開業医の跡取り息子と高学力の女子、どちらが社会にとって重要か?

2018年08月04日 06:00

東京医大公式サイトより:編集部

東京医科大学が入学試験で女子受験生の得点を一律に減点していた問題で、大学で入試業務に携わっていた元幹部が次のように語ったと報じられた。

「どこの医大でもやっている。不正という認識はなかった」

「体力的にきつく、女性は外科医にならないし、へき地医療に行きたがらない。入試を普通にやると女性が多くなってしまう。単なる性差別の問題ではなく、日本の医学の将来に関わる問題だ」

「外科医にならない」「へき地医療に行きたがらない」「日本の医学界の将来に関わる問題だ」という認識に対し、私は大きな違和感を覚えた。

とある調査によると、親が医師である医学部生の割合は約3割だそうだ。
国公立大学よりも私立大学の方が遙かに比率が高い。

要するに、開業医の多くが、数千万円もの学費を支払って子供を私立の医学部に入学させており、その割合は3割をはるかに超えているということだ。

医院の跡取りとなれば、遅かれ早かれ病院勤務を辞めて親の経営する医院に戻ることになる。
勤務医として働く期間の短い跡取り医学生のほうが、普通の女子学生よりも「外科医にならない」だろうし「へき地医療に行かない」し「日本の医学界の将来」にとって大きな問題だと私は思う。

外科医を増やし、へき地医療に従事する勤務医を増やすという大義名分があるのなら、開業医の子供の受験生の点数を減点するのがスジだ。

もちろん、開業医の子供とて、医師の資格を取得した途端に親が経営する医院に勤務することはないだろう。
しかし、(何年間かの勤務医経験を経れば)いずれは勤務医を辞めてしまう人がほとんどだ。

親が開業医だと多額の寄付が期待できて大学経営に資するというのなら、「公共機関である大学」として国から助成金を受けるのを放棄すべきだ。

親の後を継ぐために勤務医を辞める同僚には優しい態度で接しておきながら、一般女性に対しては「しょせん女は外科医にもならないし、へき地にも行かない」と頭ごなしに差別する意識が私には理解できない。
医学界では、今日の社会通念とかけ離れた「常識」がまかり通っているのかもしれない。

おそらく医学部だけでなく、大学の他の学部でも多かれ少なかれ社会通念とかけ離れた「常識」がまかり通っているのだろう。「私の学説を忠実に承継するのなら後継者にしてやる」と公言していた法学部の元教授がいたと聞いている。

「学問の自由」を縦にとって大学を私物化し、社会通念とかけ離れた「常識」に縛られている(教授をはじめとする)大学関係者には、一刻も早く退場していただきたい。

受験手帳
荘司雅彦
PHP研究所
2011-12-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年8月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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