海外で生まれるビジネスの息吹:日本に逆上陸のラーメン店も

2019年04月07日 14:00

日本に向かう飛行機の中でちらっと見たビデオ放送でラーメンの「メンショー」を取り上げていました。私は知らなかった店です。サンフランシスコで大繁盛しているラーメン店が日本に逆上陸、新宿にも店を構えたという話です。私が引っ掛かったのはこの店の製造コストがこだわりすぎて650円もかかるのに日本では1000円を超えるラーメン店は難しいということへのチャレンジでした。

サンフランシスコにあるMENSHO店舗(運営会社HPより:編集部)

で、どうやって運営しているのかといえばサンフランシスコ店の利益が日本の赤字を埋める形となっているようです。サンフランシスコでは一杯14-20ドル、中には和牛ラーメン39ドルというのもあります。USドルですから税金とチップ入れると日本円で2500円から5500円ぐらいになるでしょうか?日本ならさしずめ、ホテルでビュッフェランチが食べられる金額です。

以前、私はバンクーバーでもラーメン店は高いと申し上げました。金額レンジはUSとCANドルの違いはあってもだいたい12-20ドルレンジである点は変わりません。しかし、ビデオでも報じていましたが1年後には4割がなくなるという熾烈な業態でもあるそうです。

傍で見ているとラーメンが北米で本国日本を凌駕するほど異様な進化を遂げているような気がするのです。それは多分、ラーメン文化が北米でまだ定着しかけている中でバイブルがない中、運営側と顧客側が必死に改善しあっているという気がするのです。西海岸のリベラルな体質の典型でもあります。

例えば日本ではラーメンオタクがうんちくを述べ、それに一般客が引きずられると同時に一般的な評価がある程度確立しています。各地のラーメンはこんな感じという基本を尊重した文化がそこにあります。しかし、北米はそんなこだわりはなく、店主が新たなトッピングやスープでチャレンジしているといったらよいでしょうか?

寿司文化が北米で一般化する際、裏巻(ノリが見えないようにする巻き方)をベースにカリフォルニアロールや当地のBCロール(サーモンの皮をパリっと焼いたもの)、ダイナマイトロール(エビの天ぷら)といった形で一般客がピザやハンバーガー以外の選択肢として捉えるようになります。その後、フィラデルフィアロール(クリームチーズ)といった変わり種や店の名前を冠につけた巨大なロールもポピュラーになり、しょうゆを使わない寿司(フレンチのようにソースやトッピングでその美しさを競う)ものが多く出ています。炙り寿司も一般的で炙りネタの上にウニやイクラ、キャビアなどでトッピングをする店は大流行であります。

また寿司に比べてやや地味だった刺身も例えばある店では刺身盛りにドライアイスを載せて顧客にうゎーと言わせるなどのプレゼンに気を配ります。

つまり、日本の食文化である寿司、ラーメンが北米でどんどん形を変えて消費者に受け入れられ、相応のお金を払っている事実は日本ではあまり報じられていないと思います。多くの日本人観光客が「物価が高い!」と悲鳴を上げています。外食なんてできない、と。今、北米の多くの日本食レストランは非日本人で成り立っています。それだけのお金を払ってもよいと思ってくれているのです。

これは経済的に見れば日本のお店は価格競争が激化しすぎた結果、本来あるべき利益を得ていない、ということになるのでしょう。私の知り合いの韓国人がバンクーバーで牛丼屋をやっていました。パクリなんですが、味も正直、よく頑張っていました。ところがその店はある日、弁当屋になってしまいます。なぜ牛丼が北米で水平展開しなかったか、多分、早い、安いというコンセプトよりも外食としての美的感覚が重視された結果ではないかと思います。食文化の違いかもしれません。

はやるかどうかは味、見た目、パフォーマンス、店のインテリア、サービスなどを総合的に判断されています。かつてフライイングステーキの異名をとったロッキー青木さんの「ベニハナ」。山高帽のシェフが鉄板焼きやステーキのパフォーマンスを見せるという点で寿司より早く北米に進化した日本食であります。

もちろん、ゴールドラッシュのように皆で北米に行けば一攫千金というわけではありません。何人かの私の知人がオープンしたラーメン屋は全滅です。理由はスープは日本の名店から買えばいい、というイージーゴーイングの発想があったからです。日本の名店ラーメンが受ける時代から北米で必死に独自の進化の道筋を探している店が勝者となるといったらよいでしょう。

日本食も日本の方が知らない間にいろいろな形で海外で文化として新たな世界を作り出しています。私はそんなチャレンジングな日本の若者を引き続き応援したいですね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年4月7日の記事より転載させていただきました。

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