富士フィルムとコダックの明暗を別けたもの

2012年01月20日 11:15

ロイターがコダックの破綻を伝えている。

130年余りの歴史をもつ米映像機器大手イーストマン・コダックと同社の米子会社は19日、連邦破産法第11条の適用による事業再編をニューヨーク州の連邦破産裁判所に申請した。2013年中の事業再編完了を見込んでいる。


それでは、富士フィルムとコダックの明暗を別けたものとは一体何なのだろうか?

識者、論者の多くは、きっと「イノベーションのジレンマ」への対応が明暗を別けたと説明するであろう。実に便利な言葉である。惜しむらくは、この言葉が金科玉条となり、人々を思考停止にしてしまっている事である。

The Economistの記事が詳細を解説している。

コダックを責めるのは酷だと思う。何分、主力商品たる写真フィルム市場が業界ごとほぼ消滅するという事態に陥ったのである。コダックの破綻は全盛を誇った恐竜の絶滅と同じで、当然の帰結と理解する。

富士フィルムが奇跡を起こしたと賞讃すべきと思う。

この奇跡を起こした古森氏は、2000年に富士フィルム社長に就任している。

飽く迄、推測であるが社長就任に際し、富士フィルム破綻までXXX日と仮定し、破綻回避の為、出来る事、やるべき事を、愚直に熟されて来たと思う。当時、同社が2兆円のキャッシュを保有していたのが幸いしたのも疑いのない事実であろう。

The Economistによれば、「フィルムで当座のキャッシュを稼ぎ、デジタル化に徐々にシフトする。新規事業を起こす」の3本建て戦略で臨んだとの事である。

新規事業で眼につくのは化粧品事業である。六本木、ミッドタウンの同社本社で貼ってあるポスターは今やこの関係ばかり。正月には写真フィルムではなく、化粧品のCMを流したとの事である。

写真フィルムは紙パルプから抽出されたセルロースを原料とする。従って、「化粧品」や「健康食品」に関係する多くの要素技術を持っていたと推測するが、商流の開拓を含めて今日の成功迄は棘の道であったと思う。矢張り、古森社長のリーダーシップに負う所大と思う。

The Economistも同様、古森社長のリーダーシップを高く評価している。

今一つ、見逃してはならないのは2001年に富士ゼロックスの株を買い増し、株式の75%を保有する連結子会社化に成功した事であろう。

この事業領域、オフィス用複写機・複合機、プリンターなどの売り上げは現在同社の42%を占めると聞いている。実に見事な変貌である。

余談となるが、20年前に同様キャッシュリッチであったオリンパスは財テクに走り、地獄に落ちた。古森社長が今回The Economistから賞賛される傍らで、同社の過去の社長は刑務所で余生を過ごす事になるのであろう。経営者の資質の差とは言え、明暗もここまで来ると、流石に言葉に詰まる。

「笑う顔には福来たる」ではないが、こういう勢いのある会社には往々にして良い話が持ち込まれるものである。

WSJが「富士フイルム、オリンパスへの出資も検討=古森社長」と伝えている。

今後、医療分野での同社大躍進を予感する。

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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