人生の9割は親の夫婦仲で決まる?

2013年10月24日 06:26

人生の9割は親で決まる」ーーそんなタイトルのブログ記事がネット上で話題になっており、いろいろと興味深かった。

俺がまだまだ元気な両親から与えられたものはとてつもなく大きい
・家族の愛情
・諦めなければ、どこからでも逆転できる
この2つを身を持って示してくれたことは、自分の人生そのものだと思ってる
両親は本当におしどり夫婦で、俺ら子供たちの前では一度だって喧嘩をしたこともないし
それどころか映画やテレビを見てる時には、お袋が親父の膝の上に乗ったりしてるのを見せられてた
親父は厳しい人ではあったけれど、お袋は優しくて、その頃は経済的には豊かではなかったけれど幸せだった
家族ってこんなものなんだって、それが自分のベースになっている


といった感じで始まり、「親父」がリストラされたあとも挫折せずに事業を始め、「お袋」の精神的支えもあって成功した。そういった両親あっての今の自分だ。「俺も息子にとって自慢の親父になりたい その背中の大きさで人生の素晴らしさを語れる親で居たい」と語っている。

素直な文章であり、私は個人的に共感する。「人生の9割は親で決まる」といったとき、おおかたの場合、親の年収や職業などを思い浮かべる。たしかに、それらは子どもの学力や学歴、そして年収に大きな影響を与え、格差を固定化していることは周知の事実だ。しかし、ここで注目したいのは、両親がおしどり夫婦で仲が良かった、(起業して成功するまでは)経済的には豊かではなかったけど幸せだったということだ。

この観点は私がかねがね感じてきた考えと一致する。すなわち、両親の夫婦仲の良さこそ、子どもにとっての「最高の教育」であり、「最高の資産」であるということだ。

私自身は5人兄妹で、親は最初から今に至るまで超貧乏、そして母親は私が12歳のときに他界し、以来、いわゆる父子家庭として育った。兄妹はみな中学生から新聞配達を始め、高校にもなるとアルバイトでけっこう稼ぐようになった。大学は自分たちで稼いだお金(か奨学金)で通い、みな卒業した。全員結婚し、親父の孫は12人になり、今も増え続けている。

振り返ってみると、親から勉強しろと言われた記憶はないが、いつも死んだ母親の自慢話を聞かせられていた。いかに二人が仲が良く、今も一緒なんだという話だ。母親がこの世にいないのは正直寂しかったが、父親を通して母を感じてきたような気がする。そんな両親の姿から感じてきた、「自分がこの世に生まれてきたことは良かったんだ」という絶対的な肯定感のようなものは、これまで人生で何度も経験してきた苦しみや挫折を乗り越える力になってきたと思う。金は本当になかったけど、それだけはあったなとつくづく思う。私が東大やハーバードに行けた本当の理由はそんなところにあると確信している。

夫婦関係が子どもの人生に影響を与えるかどうか、学術的な研究があるか定かではないが、感覚的には見当違いな仮説ではないように思える。残念なことに、負の意味合いで、つまり親の離婚が子どもにとって心理的にも、そして結果的に学力にも影響を与える傾向にあることは各方面から指摘されている。そういった現実、そして、皆がみな仲の良い両親のもとで育ったわけではなく、その親を代えることなどできないことを考えると、人生の9割は親で決まるとか、親の夫婦仲で決まるとか無邪気に言い切ってしまうことは、不謹慎なのかもしれない。

それでも、こんなことを書くのは、親が子どもに与える影響の大きさは否定し難い事実であり、それは世間一般に信じられてる経済力だけでなく、夫婦仲の要素ってすごく大きいということ、そして、たとえ親がそうでなかったとしても、自分の代では意識と努力、そして社会的な環境が整っていれば、変えられるんじゃないかって思うからだ。それに、そういった方向に社会も設計されるべきなんじゃないかなと。

たとえば、残業を少なくして家庭での時間を増やすとか、夫婦同伴のイベントを増やすとか。あるいは、父子家庭、母子家庭、社会的擁護が必要な子どもへのサポートは経済面もそうだけど、もっと心理的なものであったり、親族や実家の支え、里親や養子縁組による家庭的環境の提供とか、もっと深刻に考えられるべきかとも思う。物事の物差しがお金オンリーだと、母子家庭への援助制度がありますとか、児童養護施設でこれだけの環境が整えられていますとか、そういう話で終わってしまう気がする。

人生は何があるか分からない。ひょっとしたら親で決まるのかもしれないし、親がどうであれ、自分の人生は自分で切り拓くことは可能かもしれない。夫婦仲とか親子関係とか、個人の問題で他人が立ちいるようなことじゃないのかもしれないが、でもやっぱり、仲のいい夫婦と信頼し合える親子関係が社会のベースなんじゃないかと思うし、少子化とか学力とかGDPとかと同じくらいかそれ以上に重要なことのように感じるのである。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。

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