もはや「ゾンビ化」した“世田谷モデル”

2020年12月19日 06:00

Zeferli/iStock

17日の福祉保健常任委員会で、“世田谷モデル”の実施について、区から検証報告があった。

“世田谷モデル”は「誰でもいつでも何度でも」のお題目から大きく逸脱し、原形を留めないほどに複雑に細分化されている。よって、以下に掲載した概要を一見しても、よくわからない。もはやまともな行政の政策とは言い難く、区長の暴走と感染拡大という現実の狭間で、帳尻を合わせるために弥縫に弥縫を重ね、フランケンシュタインのような容貌と化している。しかし、実際はフランケンシュタインではなく「ゾンビ化」していると言ってよい。

 

とてもわかりづらいのだが、簡単に整理すると、まず“世田谷モデル”は大きく「定期検査」と「随時検査」に分けられている。そもそも前者は2~3ヵ月に1回の検査を指し、このモデルの主体をなすが、「こんな悠長なスパンと頻度では、何の意味もない」とのわが会派(無所属・世田谷行革110番・維新)の厳しい批判に遭い、頭の良い役人が言い訳に編み出したのが、後者である。この「随時検査」なるものが変幻自在に対応しているので、あたかも“世田谷モデル”が稼働しているように見えている。

10月2日から12月14日まで、両者を合わせて204か所の福祉施設にPCR検査を実施。人数は3619人で、うち53人の陽性者を炙り出した。もちろん、全員無症状者である。この陽性者53人のうち、「定期検査」で18人、「随時検査」で35人が陽性と判明したのだが、後者には有症状者に実施する、保健所を軸とする「従来型検査」で、手が回らない分を検査するなどの補完的機能も負わせているので、本来、純粋な“世田谷モデル”による成果とは言い難い。それに、53人の陽性者のうち、何人が入院し、あるいは宿泊施設に入り、どれくらいが自宅療養になっているのかなどの内訳は「わからない」とのことだったが、病床が逼迫していると言われているのに、検証作業の詰めが甘いのではないか。

さらに今回わかったことは、「定期検査」は、区内の福祉施設1500か所、約23000人が対象となっている中で、現在希望している施設は455か所、7912人しかないということだ。実に対象のうち約30%しか手を挙げていないという現状が浮き彫りとなり、私が当初から指摘しているように、「魔女狩り検査」に喜んで申し込んでくる人間など、そうそういないということである。そして、実際に受検した施設は120か所、3159人しかおらず、区は「1日に10か所の検査が限度で、それ以上は手が回らない」などと言い出し、「定期検査」の予約受付はすでに停止。区の都合でいかようにもできる「随時検査」しか行わないことにしてしまった。つまり、「クラスター化の抑止」だとか「感染拡大の防止のため」に実施すると散々言い募ってきた割には、2万数千人の検査すらできず、その目的は霞んで見えなくなり、区内の施設ではクラスター化が散発している体たらくなのである。

要は「定期検査」を主体としていた“世田谷モデル”は事実上死んでいるのだが、「随時検査」によって息を吹き返し、ゾンビよろしく区内を徘徊しているようなものである。あえてよく捉えれば、実際は、私が初めから主張してきた「従来型検査」の強化・拡充が実施されているとも言えるが、直線で50mしかないところを、何キロも迷走した挙句、ジャングルまで入り込んでようやく出てきたようなもので、まったくもって徒労感しかない。

そこへもって、“世田谷モデル”は来月1月で終了、としていたくせに、保坂区長がこだわるプール方式を目玉とする「スクリーニング検査」という新企画が本日ぶち上がり、なんと3月まで延長するといきなりの方針転換。ゾンビにカンフル剤を打ったということなのか。プール方式は精度が保証できないことから、国が認めていないので財政支援はない。そこで今度は都の補助を見込んで、強行突破するということのようである。早速ニュースになっていた。

福祉保健委員会で役人が議員に説明しているまさにその時間、区長が会見を開くという何とも“戦略的”なやり方ではある。さすがに、委員会の前に開く勇気はなかったのだろう。この件はまた次回に。

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稗島 進
世田谷区議会議員(日本維新の会)

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