どうやって前に向いて登り続けるのか?

2020年09月13日 11:30

私は時々、山登りに近いハイキングをします。カナダの山は急峻なところが多く、場所によっては這いつくばって登るようなところもあり、登っても登ってもその先が見えなかったりします。ようやく、その向こうに開けた感じがあり、少しなだらかになるのかと思いきや、その先にはそれ以上の登りが待っていたりします。

山登りと人生を掛け合わせるとなるほど、重なるものがあります。山登りはいったん登り始めると引き返しにくいものです。人生もいったん始まると途中退場できません。ところが人生も平たんではなく、大きな転機は何度も訪れます。そこを乗り越えていくのに私は「足を止めない」ようにしています。

かつてマラソンもしていたのですが、途中から苦しくなり、止まりたくなったこともありました。しかし、いったん止まるともう走れないことはよくわかっています。だから意識しながら一歩ずつ前に足を出すことを続けるのです。するとしばらくするともう駄目だ、という気持ちがスーッと消え、また走っていたりするのです。そこにはメンタルの影響もあるのかもしれません。自分に負けないという強い気持ちです。

私の人生の景色はどんどん変わると思っています。学生時代の景色、社会人になったばかりのころの景色、30代でバリバリ働いていたとき、40代で成熟してきた時、50代で飛躍する時といった具合です。自分の次の区切りの景色をどう色づけるのか、これは自分が画家になった気持ちで白いキャンバスに「次の10年の絵」を描くような気持ちを持つようにしています。どう人生を楽しむのか、であります。

忙しそうなお前はどこでそんなことを考えているのだ、と聞かれることもあります。私はハイキングしながら、あるいは週末の早朝、ロードバイクに乗って疾走している時、週日はフィットネスのトレッドミルやステアマスターで好きな音楽を聴きながら運動している時、完全に自分の世界に入り込んでいるかもしれません。自分を日々の混沌から離脱させ、誰にも汚されない自分だけの世界に埋没している時、いろいろ考えが浮かびます。

ZOZOの創業者の前澤友作氏の人生をふと考えることがあります。彼はなぜ、自分が育てた会社を売り払ったのだろう、自分ならできるだろうか、と。創業者というのは自分の事業にとてつもない愛着を持っているものです。それをあっさり売却し、自分の次の人生を模索する人は私にとってとても気になるのです。

ブックオフの創業者の坂本孝氏は売却後、「俺のイタリアン」など一連のシリーズを作り上げました。全く違う世界です。LINEを日本のコミュニケーション インフラに仕立て上げた森川亮氏。彼もその後、自分を模索し、C Channelという会社を立ち上げて活躍しています。

人生、二毛作、三毛作をしている方はたくさんいらっしゃいます。ならば別に自分の育てた事業を売却するのもアリ、違う世界に飛び込むのもアリ、そして刺激があればあるほど面白い人生になると考えています。

私はある創業者から事業継承について長く相談を受けています。実務からは遠ざかり、株主として会社を支えていたのですが、事業が不振となりどうすればよいかというわけです。私はさっさと売却すべしと述べているのですが、愛着が邪魔をし、再び運営に戻ろうとしています。それは真逆のステップで人生の時間軸を逆に進めようとするものです。

事業は愛着だけでは育ちません。「可愛い子には旅をさせよ」というなら自分が育てた会社もいったん人に任せた以上、旅立つものだと考え、自分でまた新たな子を作ればよいのです。

邪念を払う、そして今自分がやらねばならないことに集中する、そこには必ず時間設定を行いゴールを目指す、これが私の歩の進め方です。手持ちの仕事は山のようにありますが、系統立てて一日の作業を決めるしかないのです。朝、シャワーを浴びている3分間でその日のプランと予定を考え、家を出て事務所に行くまでの間にそれを具現化する段取りを頭の中で作るのです。

最近は夕方6時には仕事を止めるようにしています。朝、7時からパソコンと向かい合い、会社の机の前には4画面のスクリーンがすべて違う仕事を映し出す日々を過ごすとさすが、夕方には疲れるのです。さっと引き上げ、好きな音楽でトレッドミルに乗るとその日のバトルもすっと消え、気持ちよい一日の終わりを迎えることができます。メリハリなんでしょうね。

峠という言葉で思いつくのは「峠を越す」かもしれません。今のコロナで峠にあえいでいる方はたくさんいらっしゃいます。私はロードバイクで山越えが好きだったのですが、それを「峠を攻める」と表現します。苦しいところで余力を持って攻め込み、追い抜きをかけるハードワークです。

私は足が動く限り登り、攻め続ける、この気力が人生をもっと楽しくする気がいたします。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年9月13日の記事より転載させていただきました。

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