今こそ宮迫博之さんの力が借りたい!

2019年08月10日 06:00

現在、吉本興業と宮迫さんを取り巻く人達の行方が大騒ぎになっていますが、渦中の宮迫さんは、今後当分の間ボランティア活動をされるとのことで、詐欺防止のチラシ撒きに、湘南に現れたとのこと。

けれどもそれが「世間へのアピール」だとか「偽善的」と、逆にバッシングされることとなり、またしても炎上しています。
一体何故こんなに宮迫さんって叩かれてるんですか?

NHKニュースより

吉本の闇の部分、普通だったら「ブラック企業」とレッテルを貼られそうな企業に、クールジャパン機構から100億円も出資し、さらに沖縄の基地の跡地まで提供しようという、まるで第二第三の森友加計問題みたいな動きがあるとしたらきちんと精査する必要があると思います。

けれどもそれと宮迫さんのやったことが同列に語られるって、不思議でならないんですよね。
結局「反社会勢力に100万円貰ってたのに嘘をついた」ってことが大問題になって、その「嘘」が「許せない!」となっているようですけど、人間なんて恐れを抱えたらみんな簡単に嘘つきますよね。

そもそも「嘘をついたことがない!なんて言う人間こそが嘘つきだ!」ってな逸話は聖書にも書かれているぐらいですが、皆、違うんですか?どんなにビビる状況になったとしても、絶対に嘘をつかないで正直でいられるんでしょうか?

今回、宮迫さんは色々お考えになって、自分にできる償いとして、「詐欺防止のチラシを撒こう!」という結論に至ったと思うんですけど、海外なんかだと、罪の償いに社会奉仕活動って当たり前に判決で出されたりすることですからね。
やらないよりはやった方が良いんじゃないの?と私なんかは思います。

けれど、どうせやるならちゃんと効果があることを真剣にやられてはどうかと思うんですね。
そうすれば、最初はもしかしたらネット民が言うように少しは、「イメージアップしたい」「起死回生を図りたい」という計算があって始めたとしてもですよ、それでも行動していくうちに、それって本物になっていくと思うんです。単発でそんなことやっても何の効果もありません。

依存症からの回復プログラムがそうだからよく分かるんですけど、最初はみんな「ギャンブル止めたくなんかないけど、尻拭いしてくれた家族の手前一応自助グループに行くか」ってな感じで、しぶしぶ繋がってくるんですよね。

でも、回復するふりをしながら通っているうちに「あれ?そういうことだったんだ!」なんて気がついて、いつの間にか本当に「回復しよう!」と思うようになって、回復しちゃったりするんですよね。

つまり宮迫さんがどう思っているかは分からないですけど、どんなにあざといことを考えていたとしても、良い行動を正しい行動をしているうちに、頭の中の考えも、良い考え、正しい考えで占領されてくるんですね。みんなこれを逆に考えて「まず考えを変えないと行動できない!」と思ってるから変われないんですよね。

で、今回の件は何故炎上したか?と言うと、私が考えるに、この問題の専門家や、この活動をしている当事者やその家族を巻き込んで、その見解を聞いていない、調査もしていない、要望もきちんと聞いていない、ということだと思うんですね。
一過性の思いつきのように見えてしまったわけです。

啓発というのはその問題に関わっていない一般の人が考えるほど簡単ではなく、逆に無関係の方の善意が、益々当事者家族を追い詰めているということが多々あります。

例えば我々で言う違法薬物の「ダメ。絶対」運動。
これなんかはロータリークラブから、ボーイスカウト、ガールスカウトの団体まで巻き込んで、一斉に「ダメ絶対」の大合唱ですが、そのために「ダメと言われたものに手を出した奴ら」ということで、薬物依存症者は追いつめられ、各地で回復施設は排除運動の憂き目にあっています。

振り込め詐欺だって、「騙されるな!キャンペーン」が盛んなためにそれでも騙された人が、身内や周囲の人から責められ、自分を追い詰め、被害者なのに孤独を深めているという現実を聞いています。

だから真に役立つ啓発とはなんなのか?ということを宮迫さんはじっくりと聞き取りや、調査を行って、これまでにない啓発活動をされたらいいと思うんですね。そういったことをやっていくうちに、宮迫さんは本当に詐欺撲滅の第一人者となっていくはずです。そうしたらこれだけ知名度のある方ですから、絶対に社会に役立つ人として周囲の扱いだって、あっという間に変わると思います。

そこで私からお願いがあります。
我々、ギャンブル依存症者も病気が進行して、振り込め詐欺に加担してしまう人は少なくありません。
一番多いのは「携帯とばし」で、はした金を掴むために、携帯を何台も契約しそれを売り飛ばし、それが詐欺集団に使われ、詐欺集団逮捕と共に自分も逮捕されるというものです。

また、その他にも闇金にお金を借りて返せなくなり、借金のカタに振り込め詐欺の受け子や出し子の役割を強要され、加担してしまうこともあります。こういった相談は決して珍しいことではありません。その当事者を持つ、家族の悲しみや苦しみをご想像いただけますでしょうか。誰にも相談できず、家族も不幸になっています。

宮迫さん、もし本当に振り込め詐欺の撲滅のために、本気で取り組む気がおありなら、是非、私たちに力を貸して下さいませんか?あなたの発信力をもって、ギャンブル依存症者が犯罪に加担してしまうことを、水際で防げるよう、一緒に啓発して下さいらないでしょうか。

宮迫さんは、これまで依存症者のことなど考えたこともないでしょうし、しかも社会で「自業自得」と思われ「ダメ人間」とレッテルを貼られた我々など、さげすみ、忌み嫌っていたかもしれません。でも本当に困っている人は、ここにいるのです。

そういったもしかしたらあなたが低く見ていた人達と一緒に何かをすることは、プライドが許さないかもしれません。
けれどもこれまでのプライドを捨てる勇気が持てる方だと、あの会見を拝見して以降思っております。
ですからそんな宮迫さんを見込んで私からお願いします。

今、宮迫さんは社会全体が敵にまわっているような恐怖を味わっているかもしれませんが、世の中はそんなに一色染まったりしません。むしろこうなった今こそ、私たちはおそらく日本で一番宮迫さんの力と経験を必要としています。

詐欺被害を軽減するため、そして加害者側に回ってしまいそうな私の仲間達をどうか一緒に救って下さい。
ご検討頂き、ご一報いただけたら幸いです。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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