IT防災にはアクセシビリティの視点が不足している

2012年09月01日 10:52

今日は防災の日。一環として、IT戦略本部・IT防災ライフライン推進協議会では「IT防災訓練」ポータル試行サイトを立ち上げた。このサイトは、6月28日に協議会が決定した「IT防災ライフライン構築のための基本方針及びアクションプラン」に基づいて作られた。

基本方針は「政府・自治体に集まる情報の公開と有効利用」「政府・自治体による民間・草の根情報の集約化」「ITを活用した防災連絡体制の確立」などを掲げている。東日本大震災の教訓を反映してIT戦略本部で基本方針が立案され、政府・民間が動き出したことを歓迎する。ただ、すべてが供給側のロジックで、利用者視点が乏しいのが気にかかる。


人々は発災直後から情報を求め始めるが、それは障害者・高齢者・外国人なども同様である。これら多様な人々にとって情報を利用可能にすることをアクセシビリティというが、基本方針ではほとんど言及されていない。アクセシビリティという用語は「マシンアクセシビリティ」という別の文脈で一度書かれているだけだ。外国人向けには「政府が発する在日外国人や海外向け等の災害情報発信等について日本語を母国語としない人に理解してもらうための多面的な対応策を確立する」と記載されているが、被災の現場で情報の途絶に苦しむ外国人に役立つアクションとは読みとれない。高齢者・障害者に対してはITリテラシー教育から始めるという、緊急性と実効性に乏しい計画になっている。

人々がテレビ、ラジオ、携帯電話、ポータルサイトなどを通じて情報を入手できるように、「公共情報コモンズ」を構築するという。それでは、そのテレビ放送にはリアルタイムで字幕が付与されるのだろうか。ポータルサイトはニーズに応じて的確に読み上げできるだろうか。「公共情報コモンズ」の構築では、最初からアクセシビリティを意識しておかないと利用できない大勢の人々を生みだす恐れがある。

本当に役立つアクションを実行していくために、アクセシビリティの視点から基本方針を見直すのが適切である。IT戦略本部は協議会構成員に利用者の代表を加えるべきだ。

山田肇 -東洋大学経済学部-

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