日本人は果たしてインフレに耐えられるか --- 岡本 裕明

2013年01月08日 13:26

安倍首相は日銀にインフレターゲットを導入するよう働きかけ、いまだにインフレ率がゼロ近辺であるこの数字を2~3%に引き上げようと画策しています。果たしてどうやってやるのでしょうか?

安倍首相は日銀に強力で継続的な金融緩和を働きかけ、更に不動産や株式のETFなどへの資金投入を考えるのではないかと思います。例えば不動産ETFは日銀の買い支えをしているという意味合いから価格が上昇、利回りも程よいことから資金が流入、そこで日本の不動産に薄日が差し込むというストーリーかもしれません。これは「風が吹けば桶屋が儲かる」に近い論理かもしれませんが、ないよりましでしょう。同じことは株式のETFにもいえるかと思います。


しかし、インフレがそんなに簡単にやってくれば日本の頭脳集団である官僚、日銀幹部がこれほどデフレで苦しまなかったわけで何かが違うような気がします。

私の住む北米では2~3%のインフレが経常的に起きています。カナダはインフレターゲット導入国で基本的にはうまくドライブできていると思います。まず2~3%のインフレはどんなことが起きるのか、実情を認識していただかなくてはいけません。

まず、インフレの定義ですが、コアインフレということにしましょう。コアインフレとは生鮮品やガソリンのように価格変動が大きいものを除外したインフレ率の計算です。定常的に使っているインフレとはコアインフレだと認識しています。インフレの計算には日常生活で使うさまざまなアイテムの価格がベースになっています。それこそ、つい数年前までは「やかん」もアイテムのひとつだったと記憶しています。アイテムのひとつであるテレビなどは極端な価格下落がありましたからインフレの計算においては当然足を引っ張ります。つまり、平均2~3%のインフレとなるとアイテムによっては5%ぐらい値上がりするものはゴロゴロある、ということであります。

エンド価格を5%も値上げしなくてはいけないものがあるとすれば仕入れ価格は10パーセント以上の価格上昇があってもおかしくないのです。ですので、実感としてはすごく価格が上がっていることになるのです。しかもこれはコアインフレの話をしているのですが、ヘッドラインインフレ(総合インフレ)も当然同様か場合によってはもっと振れることがあるのです。

私はカフェも経営していますから仕入れ価格はこまめにチェックしています。すると興味深いことに、どの業者もスーパーマーケットもそろっと価格をあげているのです。2~3%の価格上昇は案外目立たないもので知らぬ間に値上がりした金額を払っているということも日常茶飯事で起きています。しかし、カナダやアメリカでは価格の上昇に対しては一定範囲までの忍耐力が備わっています。ですのであまり問題になることはない、と言ったらよいでしょう。

では日本は値上げすることが可能でしょうか? しかもその理由が人件費の高騰という理由です。日本は供給過剰で価格競争が経常的に起きている国ですから一般的には無理だと思います。

トレッドミルは知っている人は多いですよね。ジムにあるランニングマシーンです。新しいマシーンは走る際の登坂角度をマイナスに出来るのですが、登坂角度マイナスとは下り坂になります。日本の物価はまさにトレッドミルの下り坂をずっと走っていて、せいぜい頑張ってもフラットがよいところなのです。上り勾配をつけるのは筋肉がいるのですが、それ以前に心理的に「登りはいやだ」という気持ちが先立っていないでしょうか?

日本の会社は価格転嫁した際に売り上げが落ちることを極端に嫌います。そしてそんなことをして責任を問われても責任を取る人もいないのです。ならば2%のインフレはどうやってやってくるのでしょうか? ここが私にはまだ十分理解できないところです。

日銀の問題ではないような気がするのは私だけでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきます。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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