近所の喫茶店で不動産取引の契約を交わした。解除できる?

2018年08月14日 06:00

写真左:池田さん、写真右:福田編集長(ソーテック社)

不動産取引をするうえで買主を悪質な取引から保護するため、クーリングオフは有効な制度である。内容をきっちり抑えておけば、不動産取引におけるトラブルを防ぐことができる。契約をしたあとでも、制度をつかうことで破棄することが可能になる。

今回は、『知りたいことが全部わかる!不動産の教科書』(ソーテック社)を紹介したい。著者は、池田浩一さん。宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者。不動産業界に精通したベテランでもある。不動産取引における留意ポイントについて聞いた。

不動産取引のクーリングオフってなに

訪問販売は、自動車、宝飾品、住宅設備機器、シロアリ駆除、新聞の購読契約で行われることが多い。営業トークに乗せられて、不要な商品を契約させられてしまうことがある。そのため、無条件で解約が可能なクーリングオフ制度(クーリングオフできる旨およびその方法を書面で告知さらた日から起算して8日以内であること)が規定されている。

元々は、消費者が冷静になり再考するために導入された制度と考えられるが、不動産取引においても同規定が存在する。買主を悪質な取引から保護するため、宅地建物取引業法によって定められている。契約のあとでも破棄することが可能になる。

「クーリングオフという言葉で、一般的に思い浮かぶのは、訪問販売やキャッチセールスですが、不動産取引に関しても『宅地建物取引業法』でクーリングオフ制度が定められています。宅地建物取引業法で定めるクーリングオフ制度のポイントは次のようになります。まず、対象となる不動産取引は、不動産の売買のみで、賃貸は適用外です。『誰』と『どこ』で契約したが明確になっているか最重要になります。」(池田さん)

「宅建業法で定めるクーリングオフ適用要件では、売主が宅地建物取引業者であることが必要です。個人などの場合や、買主が宅地建物取引業者の場合も、適用外となります。また、宅地建物取引業者の『事務所など以外』での申し込みか契約であること。買主が自宅や勤務先での契約を希望し実行した場合も適用外です。代金の支払いをしていないこと、物件の引き渡しを受けていないことも条件です。」(同)

買主がクーリングオフ適用外となるケースはいくつかあるので覚えていたほうがいいだろう。知らないと「ドキッ」とする内容がある。池田さんは、クーリングオフは「購入の意思表示をどこでもらうか」が大切だと解説する。

不動産取引を行ううえで不可欠な知識

不動産取引のトラブルは、買主が理解を深めれば防止できる。しかし、知識がないゆえのトラブルは少なくない。たとえば、次のケースは、8日以内であれば無条件にクーリンググオフができると勘違いしたことにより発生したトラブルである。

----ここから----
※売主、買主に電話をする。
売主「お客さま!証明郵便でクーリングオフ送りつけてきましたけど無理ですね!」
買主「8日以内じゃないか。あんな物件を紹介して何を言っている!」
売主「申込みを事務所等でしましたよね。そして喫茶店で契約していますよね!」
買主「最初はいい物件だと思ったんだ。でも、それがなんだ!」
売主「私は、書面でクーリングオフの要件についても詳細に説明しましたよね?」
買主「クーリングオフは法律により守られた権利だ!それを行使する(キッパリ)」
売主「ハァ?あんたのは、クーリングオフ適用されません(苦笑)」
買主「・・・」
----ここまで----

「売主は、後日のトラブルを避けるためにも、この制度に対する理解を深め、依頼者に対し十分な説明を行うことが大切です。いろんな業者が存在することも事実ですが、安全に、また効率よく不動産取引をするためにも、不動産のクーリングオフ制度を覚えておきたいものです。不動産取引を行ううえで必要不可欠な知識ともいえます。」(池田さん)

本書は、不動産業界を網羅的に理解できる1冊といえる。不動産に関して、なんらかの疑問を感じたら、まずこの本を読んでもらいたい。基礎知識は充分に理解できる。

尾藤克之
コラムニスト

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