依存症対策:パチンコ業界は表明ばかりで結局何するの?

田中 紀子

先日、こんなニュースを目にして、「あぁ、またか・・・」と思ったのですが、

(日刊スポーツ)パチンコ依存対策へ第一歩、ホール5社が共同声明

どうしてパチンコ業界というのは、依存症対策を「やります!」という「表明」ばかりを、毎回パフォーマンスするのでしょうか?で、結局何するの?ってのが全く分かんないのも特徴です。

そもそもパチンコ業界の依存症対策は、「警察庁がやれって言うからしょうがないからやるか」という姿勢なので「当事者や家族のためにできることは何だろう?」という発想は1ミリもありません

つまり「警察庁がOK出してくれる最低限のラインはどこかな~」って感じですね。

んで、毎回
・リカバリーサポートの強化
・安心パチンコ・パチスロアドバイザーの従業員講習
・本人申告・家族申告による入場規制と18歳未満の入場禁止の徹底
これだけですよね。

で、現実にこれ全く役に立たないとは言わないですけど、実際、それほど役にも立たないですよね。
業界の人だってそれ分かってますよね。

電話相談は今どこでもやってます。
むしろ今では当事者・家族と連携をとってもらえないリカバリーサポートさんより、他の電話相談窓口、精神保健センターさんや消費生活センターさん社協さん、などなどの方が直接面談もしてくれたり、我々に繋いでくれたり、一緒になって対策考えてくれたりして、よっぽど1件1件に対して手厚くなっています。

余談ですが、最近「リカバリーサポートは警察との癒着だ!まやかしだ!」とか、パチンコのなんとかっていう台は、また射幸性をあげているとか、負けた腹いせもあるでしょうけど、最近何故か急にタレこみが増えました。
私が、しょっちゅう文句を書いてるからでしょうか?(笑)

次に、この安心パチンコ・パチスロアドバイザーですけど、これだって普段当事者の介入やってるような人が講習するわけじゃないですよね?NHKの番組でも、「この講習受けても、依存症の客に実際は何もできない」って、従業員さん答えてましたよね。私もそう思います。

だってお客さんのバックグラウンドも分かんないのに、どうやってその人のギャンブルに問題があるか見極めるんですか?
毎日来てるお客さんだって、お金持ちなら問題ないでしょうし、週に2,3回だって、収入がなければ大問題ですよね。
入場する際に、収入証明でも見せるんですか?ってことですよね。

最後の本人申告・家族申告による入場規制と18歳未満の入場禁止の徹底

これはいいです。これは効果があります。
この取組発表された時に、めっちゃ期待しました。
でも、結局システム化されず、顔写真とかなんとか、そんなアナログなやり方じゃ、実際には効果ないものですよね。
とまぁ、毎度「表明」するけど、何も変わっていないことを繰り返しています。

しかも今日はこんなニュースが飛び込んできましたが、

SNSで仲間を募り… 元従業員がパチンコ店に強盗(テレビ朝日)

一昨日も、こんなニュースがあったばかりですし、

元従業員の男 営業中のパチンコ店 金庫から約900万円盗む(テレビ西日本)

いやいや、まずアドバイザーの前に自分たちの従業員を教育しないとですよね。
我々の所にくるご家族からの相談も「パチンコ屋さんで働いてる」っていうのはしょっちゅう聞きます。
こういう時「あぁ、パチンコ屋さんと連携が取れてたらなぁ」と思いますね。
上司に相談して介入できるじゃないですか。
もともとパチンコ大好き!とかパチンコ依存症だから就職したっていうのもあると思うんですよね。

それから最近こんな事件もありました。

独居老人狙い6年で30件800万円盗んだ男ら4人逮捕・送検 16歳の少年2人も関与(北海道ニュースUHB)

いやいや….16歳お店入ってますよ….
アドバイザーも年齢制限も機能してないですよ。
警察はこのお店を業務停止などの処分にして下さいね。

でも最近、分かってくれるパチンコ関係の社長さん達も増えた気がします。
今回の宣言が5社だったってのに逆に希望を見いだしていて、他社の皆さんは「同じことばかり言っててばかばかしい」と思われたのかな?と勝手に希望的観測をもってます。
どうかあたってますように!


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2019年2月1日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。