180度変わるビジネスの色合い

2020年07月20日 14:00

「アセットライト(Asset light)」という言葉をこのブログでご紹介したのは2011年で当時最先端の発想であり、ほとんど誰も使っていませんでした。もちろん現在でもあまり聞きません。今、グーグル検索をすれば「アセットライト」だけで当時の私のブログがすぐに出てくると思います。8年8カ月も前に書いた内容ですが、コロナの今に再度焦点を当てるべき内容かもしれません。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

会社では資産を所有しそれを活用するのが原則でした。元請は協力業者が自分達のためだけに働いてくれるようあらゆる手段を講じて囲い込みをしました。工場を持ち、不動産を持ち、社員寮を持ち、保養所も持ち、自社だけのシステムを作り、従業員は兼業させず、社員とその家族には愛社精神を誓わせ、さすがにもうやらなくなったけれど会社の運動会があり、社食で同じ釜の飯を食べるわけです。

純粋な意味でのアセットライトとは本社といった不動産や工場を持たないファブレス化を進め、会社の持てる資産を頭脳、ノウハウ、知識、専門性に集中させ、時代の変化にすぐさま対応できるようにすることだと理解しています。私は2011年に書いたそのブログ以降も時折このアセットライトの発想をご紹介してきました。

例えば私は不動産事業を通じて人様にその場所とサービスを提供することを大義としてきました。シェアハウス、マリーナ、駐車場、商業不動産…といった具合です。今は売却しましたがレンタカー事業もクルマというアセットをお貸しすることで必要な時に必要な分だけ使うという考え方は時代の要請だったと思っています。今話題のサブスクリプションサービスはその進化系と考えてよいでしょう。書籍も音楽も所有せずに必要な時に引き出すという考え方です。

コロナの影響は社会常識やビジネスの根幹を変える勢いがあります。昨年までの時代の流れに乗って過剰投資したところは厳しい試練が待っています。例えばシェアオフィス。私どもも入居していますが、さっぱり入居者が戻ってきません。戻ってきている会社も終日、業務している人は少なく、午前中だけとか週半分といった状況です。

運営会社は青色吐息でサービスの部分は完全に剥落しました。例えば受付には2人いたけれど今は来たり来なかったりでいても一日数時間だけ。そのため朝は私たちが電気を点け、共有のテレビをつけ、コーヒーメーカーのスイッチを入れ…帰りはその逆をするということをボランティアでしています。

ビジネスを極限まで絞り込むとどうなるのでしょうか?恐ろしい話ですが、そのコアを動かすだけなら業種によりますが、かなり少ない人数で廻せるものです。今、在宅勤務が叫ばれていますが、個人的な印象は在宅でもビジネスが廻るということはそれはノンコアの要員だった可能性があります。

私は預言してもよいのですが、在宅勤務を今年一杯まで続けたらその人のマインドはもはや会社のあるべきペースに戻れなくなり、個人能力の期待値を回復できなく人が続出するとみています。これは2011年に書いたアセットライトが不動産であったならば2020年版は人材のアセットライトが進む公算があるという意味です。

日本と欧米を比較して失業率に差異があるのは測定方法の違いもあるのですが、仕事に対するフレキシビリティが日本人の方が高いのです。大学卒業までに特に専門分野を磨いたわけでもなく、自分がやりたい分野が明白にあるわけでもないので大企業のブランドネームを頼りに就職します。会社側も大量に一斉採用した新卒者をとにかく各方面にばら撒くわけでその時にようやく自分のやる仕事が分かる仕組みです。欧米では逆立ちしてもあり得ない発想でしょう。

故に仕事のこだわりが少なく、営業でも総務でも経理でも現場管理でも振り回されてしまうのです。これは逆に仕事に対する愛着ではなく、大企業のブランドにしがみついているだけで企業側にはメリットが少なかったことに気がつくことになるでしょう。この振り落としには気を付けた方がよいと思います。

私はアセットライト戦略の中で世の中でよりライトにすべきアセットと必要とされるアセットが何かをずっと探しています。そしてなんとなくは見えています。コロナが生み出した大変革の中で新しいビジネスはどんどん生まれていきます。流されるか、うまく乗るのか、あらゆる見地からの考察がこの混沌とした世界から一歩前に出られるかを決めるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月20日の記事より転載させていただきました。

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