世界通貨にふさわしい「円」を考える --- 岡本 裕明

2012年10月14日 13:18

野田首相が過度の為替変動には為替介入で臨む、と発言しています。いわゆる口先介入だと思いますが、IMFの総会が開かれていた折、無名の財務大臣を擁し、首相の発言はいかがなものかと思います。

特にブルームバーグの記事では「首相は欧州での債務危機後に資金の逃避先として円が買われる動きが出たことについて『相対的な評価として円の評価が高まったというのは一時的にはあった』としながらも、『日本経済のいわゆるパフォーマンスを正確に反映しているものではない。それはIMFもそういう評価をしていると思う』との認識を示した。」としています。この発言の裏側には日本円はそんなに魅力的ではないと言っているわけです。


為替に関しては専門家でも見方が真っ二つに割れるほど予想が難しいものの一つです。私はその中で、為替は一国の経済や社会の動向で決定するものではなく、二国間の相対の相場であるから、あくまでもシーソーをイメージすべきと主張し続けてきました。

今、円が対ドルで78円台と高い水準を維持し続けているのはドルが相対的に強くないという事に他なりません。なぜかといえば相次ぐアメリカの金融緩和でドルの価値は下がり続けているからであります。株式市場で企業が増資をすると株価は増資見合いの比率分、ドンと下げるのが普通ですが、金融政策でも基本的には同じ様な発想であるはずです。

更に地球規模で見ればユーロは当面回復の見込みがないと見られており、結局、溢れる資金の行くところは米ドルと円、しかも円とドルを考えれば円がまし、という事であります。この考え方を裏付けるものとして国債市場での第一人者、PIMCOの日本部門が、「日本は汚いシャツの中では綺麗だ。当分の間、着る分には構わない」と発言しています。

よって、日本経済のファンダメンタルズがどれだけ悪いと悲観論者が言おうが日本は世界で最も多額の海外資産を持っている金満大国であることは変わらず、国債が危機的水準であるというのは数あるファクターのごく一面しか捉えていないのであります。

では、政界財界が望む円高是正とはどうしたらよいのでしょうか? この問題は私が大学生の頃、円の国際化というテーマで勉強し、プラザ合意以降円高になるたびに円高是正が叫ばれてきましたが25年以上、抜本的対応が出来ませんでした。

今、世界通貨を流通ベースで考えてみればドルが62%、ユーロが25%、円とポンドが4%ずつでそれ以外がローカル通貨という事になります。また、世界で準備通貨として認められているのはこの4通貨のみでIMFのSDRのバスケット構成通貨でもあります。つまり、円は市場で4%のシェアしかないのに世界通貨として扱われていることに最大の原因があるとみたらどうでしょうか?

分かりやすい例えで、ある国の自動車販売がA社からD社までの4社で上記と同じ市場シェアだとします。A社が故障車を出し、B社が財政危機、おまけにC社はB社と関連が深いとなれば多少マイナーブランドでも消去法でD社の自動車を買うでしょう。今の円高はまさにこの状況なのです。つまり、幸か不幸か、円が世界通貨であるという事を為替を論じる中で見落としているとしか思えないのです。

ならば方法は二つ。円を偉大なるローカルカレンシーに戻すのか、世界通貨として流通度を高め、市場シェア上昇を企むか、です。まさか、今更ローカルカレンシーに戻るという選択肢はないでしょうから円の国際化、というより、もっと円が世界でシェア向上できるよう政策的に動くことが重要ではないでしょうか?

円が高くなったり安くなったりするのは円のポジションが世界的に見て実に中途半端であることは案外、為替の専門家もあまり指摘しているようには思えない様に感じます。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年10月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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