筆者がやっている満足度の高いお金の使い方

黒坂岳央です。

生きていれば必ず出費が伴う。家賃や光熱費、通信費に食費など、生きていく上で必要不可欠なコストは固定費と呼ばれ、文字通り固定でかかるので動かしようがない。

QOLを決めるのは固定費より、むしろ変動費である。変動費は外食、旅行や自己研鑽など意識すれば0円でも青天井にも引き上げることができるコストのことを言う。

問題は将来への備えを意識しすぎて、変動費を極端にケチって現在時間を空虚に過ごしてしまい、お金だけはあるが思い出が何も無い人生になりがちということだ。筆者がやっているマネーのコツを2つ紹介したい。

metamorworks/iStock

コツ1.収入で変動費を決める

ルールはシンプルで収入が増えたら、変動費を増やすのである。その際、あらかじめ割合を決めておくのがコツである。自分のようにサラリーマンでない立場を取っていると、収入は毎月大きく変動する。これをするようになってからお金を使う時は行き過ぎたコスパの概念で妙な罪悪感を覚えることもなくなった。これまでは収入の多寡に関わらず、「大型旅行は年に1回か、多くても2回」みたくなんとなく考えており、すぐに使わないお金は全て長期運転資金にあてていた。

だが心の奥底で漠然と「将来、取り崩して使うだろうか?」と考えていた。もし、使わないまま人生を終えるなら、それはもったいないなという感覚もあった。加えて、自分は元来、倹約家で散財が苦手である。溜め込んだまま人生を終えてしまいそうな感覚がどこかにあった。また、365日仕事だけが続くと、仕事の成果物という「記録」は残るが代わり映えのない日常が続けば人生の「記憶」がない一年間になってしまう。

そこで収入に応じて「収入が増えた分は遠慮なく使ってもいい」というルールに変えた。これをしてからは空漠たる不安は雲散霧消した。

「思い立った翌週からリゾート地でのんびり長期滞在」みたいに試してみたが、使わない分は先に確保しているので出費への罪悪感もない。「永遠に老後資金が積み上がるだけでは?」という感覚もない。もちろん、収入が落ち込むことが続いたなら、それに連動して出費をやめ、仕事や勉強に集中すればいい。

「サラリーマンは固定給なのでそのようなことはできない」、と反発がありそうだが、残業代は変動値であり、イマドキ投資や副業に励んでいる人も増えてきたので、変動収入を持つ人もいるだろう。自分がやっているように、増えた資産割合に連動して、今を楽しむ消費に使うことを推奨したい。

巨費を投じる勇気が出ない人は、外食のグレードをアップしたり、いいワインに手を出すなど割合を減らしてこのルールを適用することでも十分充実感があるはずだ。

コツ2.時間を増やすものに使う

それからお金は時間を作ってくれる対象に使うのも勧めたい。

たとえば電動歯ブラシ、ロボット掃除機、男性ならヒゲ脱毛、年末大掃除の外注などである。また、自分の場合は旅行や出張は、物理的にも身軽でいたいので、多少送料がかかってでも荷物はすべて現地の宿泊先受け取りで郵送し、常に手ぶらで身軽に活動できるように意識している。手ぶらはまったく疲れないし、荷物の置き忘れや盗難のリスクもゼロである。体力や気力が温存できれば、活動可能時間も増える。

無駄な時間をカットして、ゆったりと過ごす時間を捻出してくれることにはコストを惜しむべきではない。常に忙しいと「重要で緊急性の高いもの」しかできなくなり、人生を最も大きく変える「重要だが、緊急性はない」ものには一切手を出せなくなる。頭の中が緊急警報がなり続け、常に走り回っていると新しい発想も、他人に対しても精神的な余裕もなくなってしまう。

目先、多少の出費があっても時間を作り出すことはトータルだとその出費を十分カバーする価値はあるし、むしろそのつもりで仕事に励むべきだろう。

逆にお金をかけるべきでないのは固定費だ。住居や車をやたらと豪華にしてもすぐ飽きてどうでもよくなるし、豪華にすることで「誰かに見てもらいたい」と無駄な承認欲求が湧き上がって、他人から見て取り扱いの面倒な人物になる。固定費は自己満足で自分一人で閉じた世界でいいだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。