政治家になりたきゃ被災地に行け

2013年10月21日 07:00

先週金曜夜、アゴラ・BLOGOSでおなじみの“うさみのりや”君の誕生日祝いに行ってきた。会では、以前拙稿でも紹介した地方議員きってのブロガー、おときた駿都議、維新の会から政界入りを目指す海老澤由紀さんにも初めてお会いし、懇談させてもらった。会の主役である、うさみんは最近、政治家を目指す意向を正式に表明したが、元経産官僚(うさみん)、元外資系ブランド企業(おときた君)、元プロスノーボーダーにして元美魔女ファイナリスト(ゆきりん)――皆さん錚々たるご経歴だ。選挙活動なんて泥まみれの洗礼を浴びる覚悟をしてでも、社会的地位、安定的な収入を投げ打って挑戦する。ロスジェネ世代以下の若い有為な人材が、自分なりに日本の行く末に危機感を抱き、政界を目指す志の高さに感銘を受けた。


●社会起業家から政治家輩出?
最近、筆者は政界入りのルートとして新たに注目しているところがある。それは社会起業家だ。おときた君も選挙に出る前は、復興支援のNPO法人を設立し、被災地にカステラを届ける支援をしていたそうだが、現地には今でも都会から飛び込んできた優秀な若者がいる。いや被災地だけではない。筆者は、政界きってのNPO活動の旗振り役だった鈴木寛さんの選挙を手伝ったのを機に意識するようになったが、震災前からも全国各地で20~30代の優秀な社会起業家の芽がどんどん育ってきている。

鈴木さんの教え子である駒崎弘樹さんを始めとする社会起業家たちと接点が出来るようになり、最近も本業で被災地に出張した際、現地で活躍する方々とお話する機会もあって、気付いたことがある。阪神大震災の頃も、ボランティアや慈善活動色の強いNPO法人の仕事に乗り出した若者も多かったが、今はビジネス感覚を実に持ち合わせている。被災地の復興支援をしている社会起業家は、都会の企業で一定の実務経験を持つ。マネジメントやマーケティング、ITのスキルを身に着け、なかには驚くような一流企業の“脱藩者”もいる。選挙を機に筆者と接点が出来たところでは、一般社団法人「RCF復興支援チーム」の藤沢烈さん。あのマッキンゼーの出身だ。

●実務能力に優れた社会起業家たち
こうした皆さんが優れているのは、PDCAサイクルを的確に回せるマネジメント能力だけではない。震災を機に初めて東北に移住したような人なら、ムラ社会である被災地の人々の輪に溶け込み、誰がその地域のキーパーソンか人間関係の力学を把握した上で仕事を進める。また、被災地以外の社会起業でも、たとえば「プロボノ」と呼ばれる外部の有為な人材のスキルと地域ニーズをうまく融合できるコーディネーターとしての手腕が求められる。さらに筆者が瞠目するのはロビイング能力。これは特に駒崎さんがスゴイのだが、法改正や公的支援など政治や役所にお願いしたい場合にどこの窓口に、誰に、どう話を持って行くか熟知している。

先日被災地に行った際に気付いたのだが、こうした彼らのスキルは、本来ならムラオサ的な存在の地方議員あたりが持っていてもおかしくないし、昔ならそれを専業にしていた(苦笑)。特にインターネット普及前の「農林水産業や土木工事の推進=地域経済振興」の図式だけで良かった時代は、政治家の票田開拓とも一致していた。しかしIT化やグローバル経済の時代になり、地域に導入すべき外の人脈・ノウハウなんて、おじいちゃん議員は付いていけない。地元の産業振興だって、国内の大都市圏、あるいは海外との取引を見据えたプロジェクトが求められる(特に震災後の東北)。そのためにはビジネス感覚、できればマネジメントレベルでの実務経験が欲しいところだが、やはり、その地域の中のことしか分からない、おじいちゃんには難しいだろう。

●秘書上がりの政治家なんて時代遅れ
ネット選挙を導入しても、若者の投票率は上がらず、政治家なんてダサいという20、30代は益々増えているのかもしれないが、こんな時世でも早稲田の雄弁会に入って政治家を志すような奇特な“希少種”がいるだろう。たまに政治的野心が早熟で身に着く余り、議員事務所にインターンとして飛び込んで、そのまま社会経験もなく、私設秘書になっちゃう者もいるかもしれないが、社会経験なしに秘書から政治家になった人間の実務能力については、筆者は懐疑的だ(特に首長や大臣になるなら)。選挙のボランティアを手伝って、事務所に出入りしているオジサンたちから色々学ぶ意義も確かにあるけれど、もし、政治家、それも地方議員ではなく「末は大臣か知事」を夢見る学生さんや若手社会人がこれを読んでいるのなら、被災地支援などで社会起業をやってみると、政治家になっても実践的に使える広い視野と人脈、仕事力が手に入るかもしれません。

ちなみに私は、たまに読売時代の同僚から勘違いされるが、絶対に政治家にはなりません。「三日で失言、三週間でフライデー、三か月で辞職」の憂き目を見るだろうから。わはは。
では、今日はこんなところで。ちゃおー(^-^ゞ

新田 哲史
Q branch
年明けの仕事募集中の広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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