「交際費」という企業、社会の潤滑油

2013年02月22日 10:26

最近はベンチャー企業を中心に企業経営者の方と飲む機会が多いのだが、昨夜は珍しく歴史のある大手企業の中堅幹部達と宴席を共にした。


驚いたのは麻生財務相の人気が高い事である。理由は誠に以て判り易い、「麻生財務相が大企業の交際費、損金算入拡大を検討」である。

「麻生さんは実際に企業経営をした経験もあり、実体経済を良く理解している」などなど。。。、正に、麻生財務相が大手企業中堅幹部のハートを鷲掴みといった情景だったと思う。

私は、「交際費」は企業組織やその背後にある社会を円滑に動かすための必要な潤滑油だと思っている。

しかしながら、景気が停滞し会社業績が悪化すると、当然「営業マン」が会社経費で飲み食いするのはけしからん!という「正論」が幅を利かす事になる。

「営業マン」も身銭を切って接待出来ないので、顧客とのやり取りもメールや電話が中心となる。結果、鮮度の良い生きた情報が枯渇する。

その結果、先輩が作ってくれた「優良ビジネス」はやがて「薄利ビジネス」に劣化し、更には「赤字ビジネス」に転落する訳であるが、これに取って替わるべき新たな商権が育っていないという事になる。

これが、日本の会社現状の縮図ではないのか? 角を矯めて牛を殺した実例といっても良いだろう。

昨夜の飲み会で一番受けたのは「弁当男子」の話題だった。

率直にいって、50才前後の大企業管理職連中の間では「弁当男子」の評判は最悪の様に思う。曰く、「もっと違った昼飯の食い方があるだろう?」。「そんな事だから、肝心の仕事も出来ない!」といった所か。

「バブル世代」と称され何かと肩身の狭い思いをしている彼らである。普段は息をひそめ大人しくしているが、実は思いは意外と過激だったりする。

彼らの出来不出来は兎も角として、若手社員の上司として会社にいる事は紛れも無い事実である。弁当男子は気を付けるべきであろう。

話の流れで、私の30代の頃の「昼飯」の食い方が話題になった。結果からいうと、「そうですよね!」、「そうあるべきですよね!」と好評であった。

今は、当日とは時代が違うから同じ事は難しいかも知れない。しかしながら、麻生氏により企業交際費への課税が緩和されれば一般社員もその恩恵に浴する事になる。従って、参考にはなると思う。

前にも書いたが、私は31才から3年半中東でも最も僻地とされるイエメンの首都サナアに駐在した。

お陰様で重要案件は殆ど受注する事が出来たのだが、そうなると関連する企業の日本本社社員や欧州駐在員がひっきりなしに出張で来られる。

宿泊は郊外にあるシェラトンホテルを使い、移動は出来の良いタクシードライバーをピックアップしておき、彼らを紹介する事で何とか遣り繰り出来た。

問題は矢張り「飯」。シェラトンのレストラン位しか真面な所はないのだが、何分高額だし味に飽きる。

市内の現地人が利用するレストランは安いし決して不味くはないが、何分メニューがアラビア語なので日本人には意味不明。

思い切って選んだら、羊の脳みその素焼きが出て来たという実話もある。私は実際に食べた事があり(レモンを絞ってかける)、決して不味くはないが(タラの白子に似た味)、矢張り普通の日本人にはハードルが高い。

長々書いたが、結論からいうと昼夜基本自宅に呼びご飯を食べさせていた。

無償援助で上水道プロジェクトの工事を抱えていたので、この工事関係者が5名、円借款事業であるセメントプロジェクトで技術交渉のための東京からの出張者が3名、入札準備のためのサイトサーベイで通信機器メーカーからの出張者3名、合計11名といった所である。

彼らもそこは心得たもので、鰻のレトルトパックとか、直ぐに調理可能な食材をどっさり持参してくれる。従って、こちらの経済的な負担はない。彼らも、その費用は交際費で処理していたと思う。

一方、勤め先の規約で自宅接待は一人当たり@10ドルが支給された。ちりも積もればで結構な金額になったと記憶している。

皿洗いは大変な作業となるが、一日二時間だけフィリッピン人のお手伝いさんを雇い遣り繰りした。お手伝いさんの費用は発生するが、勤め先から受け取る交際費の額に比べれば微々たるものであった。

自宅接待して良かったのは、仕事での人間関係が全くぎすぎすしなかった事である。

矢張り、何時も食事を共にしていると気心が知れ、仲間意識を持つに至る。結果、一緒に仕事を成功させようという気になるものである。

重要プロジェクトでの連戦連勝といえば、何か特別な秘訣がある様に思う人が多いが、実は胃袋で繋がった人間関係が勝因とか、あり得ると思う。

駐在の任期を終え、35才で大阪に帰任しアジア市場への機械の輸出を担当した。

11時頃になると必ず誰かが訪ねて来た。私は、基本来る者拒まずで30分程会社で話をしたら、混雑する前に会社の隣にある行きつけの中華料理屋に案内した。

店の作りは極めて質素で、常連の私は二階に案内される訳だが、テーブルの上にゴルフボールを置いたら転んで行く様な所である(床が傾いていて)。メニューは何とカレー(カレー味の中華丼)と焼きそば、それに何故か小エビの天ぷらのみ。

客は、欲しい情報を私から取ると同時にただ飯に与かろうという横着な思惑でやって来る訳である。

しかしながら、欲しい情報を取るためには何故その情報が必要か説明せねばならない。

このおんぼろな中華料理店の二階でどれ程貴重な情報を入手した事か!

ビジネスは下記過程で生まれ、消えて行く。

何もない状態。従って、私は何となく面白そうだと思って相手と付き合い交際費を使っていた訳である。現在の「正論」でいえば、不適切と断罪されるに違いない。

次いで、おぼろげながらビジネスが見えて来る段階。この段階では当然売り上げが立たないので利益が発生せず交際費というコストのみの発生となる。気が弱いと交際費の申請がし辛いと推測する。

ビジネスが動き出し、売り上げと利益が発生する。この段階となると交際費は利益を生むためのコスト扱いとなり、誰からも後ろ指を指される事はない。しかしながら、私の経験ではこのステージでの接待は余り必要ではない。

最後は、ビジネスが賞味期限切れとなり、優良ビジネスから薄利ビジネスに転落する段階である。手仕舞いをどうするか? 相手方としっかりすり合わせすべきで交際費も必要である。

後ろ向きの仕事と捉える向きも多いが、こういう事をしっかりやってこそ次の新しい仕事に繋がる訳である。

昨夜の飲み会では、こういう調子でだらだら喋ったら割と好評であった。

所で、今の現役の営業マンはどの様に交際費を使い?、如何にして新たなビジネスを創出しているのであろう?

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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