東北大震災の影響

2011年03月18日 12:17

自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で「原子力政策を推進していくことはなかなか難しい状況になっていることは事実だ」と述べ、自民党が一貫して進めてきた原子力推進政策の転換は避けられないとの考えを示した。

科学技術庁長官として原子力委員長を務めたことがある谷垣氏の言葉だけに重みが違うと感じるのは私だけだろうか?

私自身も昨日の朝に原子力発電の終焉を投稿したばかりだったので、感慨深いものがある。

何れこういう動きは政界にも出て来るとは予想したが、正直ここまで早いとは思わなかった。自民党は野党になって本当に大きく変わったと思う。

今後の政界も、原子力発電を推進する民主党と、見直しの自民党と言う対立の構図はありと思う。はっきりとした対立軸を持つ事は何より国民に取って判り易く政治参加を容易にする。

今回の震災に際しても、無能で余り機能していると思えない菅政権を観ていてストレスを感じるが、政権交代やって良かったと感じるのはこう言った好ましい変化を目の当たりにした時だ。

ドイツ政界も脱原発の動きが加速している。従来、CDU(ドイツキリスト教民主同盟)を中核とする政権与党は原発を擁護し、野党SPD(ドイツ社会民主党)他は原発反対で、国民の間に大きな論争を起こして来たが大勢は決したと思う。

メンケル首相は政権維持の為、原発廃棄に舵を切った様だ。

ここ数年で、110基の原発建設計画を持つ中国も一旦計画の凍結を発表した。

中国も実に素早い対応である。仄聞する所、中国の原発は送電線ロスを最小化する為、人口密集地に隣接して建設されるケースが多いとの事である。原発建設地区住民に安全確保を説明しきれないと言う所であろう。

今後、中国政府は強権を以て予定通り110基の原発建設計画を推進するのか、或いは民意に配慮して凍結するのか難しい選択を迫られる事になる。

飽く迄私見であるが、今後原発の新規建設は北朝鮮の様な独裁国家か、イランの様な独特の宗教国家以外は難しいと考える。

アメリカのGMがピックアップトラック生産の中止に追い込まれた。自動車は部品件数が5万を超えると聞く。GMに限らず、高度な技術を必要とするバイタルパーツの多くに、日本製品が使用されている筈だ。

自動車メーカーとしては、今回のGMの様に生産ラインを止め、日本からのパーツの供給開始を待つのか、品質に目をつぶって他メーカのパーツを採用するかの、辛い選択を強いられている様な気がする。どうも、今年は自動車を購入するのは控えた方が良さそうだ。

韓国・台湾は日本から基本技術、アセンブリーラインそしてバイタルパーツを輸入し、組み立てた最終製品を世界市場に輸出する事で成功した。

従って、短期的には苦境にある日本メーカーの市場を奪う事で売り上げを伸ばせるかも知れないが、足腰の部分にボディーブローが効きそうだ。

投機資金は株式市場から逃げ出し、東北震災と今回のバーレン動乱を材料に原油先物市場は高騰を続けている。日本は通貨が高騰しており、結果オフセット可能だが、原油を輸入に頼る発展途上国に取っては厳しい状況が当面続きそうである。

東北復興の為の資金需要が旺盛と思われ、これは日本政府、日本企業によるドル建て債券の売却を連想させ、ドルが売られ円が買われている。結果、円は歴史的高値を付けた訳であるが、これで止まる保証はない。

東北震災に眼を奪われている内に中東が大変な事になっている。リビア、カダフィ大佐の暴挙。サウジ、バーレーンに於けるシーア派とスンニ派の深刻な宗教対立。

野口氏も指摘する様に、アメリカは対応を完全に誤ったと思う。

しかし、冷静に考えねばならないのは、長引く、イラク、アフガニスタンへの進行、そしてリーマンショックの後遺症により経済、財政が疲弊し、これ以上の軍事展開が不可能になっている事の背景となっているのではないか?

日本はアメリカのATM等と無責任に揶揄する論調もあるが、日本がアメリカの要請に答え、しっかりとアメリカ国債を購入した事で軍事展開が可能となり、秩序が維持された歴史を今一度見つめ直すべきかも知れない。

勿論、今の日本はアメリカ国債を購入出来る状況ではなく、寧ろ売却して今後の復興資金に充当したい所と推測する。

日本のマスコミは多分報道していないと思うが、昨日英国の救助チームが生存者を見つけられないまま帰国した。

これは人命救助第一のステージが終了したと言う事である。この間は、人命救助、現場第一で脆弱な政府の統治機構やリーダーシップ不在の首相他への批判は差し控えられたと思う。

但し、今後に就いては容赦ない批判が内外より降り注ぐのは確実であろう。

山口 巌

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑