大阪都構想失敗に思うこと

2020年11月02日 14:00

Luca Sartoni/flickr

大阪市の住民でもないどころか、海外に住んでいる者が大阪都構想失敗の話題を振るのは不謹慎そのものであり、大阪の方々には申し訳ないのですが、外から見た思うところを記させてもらえればと思います。

まず、橋下徹氏が立ち上げた維新がそもそも最大の目標の一つとしていた都構想について住民投票の一度目が2015年5月17日に実施されるも失敗、橋下氏が辞任しました。その後、15年11月の大阪府、大阪市のダブル選挙で松井一郎、吉村洋文氏がそれぞれ当選し、維新が決して否定されたわけではないという自信の下、今回の二度目の住民投票に臨んだわけです。

ある意味、それから5年の歳月がたっているわけで維新が大阪に十分に溶け込み、コロナ対策でも吉村知事がメディアでの露出も高く、一定のポピュラリティを維持している中での判断でありました。

一方で今回の住民投票をめぐっては外野がいびつだったことも特筆の一つです。公明党は維新と共に推進派として名乗りを上げる一方、自民党は共産党などと共に反対派となりました。本件、菅総理はほとんどコメントを発しない防御ぶりでその奥底に秘めた考えが見えない状態となっていました。

結論からすると前回の10741票差に対して今回は17167票差であります。ともに僅差であり、これでもって勝者総取りの民主主義って何なのだろうか、と思っています。いみじくも先日2回にわたってこのブログでも民主主義について皆様と一緒に考えたわけですが、民意とは過半数であるという公式は私は必ずしも正しくないのではないか、と思っているのです。

住民投票の結果そのものは確かに数の大小です。選挙で誰かを選ぶといった場合にも数の理論が優先するのでしょう。1票でも多い方が勝ちは勝ちというルールは選挙のみならず、スポーツの世界からすべてのコンテストを含め、万国共通であります。

しかし、住民投票は果たしてそれが全てなのかと言えば少なくとも半数近くの人は二度にわたって今の大阪の行政はおかしいと考えていたわけです。とするならばその半数のおかしいと思う部分を維新が中心となって2015年から現在に至るまで少しずつ改変し、市民に改革の意味を訴え続け、市民サービスの向上をステップバイステップで推し進めることがダブル選挙で勝ち抜いた維新の役目ではなかったかと思うのです。そしてそれは今回で幕引きではなく、民意が一方向を示すまでずっと続けるべきもののはずです。

今回松井一郎市長は任期満了をもって政界の引退を表明しています。橋下徹氏と同じです。私には本当にそれでよいのか、維新の存在意義とはそんな甘いものだったのか、と疑問があるのです。49%の支持しか取れなかったというのか、49%もの支持を取れたというのとは全くニュアンスが違います。

一つ、確実に言えることがあります。それはある事柄について民意を聞いたとき、1割とか2割しか賛同者がいないことがあります。ただ、それが間違っているという理論にはならないのです。かつて、多くの発明、発見、改革、判断が少数派の考えにあったことはよく知られています。

個人的には維新は今回のことに懲りず、維新流の改革を着実に進めていってもらいたいと思います。大阪の地盤沈下と言われたのはなぜなのか、東京がもう一杯で次は何処、という時、福岡だよね、という声があります。

かつて新幹線で名古屋はパッシング(通過)都市と言われました。このままでは大阪も通過都市になってしまうのです。万博も控え、国際金融都市構想もあります。それには今、大阪がどうあるべきか、この住民投票の結果に左右されることなく、じっくり改革の歩を進めるべきではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年11月2日の記事より転載させていただきました。

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