Tokyo Tokyo Festivalをハシゴしてみて分かったこと

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

早速ですが、皆さんは「Tokyo Tokyo Festival」をご存知ですか?

文化でつながる。 未来とつながる。というキャッチフレーズのもと、2020年以降の東京における文化の価値を最大化するための取組として、様々な主体と連携して、事業を展開しています。

その中で、おとといと昨日の2日間開催されている事業をハシゴさせていただきました。

一つは、多摩地域の伝統芸能を中心とした「伝承のたまてばこ~多摩伝統文化フェスティバル~

もう一つは、六本木をアートで彩る「六本木アートナイト

もちろん、これら二つのイベントは成り立ちも違えば目的も違います。しかし、東京都の関わり方については深く考えさせられました。

東京都では、文化事業以外にも商店街振興や地域活性化など、様々なイベントを主催または共催し、あるいは助成金を出しています。イベント型補助金と呼ばれる、これらの予算については、イベントをすること自体が目的化している、地域や商店街の抱える課題の根本的解決に至っていない、補助金コンサルにお金が入るだけ、といった指摘があります。さらに、都側が評価指標をもたずに支援しているものも多く見受けられ、大きな問題意識をもっています。

結論から言うと、

都の補助金ありきで作られた事業には支援をすべきではない

と考えています。

「伝承のたまてばこ」については、多摩地域の伝統芸能が一堂に会する機会であり、その魅力は計り知れないものがあると思います。しかしながら、そのニーズマッチングやターゲット選定、広報周知において大きな改善の余地があると言わざるを得ません。

例えば、多くの人が行き交う八王子駅前に案内が出ていなかったり、多言語でのプログラム表記がされていなかったり、ヒトを呼び込もうという意図をあまり感じることができませんでした。実際に、プログラムを見ているのは、地域の方々や関係者、たまたま通りがかった人が多い様子でしたし、外国人観光客の姿もなく残念でした。

こうした指摘をすると、集客が目的ではない、というような反論をする方がいますが、日本の伝統文化を愛すればこそ、より多くの人が集まってほしいし、日本の伝統文化の力を信じればこそ、人が集まらなかったことを憂うべきと私は考えます。

なぜ人が集まらなかったのかを検証し、来年こそは人が溢れかえるようなプログラムを提供してほしいと思います。その際、もっと東京都が予算を出せばいいという結論に至らないようにしなければなりません。お金を出しても、この事業自体の魅力はこれ以上増しません。

二枚の写真を見比べれば一目瞭然!?

(上)伝承のたまてばこ (下)六本木アートナイト

六本木に足を運ぶと、まず目に飛び込んできたのは、アートナイトの提灯と首都高の橋げたに施された装飾です。アートナイトを目的にしていない人たちもパンフレットをもらいにいき、ちょっと行ってみようかと話をしているのが聞こえてきます。

また、太鼓の演奏が始まると、多くの人が足を止め、FANTASTICという外国人観光客の声も聞こえてきました。その隣では、この日しか飲むことのできないカクテルが販売されていて、自然な流れでドリンク片手に会話が弾み、会場内が笑顔で包まれていきました。

その後のプログラムも場所を変え、手法を変え、人々の足を止めることなく六本木の街を歩くような仕掛けがされており、時間を忘れて楽しませていただきました。

ちなみに、おとといは六本木⇔新宿、渋谷、吉祥寺、立川の各方面へ朝まで無料シャトルバスが運行されていました。いつもは終電を気にして、11時30分頃になるとそわそわしてしまうのですが、時間を気にせずにナイトタイムエコノミーを楽しむことができました。

結果的には終電で帰りましたが、心のゆとりは時間の使い方を大きく変えるなと実感した次第。ナイトタイムエコノミーと夜間交通は密接な関係なので、要研究です。

東京都が出店していた「FUROSHIKI展」にも足を運びましたが、行列ができていて驚きました。外でも写真を撮って楽しむ方々がたくさんいて、FUROSHIKIの持つ思わぬ力を知った次第。実は東京都予算には、FUROSHIKIのPR予算がついているのですが、なぜかオリパラに来場した外国人観光客に無料配布する計画になっています。これこそ、もったいない。。。

人を集める力があればこそ、ビジネスとして成立するわけで、民間のイノベーションへと繋がるような方向性へと展開できれば。

そもそもFUROSHIK展はパリ東京文化タンデムでパリ市庁舎前で展示され、好評だったもの。民間事業者と協力して東京駅駅前や上野公園、お台場などで開催すれば、内外の観光客を呼び込む仕掛けになるのになと思うところ。

一昨日たまたま通りかかった東京駅駅前。

両事業に足を運んで感じたのは、行政がすべきは資金面の補助ではなく規制緩和や手続きの簡素化ではないかということ。事業の魅力を高め、地域の価値を向上させる主体はあくまでも、民間プレイヤーなのであって、民間の自助努力で事業や地域そのものが自立しなければなりません。

ただし、そのプロセスにおいて、夜間でも光の演出をしたい、道路の使用許可を得たい、治安向上の為に警察の協力を得たい、といった、事業や地域の魅力アップの為に行政が積極的に協力すべき部分があるはずです。

これまでの政治家は、△△という補助金を要望した、補助金が■■円あがった、ということを実績として語り、有権者の方々もそれを評価していました。しかし、地域や商店街などの抱える課題の本質的な課題解決に必要なのは、付け焼刃の補助金ではないはずです。これからも現場に足を運び、政策提言につなげてまいります。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年5月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。