医療クラスタはゼロリスク神話に勝てるのか

2020年09月04日 06:00

子宮頸がん(HPV)についての情報を広く発信する目的のクラウドファンディングが、スタートからたった2日で最終目標額1300万円をこえて支援総額を伸ばし続けています。

私も早速この活動を応援し、寄付することにしました。HPVに関する情報は私がここで繰り返すよりも、当該サイトを参照したほうが分かりやすいと思います。

(参考)みんパピ!

(参考)「がん」を予防するワクチンがあることを、みんなの当たり前に! ― 重見 大介

FineGraphics/写真AC

近年、科学的根拠のないご都合主義の代替医療や、リスクを過分に煽り却って問題解決から遠ざけるゼロリスク神話が蔓延する情報汚染は、情報化社会の中で医学が直面した課題でした。

情報汚染はセンセーショナルな演出をし、感情に訴えかけます。

情報汚染がメディアやSNSにのって恐るべき速度で被害を拡大させるのに対し、科学的な理論武装で愚直に立ち向かうのは、爆撃機に竹やりで立ち向かうようなものだと揶揄されます。エビデンスの理論武装は時に厳しい現実を突きつけ、感情が動かされることもないからです。このように医学はこれまで情報汚染、風評被害に負け戦を続けていました。

しかし、新型コロナを潮目に状況が変わりつつあると感じています。

 SNSの発達によってエビデンスに深い理解を持つ個人が情報発信力を持ち、それを理解できる業界関係のフォロワー群「医療クラスタ」が支えるという構図ができてきました。

いままで小さな声で終わっていた「科学的な論拠」が、数の力に後押しされ、企業や有名人を動かすまでの力になってきました。

(拙稿)「おやすみポカリ」特設HP閉鎖。虫歯予防デーの奇跡 ― アゴラ(2020年06月07日)

視聴率偏重が指摘されるマスメディア報道で蔓延してしまったHPVワクチン危険論ですが、SNSで結集するクラウドファンディングによる実社会への影響力獲得は、情報汚染治療のモデルケースになるかもしれません。

近年様々な社会問題で共通する課題は、科学が風評被害に負けてはならないというものです。私たちは早急に情報汚染の治療法を見つけなくてはなりません。

情報汚染の爆撃機に勝つのは、科学的根拠という武器を提供でき精神的支柱となるインフルエンサーを軸にした、フォロワーによる独立分散型の同時多面的活動 ― SNSゲリラ戦法なのかもしれません。

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中田 智之
歯学博士・医療行政アナリスト

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