「第2の江戸時代」に必要なソーシャルメディア

2013年07月07日 13:07

辻元さんの記事について、ちょっとコメント。辻さんの持論の資源制約については、少なくとも経済学者の多数派は同意していません。世界全体としては、シェールガスのように未利用だった莫大な資源や、食糧生産技術の進歩のポテンシャルが大きいからです。資源コストは上がるでしょうが、1人あたりGDPも今後100年で少なくとも5倍にはなるので、世界全体で豊かになることは確実です。


しかし日本に限ると、おっしゃるように最大の問題は人口減少と経済規模の縮小にどう対応するかでしょう。今のペースだと、日本の人口は2100年には1/3になり、半分以上が高齢者になります。1人あたりGDPは今と同じぐらいに保てそうですが、こういう社会が経済的な豊かさを目標にすることはむずかしい。

そうすると暇と退屈をいかに処理するかがこれから日本の最大の問題になります。この点で江戸時代は、平和で暇で退屈な時代が300年にもわたって続いた世界史上に冠たる時代で、暇つぶしの技術も極度に洗練されました。特に重要なのは、国家権力と民間の経済が分離されたため、文化が町人たちによって自生的に発展したことです。その精華が吉原でしたが、残念ながらそれをアメリカに強要されたピューリタニズムでつぶしてしまいました。

これから始まる「第2の江戸時代」に必要な暇つぶしの技術として有力なのは、ソーシャルメディアだと思います。それは利潤を最大化する資本主義には適していませんが、情報を最大化するには適しています。コミュニケーションは食事やセックスと同じぐらい基本的な欲望なので、それを満たすネットは、若きマルクスが理想としていた「労働が遊びになる」世界を実現するのかもしれません。

学問も本質的には遊びであり、大学というのは教師の遊びのコストを学歴という幻想を売って稼ぐビジネスです。これからはそんな詐欺のような商売をしなくても、知る喜びをメディアでシェアするビジネスが可能になるでしょう。アゴラは、そういう21世紀のビジネスの実験です。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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