何とかして救いたかった近畿財務局職員

ひたすら合掌の時を過ごしてきたが、この真面目な職員の方を救えなかったのが、やはり悔しい。

きっと組織を護るために、こんなことをやっていいのかなあ、と内心不安と多少の疑いを抱きながら、どなたかの要請でやってしまったのだと思っている。

個人的な利得を図るためにやることではないし、上司の指示に基づいて仕事としてやっているんだからこの程度のことは組織としては許されるんだろうな、ぐらいの軽い気持ちだったのかも知れないが、周りの人が騒ぎ立てるのでやっと自分の勘違いに気が付いた、これは大変なことをしてしまったんだ、などと思っても、やってしまったことは元へ戻せない、誰も助けてくれない、誰も自分の方を見ようとしない、どんどん悪い方に事態が動いているようなのだが、自分ではどうしようもない…。

どんどん自分で自分を追い込んで行ってしまう真面目な方々の思考回路は、大体こんなものである。
他人に責任を転嫁できれば、それはそれで楽になれるのだが、真面目な人は、そんな馬鹿なことをやってしまった自分自身を結局は責めてしまう。

どこにも出口を見い出せなくて、結局は一切の苦しみから逃れるため、自裁してしまう。

そういう真面目な人を、何とかしてその苦しみから救い出してあげたかった、と思っている。

縁があれば…、相談があれば…、私でも何か役に立てたかも知れない。

私自身はそれなりにあちらこちらにロープを投げているつもりだが、ロープが短すぎて必要な人に届かない。
ひょっとしたら近くまで届いていたのかも知れないが、気が付かないでロープを握らなかったのかも知れない。

皆さんに、お願いである。

私のロープは、短い。
皆さんの方でロープを繋ぎ合わせて、必要な人に、確実に届くようにしていただきたい。
皆さんの方でそれぞれにロープを作られて、周りの方々に投げていただくのもいい。

こういう悲しい出来事は、繰り返したくない。

真面目な方が組織の犠牲になるようなことは、絶対に止めさせなければならない。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。