大好評の持続化給付金についての文春記事への疑問

2020年05月29日 21:00

nanairo125/写真AC

新型コロナウイルス対策で、政府が閣議決定した2020年度第2次補正予算案の評判はいいようである。与党の要求をほとんど丸呑みしたと称されるほどで、「持続化給付金の充実」や、「店舗賃料の支援」「学生支援」「医療対策」「マイナンバー発行の迅速化」などを盛り込み、至れり尽くせりである。

私はこんな国民を甘やかしていいのかという意味ではおおいに疑問有りと思う。昨夜のドイツのニュースでは、EUのフォンデルアライエン委員長は、新コロナからの欧州復興のために創設される基金(南欧救済)の財源として、プラスティック、炭素、金融取引、フェイスブックなどグローバル企業への課税を検討しているといっている。

これはEUとしてのもので、各国はまた別で消費税などの増税も俎上に乗ってくるだろう。金を使って増税の算段を考えてない頭の悪い政治家や国民は世界でも日本以外にいない。外国人投資家ならいざとなれば資金を引き揚げたらしいだけだが、私も含めて日本を離れるつもりがない人間にとっては心配は増す。10万円給付金は何に使うかと効かれたら、ささやかに「外貨預金にでもする」と答えている。

緊急事態宣言で休業中の店舗(編集部撮影)

特に評判のいい持続化給付金は、まさか自分が給付対象となるとは思わなかったはずのかなりの国民に高額ボーナスが支給されるのと同然になり、私の周囲でも大喜びしている人が多い。読者におかれても自分が対象になる項目がないか、チェックすることをお勧めする。気が利いた地方自治体首長は、県民でこれを利用できる人にできるだけ早く利用してもらえるようにバックアップしたいといっているが、自治体の財布は全く傷まないのだから実に賢い。

「持続化給付金」は、今年のどれかの月の収入が前年の半分以下になったらもらえる。休業手当の一部を助成する雇用調整助成金は、休業しなくても減収となるケースに使えないし、業種と企業の痛みが大きいかどうか必ずしも関係なく、問題だったので、持続化給付金を対策の目玉にしたのは正解だ。

インターネットで「昨年の確定申告」と、自分で作成した「今年の収入一覧」と「本人証明」を送れば2週間程度で振り込まれるという。手続きは極めて簡単で処理も迅速だ。わからないところがあったときに電話がつながらないので少してまどうが、ネットでよくある間違いなどを検索すればなんとかなりそうだ。間違いがあってもメールや向こうからの電話で解決するように心かげており、10万円給付金での気の利かない自治体のように、文書で出し直せとかいうことにはならない。

今から申請しても、地方自治体のお役所仕事のせいで振り込みが遅れている「10万円の特別定額給付金」より先に振り込まれるかもしれない。

持続化給付金は、窓口受託企業が効率的に処理しているので、スタートから1カ月もたっていないのに60万件が振り込まれた。第2次補正予算案では、サラリーマンが「雑訴得」として申告していたものにまで対象が広がった。

週刊文春の指摘する疑惑がなぜ馬鹿げているか

この事務委託先について、週刊文春が不明朗などと書いていた。

安倍政権がコロナ不況への緊急経済対策として打ち出した「持続化給付金」。約2兆3000億円の予算がついたこの事業を経産省から委託された一般社団法人が、実体のない“幽霊法人”だったことが「週刊文春」の取材で分かった。社団法人の代表理事が「週刊文春」の取材に対し、「何も活動がない」と認めた。

同事業を受注したのは「一般社団法人サービスデザイン推進協議会(以下、「サービス協議会」)」で、アベノマスクの予算を300億円も上回る769億円で契約している。

出典:トラブル続出 コロナ「持続化給付金」を769億円で受注したのは“幽霊法人”だった(文春オンライン)

電通本社(d’n’c/flickr)

この団体は電通やパソナが関与しているようだが、別に電通などが関与しているかどうかでなく、仕事を能率的にやっているかどうかであろう。

梶山弘志経済産業相は29日の閣議後会見で、持続化給付金を巡る文春の報道について「適正な契約のもとに実施している。精査をして、疑問点に答えるようにしたい」と述べているが、5月1日から申請受付を開始し、1日に18万件の申請を受け付け、87%に対し支払いを終えたのをはじめ、きょうまでに約75万件・約1兆円の給付を行っているという。

13%というのは、振込先の間違いなどがあったものとか、内容的に趣旨におよそあわないもの、若干の問い合わせが必要なものとかがあるわけで、そんな大きな数字ではない。

これだけ莫大な件数を、このスピードで処理できる人数とIT資源を備えているのは国内でだいたい2つくらいのグループしかないといわれる。競争入札で1社が請け負っただけであり、スピード感は驚異的だ。

もちろん、スピードを犠牲にするなら、分割発注したりということはあるかもしれないが、それでは意味があるまい。あるいは、もっと多くの公務員をかかえていたりすれば、役所が自らするということもできるだろう。行き過ぎたアウトソーシングについては議論もあるが、今回のように臨時にでてきた仕事でスピードが必要なときには、民間委託のほうが適切だろう。

もちろん、韓国並みにマイナンバーカードによる「収入」や「口座番号」「税務情報」などの一元的把握をしておれば、これより迅速に処理しようすることは容易だ。私が提唱しているように、韓国の仕組みを取り入れたら、申請なしで振り込むことも可能だろう。

マイナンバーと、さまざまな情報をひも付けする(=相互に結び付ける)ことは、野党や自称リベラル系マスコミの猛反対で実現しなかった。国民はいま、そのツケを払わされているのだ。

なお、このあたりについては、松田政策研究所のYouTube特番でマイナンバーカードの韓国における運用の実態とコロナ対策についてはなしたものがアップされた。かなりこの問題を掘り下げて議論しているので、ぜひ、ご覧いただきたい。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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