高齢者に安直に運転禁止すれば膨大な死者を出す

2019年04月23日 22:30

池袋の事故をきっかけに高齢者の運転を禁止しろとかいっているが、その方法はよほどうまく考えるべきで、安直な禁止や後先を考えない制限は慎重であるべきだと思う。

そんな観点でFacebookのニュースフィードで意見募集したら多数の意見が集まったのでそれも紹介したい。

まず、都会の人には分からないだろうが、高齢者の運転を禁止したらおそらく膨大な死者や命を縮める人が出るだろう。

  1. いまでも運転を止めて惚けたしまって死期を早める老人は極めて多い。
  2. 農村部などでは車がないと生活がなりたたない。とくに、通院などに不可欠で医療の低下で死ぬ人が大量に出る。
  3. 農作業などにも不可欠だし、都会でも配達などに必要で、運転を止めろというのは働くのを止めることに直結することが多い。高齢者にも働けといい、運転はダメというのは矛盾している。

若い人に乗せてもらえばと言うが、農村では80歳の人が90歳の人の面倒をみなければならないことも多いのである。そもそも、はたして高齢者の起こす事故での死傷者と上記のような問題によって生じる問題と比較考量はしているのか?

マスメディアはひごろ運転せず社用車やタクシーを自由に使える大都会のジャーナリストに独占されて、自分たちの都合で考えるから、たまたまの事故の再発防止だけで論じ、社会システム全体をどう構築するか考えが及んでない。この問題は、非常に多角的に検討し、最適な社会システムを見出していくとても複雑な問題のはずだ。

公共交通機関を使えばいいなどという議論は、公共交通機関を保証できない場所には住んだり職業活動をすることを禁止するような政策を前提に論じるべきものだが、そんな気はあるまい。

自動運転の進歩はこの問題を解決する切り札になりそうだが、まだ、その完成には時間がかかるだろう。スピードの出ないなどの高齢者用の車を一般化することは有りだと思う。これまで運転していた人が運転を止めるまでの過渡期対策にもなる。

高齢者に運転止めるようにいうなら、どう軟着陸させるか、社会システム上も、心理的にも工夫が必要だ。

以下、寄せられたコメントのなかからいくつかを紹介したい。

Aさん:一つの事故例をもって、高齢者の自動車運転を全面禁止とするのは極めて乱暴な意見であり、現実を見ていない意見である。都心部の公共の交通機関が十分に整備されている地域ならともかく、首都圏でも少し奥まったところになれば、公共の交通機関はとおのき、どうしても移動には自動車に頼らざる負えません。

Bさん:地方で車は必須。人がいないんだから事故を起こしたところで自損にしかならない。日本全体を一括りにしないでくれ。

Cさん:まずは、高齢者の運転教育を増やすことが必須でしょう。例えば、事故発生率の高い、雨天や夜間、夕方の運転は極力しないとか、必要な運転注意とか。そこに、予算を入れるのは必須ではないかと考えます。

Dさん:自動運転の規制を緩和することですね。リスク0ではなく、現在よりもより低いリスクを取るという、当たり前の教育をしていかなければだめでしょうけど。人のミスは仕方がないけど、機械のミスは許さないということの考えを改めないと駄目かなと。…

Eさん:高齢者が大半の山間地集落に住んでいます。うちの地域ではクルマが無いと生活出来ません。近隣の買い物や田畑に行くための「軽トラとシニアカーの中間」のような感じの低速電気自動車みたいのがあればいいんじゃないかなと思います。

Fさん:地方のそれも交通手段のない地域ではやはり自家用車に頼らないと生活ができない。でも目的、行先は決まっている方が多く、病院や買い物、趣味の目的地等なので、ドイツやスイスのように「限定条件付き運転免許更新」にしてはどうでしょう。

Gさん:タクシー利権に配慮するとして大都市内を除く全国でUberの様なライドシェアを認めれば高齢者が運転しない状況が可能になります。国の安易な業者保護政策が運転が出来なくなった高齢者の死を招くと思われます。

Hさん:免許返納の対価として、自治体からタクシーチケットの配布をしてはどうでしょうか。

Iさん:若い世代が轢かれない権利を、早急に守っていただきたいです。具体的には、地方におけるライドシェアの解禁、全国で一定年齢以上では免許更新を毎年とし、実技を義務化。自動運転車の実用化は理想ですが、待っていられないので。

Jさん:私は農村を無くして一定規模の街にインフラを集中させ、同時に零細兼業農家も減らして大規模効率化するといいと考えてます。

Kさん:オートマではなく、ミッションの安全性を主張して、ミッション車に乗れば、その瞬間に概ね解決する。何しろ足が悪かろうが、踏み間違えようが、エンジン吹かすだけだから。

Lさん:今回のような事故はすでにだいぶ普及している自動ブレーキで防げると思う。出来れば自動ブレーキの義務化を急ぐとともに、農村などの車が不可欠な地域では後付の自動ブレーキシステムを国が補助する。

Mさん:農村部では平均年齢が70歳を超え、バス停まで何キロかあるなんて話は多くあります。また、農作業の担い手が流出している昨今、乗らなくては難しい環境にあります。…

Nさん:病院にも買い物にも行けなくなりますね!

Oさん:佐賀は農村ではない都市部でも公共交通機関が発達していないので、高齢者の運転を一律に禁止したら県そのものが成り立ちません。タクシーを常用するほどの金持ちもほとんどいません。自動運転システムが安価でできて、かつ今乗ってる車にもオプションで付けられる(ETCの外付け機械のように)ものができたらいいなと思います。

Pさん:保険料等を考えると、事故を起こしているのはむしろ若者ではないかと思います。
高齢者特有の(認知能力にかかわるような)原因による事故がどのくらいの率なのか、先ずは検証が必要ではないでしょうか。

Qさん:マスコミやネット民の都会や若者たちの意見はまったく見当はずれですね。一番は、車のセイフティー機能の早急な開発装備でしょう。

Rさん:免許制度というのが、事実上1か0かの硬直した形になっている弊害が大きいように思いますね。認知症診断されたら取り消し、というだけでなく、その前に色々な段階を設けることが考えられるでしょう。

Sさん:田舎暮らしではクルマは足です!そして田舎や都会に限らず、老人は無理矢理でも外に出してやらないと健康上の弊害が大きいです。うちの母にも、給料なんて二の次でいいから、自分の足で外に出て、出来るだけ働きなさい、と言っています。家でじっとしてると老化が加速度つけて早まるだけです。

Tさん:郷里に帰って、最初は、電動自転車に乗っていました。しかし、自転車は、危険でした。転倒するのです。歩道も地方には、まともなものは、ありません。地方にはバスの運行は少なく、JRも一から二時間に一本です。車無しでは暮らせないようになっています。

Uさん:今回のようにショッキングな事件が大きなきっかけきっかけとなり、「高齢者の運転の是非」といったテーマの議論を急ぎ、拙速な結論を出す傾向が最近目につきます。大手広告代理店で過労で社員が自殺した事件をきっかけに「働き方改革」、親から虐待された女児が死亡する痛ましい事件が起きると、家庭内暴力、児童虐待防止策が、教育・しつけとの線引きもおろそかに、ばたばたと決められる。

高齢者の運転問題も、危険、リスクの面と共に、運転せざるを得ないニーズの面とを、現実に即して議論する必要があります。ニーズ面でも、バスなど公共性の高い乗り物からタクシー、自動運転の車から、地域によっては電動車椅子のようなものまでそうどう総動員して考えていくべき局面に来ていると思います。

Vさん:軽自動車限定の免許を創設するとかどうでしょうか?地方農村部である意味一番需要があるのは軽トラックですし。もう一つ提案したいのは、原付二種の活用と微修正。特に近年はヤマハのトリシティのような前二輪、後一輪の三輪車が転倒しにくく使い勝手の良さから世界的にも注目を集めています。こういう三輪限定の原付二種免許を創設して地方の高齢者に勧めるのも一つの手かなあと。

Wさん:田舎だと高齢者の運転禁止は生活が成り立ちません。運転前提でコミュニティーが成立してます。私も今の住居は生涯車を運転する前提で購入してますし、新潟のような田舎では高齢者が運転するのは当たり前の感覚だと考えてます。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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