これからの未来:現代の黒船の到来、あなたは坂本龍馬に憧れますか? --- 谷本 貫造

アゴラ編集部

今後、エネルギー、食料、水、人口増加などの問題が世界を揺るがすという人がいるが、なんら問題ない。全てはイノベーションがもたらすテクノロジーが解決していく。

石油は藻などにより、有限資源が無限化され大量生産が可能となることで低価格化し、食料は太陽光を浴びる平地という贅沢な環境から、立体の食料工場で生産される工業製品となり大幅な生産効率を達成し低価格となり、電気も自然エネルギーとバッテリーのコスト逆転を果たすことで電気代は安くなる。グローバル化は更に進み、物の値段は益々低下していく。


ITの進化も留まる事を知らない。有線から無線、PCからスマホへと進化したが、今後は服、家、車など、あらゆる物にチップが内蔵されネットワークとつながり、スマート化され、人が指示することなく人の行動に自動的に反応し、付加価値は激増する。しかし値段は今より高くはならない。逆に世界標準化され、今より安くなっていく。

スマート化で重要となるのがソフトの世界。スマート化された物が自動で動いていくには、そのためのソフトこそが重要となる。しかしそのソフトさえも高くはならない。ソフトこそ競争にさらされ、限りなく安くなっていく事となる。

インターネットで提供されるコンテンツもしかり、無料でできる事はもっと増え、映像や音楽などは、利権構造の解体と共にもっと安くなっていく。

そう! これからの世界は、あらゆる物の値段が下がっていくんだ!

【物の値段が下がることが意味すること】

なぜ、金利は安くともインフレが起きないのか?
なぜ、銀行は貸出先がなく困っているのか?

これらは全てつながっている。物の値段が下がる事で、必要となるお金が少なくなった。要するに、物の交換機能として世に普及したお金は、物の価値が低下する事で、お金の価値までもが低下する事となったのだ。

この傾向は更に加速してるのだが、実はこのお金の価値の減少は物だけではない。

例えば最近、ステルスマーケティングが叩かれているが、評判や信用といった無形価値をお金でなんとかすべくマーケティング手法が様々に開発されてきたが、そんな手法が通じにくくなってきている。そしてこの傾向は益々顕著になっていく。この傾向が増加するほどにお金では買えない価値となっていき、ここでもまたお金の価値は相対的に低下していくのである。そして注目すべき事は、お金で買えないものが増えようとしている点である。

【プライスレス:お金で買えないものの台頭】

テクノロジーの向上がもたらす可処分所得の向上は、生きる事をより簡単にさせ、生活のためではなく、何かを得るために生きていく事となる。その何かとはお金じゃない。愛、評価、信用など、お金より大事な何かの価値が高まっていき、人々はそれを得るために最も努力をしていく事となる。

【黒船の来襲:時代の大転換の到来】

正に今、現代版の黒船が来襲直前であることを理解しているだろうか?
その前に黒船を復習しよう。アメリカからペリーが黒船を引連れてやって来たのが1853年、これが引金となり明治維新を経て明治政府が出来たのが1868年。黒船からたったの15年で、ちょんまげ&着物が洋服になり、士農工商が平民となる。政治体制から、価値観から、あらゆることに大転換が訪れる事となった。

黒船がやってくる! 日本だけでなく、世界にとっての黒船だ。

日本の国債暴落が間近に迫っている。それはアメリカの財政破綻を意味する。ドルの基軸通貨への信任が崩壊した時、金融危機は単なる危機ではすまなくなる。基軸通貨の崩壊とは、お金のあり方を根本的に問い正す大津波が世界中に押し寄せ、世界各地に黒船がやってくる事を意味する。

でも、この黒船の到来は世界の終わりではない。全ての始りの合図なのだ。
黒船後の未来は実はとても明るい。徳川から明治への転換が、多くの人にとって良い変化となったように、此度の黒船もまた、世界中の人に良い変化をもたらしてくれる事となる。

黒船到来後の大混乱で多くの職は失われ、従来の価値観は様々に破壊されていく事となるのだが、しかしだからこそ人々は古きを捨て、新しい価値にチャレンジしていく事となる。その多くのチャレンジの中から次なるテクノロジーが発展し、様々な問題を解決し、あらゆる物の値段を低下させ、お金で買えないものを台頭させていく。一方で、通貨の信任低下によりお金の価値は益々低下していく事となる。

あと5年以内に来るであろう現代の黒船。そこから15年で20年後。
徳川から明治で何もかもが変わったように、今からとはまるで違う、そんな世界が到来するのです。

あなたは坂本龍馬に憧れますか?

龍馬になれるチャンスの時代の到来です。龍馬は黒船が来た時、もう土佐から飛び出していました。
まもなくやってくる時代の大転換に何を準備しておくべきか? それが重要ではないでしょうか。

谷本 貫造
日本通信基盤整備事業 株式会社
代表取締役