ネット選挙の“当事者”になってみた

2013年07月25日 07:20

2カ月ぶりのアゴラ寄稿。。。ていうかブログも含めて久々。Facebook等では既にカミングアウトしていましたが、初のネット選挙となった参院選は、東京選挙区から立候補していた民主党の現職・鈴木寛さんの広報担当としてお手伝いをしておりました。


選挙終盤戦は、鈴木さんの慶応助教授時代からの教え子たちが結集し、ニコ生で100時間生放送を展開(※写真は、新宿に開設したネット選挙スタジオ「すずスタ」。100時間のプロデューサーで、教え子の錦見たすく愛知県議のブログもご参照ください)。

130720すずスタ外観

24日の朝日新聞の投書欄に視聴した方から「ネット選挙 身近な政治に感動」といった評価もいただきましたが、有権者に「伝わる」技量が私たちに足りなかったことも謙虚に受け止めています。ウェブ空間で支持者の方をも巻き込み、新人候補の陣営とノーガードの情報戦で打ち合った末に負けてしまったのは周知の通り。自民党の橋本岳さんまでが「痛ましい」と評されたほどの激闘でしたが、負けは負け。投票いただいた方に申し訳なく思います。

●冷ややかなマスコミ報道
ただ、初めてのネット選挙の一端に携わった者として政治家の皆さん、あるいはテレビや新聞の報道とは違う視点から、今回の経験を有権者の皆さんに少しずつでもフィードバックしていけたらという思いもあります。テクニカルな課題は「企業秘密」的な部分もあるので現時点では差し控えますが、社会的意義のあることは書き置きたいところです。

終わったばかりのネット選挙を巡っては、マスコミ報道は冷ややかなものが目立つように思います。

代表的なのは、この共同通信の記事のように「ネット情報ごときで投票先を決める人なんか1割しかいませんよ」的なスタンスといいますか、ウェブを見下したり、対抗意識を妙に出したりしている記者たちの魂胆がうかがえます(ちなみに大手ネット企業6社などの調査だと、投票先の参考に使う媒体として、ネットがテレビの倍以上の87%。。。汗)。もちろん、私やスタッフもネットがマイノリティーという現実は分かっていました。100時間生放送は延べ12万人余りが視聴しましたけど、どこまで投票に誘導できたのか効果測定するのは難しいです。

●新しい政治文化を構築
しかし、今回のネット選挙で確実に変わったことがあります。
企業経営者やジャーナリスト、学者、文化人など政治家ではないインフルエンサーがどの候補者を支持するか、ネット上で次々と旗幟を鮮明にしました。鈴木さんの場合は選挙直前に苦戦が予想されると、長年の友人である楽天の三木谷さんが「応援する会」の発起人代表となり、渋谷スクランブル交差点前での応援演説や期日前投票の動画公開など、力強いサポートをいただきました。その後も東浩紀さん、津田大介さん、佐々木俊尚さんらが続々と支持を表明。投票日前日には、フォロワー98万の堀江貴文さんまでが他の候補者との比較の上で支持を呼びかけました。他党でも、自民党の伊藤洋介候補への投票を浜崎あゆみさんがツイート。率直なところ、インフルエンサーの巻き込みがここまで広がるのは予想以上のことで、当落判明後の記者会見で、鈴木さんが「新しい文化を作れたと思う」と語っていたのが印象に残っています。

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一般に日本では人前で政治と宗教を語るのはNGとされています。ネット上で10年前の学術調査結果を見付けましたが、「宗教」ほどのタブー感はないものの、家族や友人・知人などとの会話で「政治」は積極的に取り上げないことがやはりデータに表れています。しかしネット選挙では、政治家から有権者への発信だけでなく、有権者同士がネット上で特定候補の支持を訴えることも選挙期間中に許されるようになりました。振り返れば、情報社会学者でもある鈴木さんがネット選挙解禁を提唱し続けたのは、「有権者同士の議論が深まる」と考えていたから。特定の候補者を支持する以上は、その候補者の政策も議論の俎上にあがるわけで結果的に政策論議も自ずと活発になることが期待されます。

●新聞は警戒するけど・・・
ただ、新聞は、新しい「政治文化」がお気に召さないようです。典型的なのが毎日新聞・本多記者の記事。著名人による特定候補への投票呼びかけに批判的な意図をヒリヒリと感じます。しかし、それこそ新聞がネット選挙で懸念する中傷などの拡散を抑える効果があるのですがね。「表現の自由」の点からも有権者やオピニオンの発信を盛んにして自浄作用を促すのが望ましいでしょう。実際、アゴラでも石井孝明さんが鈴木さんを巡るネット上のデマに関して、第三者の立場からフェアに批評する記事を書いてくださり、ネットの論調に一定の影響を与えました。

日本のネット選挙はまだ始まったばかり。次の衆院選は小選挙区であり、都道府県単位で戦う参院選と違ったネット戦術が求められるのは必至です。アメリカや韓国などの事例を参考に、もう数回の国政選とその間の地方選を経ることで基盤が固まってくるに違いないと見ています。ネット選挙の件は、また追って。

P.S 今選挙では、石井さんのほか、アゴラの皆さんから「結果的に」ご助力いただきました。池田先生にはこちらの不手際で一時ご迷惑おかけしましたが、最後はツイッターで支持を表明して下さいました。また、100時間連続放送で私がニコ生に初出演した折には、常見のアニキが駆けつけてくださり、「田原総一朗論」で盛り上げていただきました。念のためですが、皆さん、鈴木さんと利害関係ございません。末筆ながら、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

※お断り 記事中の「情報戦」について、私たちはネガティブキャンペーンはしておりませんので、悪しからず。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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