株式市場はまさに「掉尾の一振」 --- 岡本 裕明

2013年12月26日 11:23

掉尾(とうび)の一振という言葉がこれほど似合う年もないかもしれません。日本の株式市場でクリスマス前後から年末の最終取引日にかけて株価がぐぐっと上がることを言うのですが、まさに今年はその通りとなりました。

なぜ、上がるのか、といえばもともと海外の投資家がクリスマス休みという環境の中、節税対策の売りが一巡することで上がりやすい状況が出来るとされています。


今年は特に昨日が年内引渡しの最終商いで26日からまさに新年度入りとなります。ここで大きなポイントは証券の特別減税が昨日で終了し、26日分から通常の20%に戻ることから個人の換金売りが膨らんでいたことがあります。そして26日からは鳴り物入りのNISAが始まるため、一定量の買いが期待できるのです。そんなことを先読みしてか、25日の日経平均は遂に終値ベースで16000円を超え、一年で日経平均はほぼ2倍という大躍進を遂げました。

ところが個人投資家の損益をみるとどうもそんなに景気のよい話は聞こえてきません。それはNT倍率と称する日経平均とTOPIXという二つの指標の差が12.7倍と近年にない水準まで広がっているためであります。株価ボードを見ると日経平均で重要な構成銘柄であるソフトバンク、ファストリテイリング、ファナックなどが常に注目され、昨日はファストリテイリングの一人舞台だったような気がします。

ただ、ジャスダックや東証二部の指標もこのあたりから回復しそうな気がしております。それは個人好みの値動きの激しい銘柄こそ節税対策のターゲットになっていたと考えられるからです。事実、昨日の後場寄付きの動きはまさに吹っ切れたような空気を見せました。明らかに様相は前場と後場で変わった気がします。

株価とは何か、といわれれば人気投票とも揶揄されたりします。論理性と「人の欲という心理」が微妙なハーモニーを作る世界といいましょうか?ずいぶん前ですが、私はたまたま、仕事の関係で野村證券の田淵節也会長(当時)とご一緒する機会がありました。まだ私が20代も後半になったばかりの頃です。一対一のご接待をしている中で一瞬会長と間が出来たので「私も株を少々たしなみますが、どうやったらうまく儲けられるのでしょうか?」と恐る恐る伺ったことがあります。すると元会長は「わしも分からん。最近の株はコンピューターが判断するからな。ははは。」と。今考えても実にうまい返事であったと思います。

コンピューターの自動売買システムは確かに感情を殺すことが出来ます。ですので勝率も6割以上あるのでしょうか? しかし、人間の欲望は個人、企業、ファンド、海外、国内、老若男女、みな違うとすればその時、その時の主役が株価を決めるといってもよいのかもしれません。

ファストリテイリングやソフトバンクはその点、ファンドが手がけやすい規模をもち、ジャスダックや東証二部では個人が主役ということになり、その判断のベースの世界は大きな違いがあるということでしょう。

専門家の見方は来年は大方晴れが続くという予想です。株価が上がれば株を持っていない人もなんとなく景気がよさそうに見えたのはバブル時代を知っている50代から上の人だけでしょうか? 日本にはさまざまなフォローの風が吹き続けそうなそんな新たなる一年が今日、幕を開けました。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年12月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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