。しかし、民主化には逆行するばかりで、政治の文明化は1890年に自由選挙による国会を開設した日本より130年遅れ。ミャンマーにおけるロヒンギャの大量難民と虐殺はサウンサン・スーチーの国際的評価暴落も含めて東南アジアの苦悩を象徴。

ハリウッドの実力プロデューサーや各国の政治家、聖職者、スポーツ指導者などの過去のセクハラ摘発が拡大し、当分、やむことがないだろう。

国内10大ニュース

①安倍・トランプ蜜月で米国との同盟強化
②北朝鮮によるミサイル発射で危機感強まる
③天皇陛下の政治的動きと政治利用が加速
④総選挙で自公与党が三連続で大勝
⑤小池知事の都議選勝利と総選挙敗北
⑥森友・加計問題で追及続くも決め手なし
⑦雇用情勢の好転とヤマト宅配サービス縮小
⑧フェイク・ニュース論争が過熱
⑨日産・神戸製鋼の品質偽装
⑩大相撲のモンゴル力士を巡る排斥運動広がる
番外:東芝の経営危機
番外:眞子さま婚約

世界がトランプ旋風に戸惑うなかで、安倍首相はいち早くトランプ大統領との信頼関係の構築に成功し、TPPからの離脱などは止められなかったが、影響は最小限にとどめることに成功し、外交戦略での協力も良好に機能し結構なことである。

北朝鮮のミサイル発射などで危機感が高まり、戦後の安全保障体制はまさに破綻の危機にある。いかにして、安定した平和を構築できるかを議論し、そのためには憲法をどうするか考えるべきだろう。いずれにせよ北朝鮮情勢の動向によっては、戦後の平和体制の全面的な破綻を意味する可能性がある。

昨年の退位問題を機に、陛下の意向と称される物がしばしば語るものがあり、また、野党や一部マスコミがそれを政治利用する動きがある。憲法は天皇陛下の政治的な動きを強く限定しており、また、内閣による輔弼を要求しているが、これが形骸化してはならないわけだし、まして、憲法改正や外交政策に影響を及ぼすことがあってはならないのに、こともあろうことか、左派が政治利用するなど論外で、やがて、象徴天皇制と憲政の危機を招きかねないので憂慮される。

今年の政治情勢としては、プチスキャンダルには違いない森友事件の処理を政府が誤ったために、新たに加計問題がクローズアップされ、文部科学省の天下りスキャンダルで更迭された前川事務次官が、岩盤規制の撤廃を政治の不当な行政への介入と位置づけて政府批判をして内閣支持率の 低下をもたらした。

また、小池都知事が、都議会自民党の敵対姿勢もあって都民ファーストを結成して都議会選挙で圧勝。その勢いで来年の総選挙を念頭に準備していったが、内閣支持率の回復をみた安倍首相は解散に打って出て、準備ができす焦った小池は民進党の前原と合流して希望の党を結成するが、双方に無理があり、枝野らが立憲民主党を結成して分離したので総選挙で惨敗。

経済は好調に推移。とくに雇用が改善して人手不足が深刻化。ヤマトがサービス低下に追い込まれたのが、象徴的。フェイク・ニュース論争は、日本では、左派系の既存メディアの報道しない自由、放送法の中立性の意味、朝日新聞などの報道姿勢をめぐる論争に発展。既存メディアに頼る情報弱者とネットで情報を得る情報強者に国民が二分され、それが、若者ほど保守的という特異な政治状況を生じさせた。

日産・神戸製鋼で品質偽装が発覚し、メイドインジャパンの信頼性が問われる事態に。

相撲の日馬富士暴行事件はたいした話でないが、これを機にモンゴル力士叩きが燃え上がったのはまことに見苦しかった。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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