飛び続けられるかどうかの瀬戸際なスカイマーク --- 岡本 裕明

2014年08月07日 10:54

スカイマークの経営環境に厳しさが増しているようです。

社長の西久保慎一氏の略歴を見る限りなかなかのアイディアマンでありますが、元々は工学系、パソコンソフト、パソコン通信事業をへて、「singる」というパソコン通信カラオケで飛躍した方であります。ドコモとの10円メールでの協業もあり、このあたりで事業者としての名前が売れてきたかと思います。

が、2003年、突然、畑違いのスカイマークに私財をなげうって出資、同社は澤田氏のHISグループからも離脱し、独自の路線を驀進していきます。HISはそれでも一定の株式を保有し続けていましたがエアバス社との契約破棄に至りスカイマーク社の経営先行きに不安感が台頭、ここにきて同社株の売却を加速しているようです。


スカイマーク社は最近ではミニスカ制服が話題になりましたが、全従業員にストックオプションを提供し、航空機の座席はグリーンシートと称する幅広のものを採用し、大手でもないLCCでもない独自カテゴリーを作り上げ工夫を重ねてきました。現在の成田から国内各地に飛んでいる路線は将来エアバスA380が導入された後の国際線開設をにらんだ準備段階としての路線でありました。

が、歯車は狂ってしまいました。A380とは全席二階建ての巨大な飛行機。スカイマーク社発注のA380もゆったりめの設計ながら座席数は400もあったのです。飛行機そのものが巨大すぎて通常あるリース市場が存在せず、同社はエアバス社から「購入」という手段を取らざるを得ませんでした。その発注は6機、1900億円余りと巨額であり、うち265億円を前金で支払い済みです。第一号機、第二号機は完成引き渡し間近であったとされています。ところが、それに伴う中間金の支払いがスカイマーク社から滞ったため、エアバス社は契約違反とし、契約破棄となったのであります。

スカイマーク社は立て続けに二つの発表をします。まず、エアバス社からの購入を止めること、二つ目に成田路線を今年の10月で止めることであります。とりもなおさず、同社は海外路線の開設を諦めたということになります。

問題はエアバス社とのディールです。エ社は損害賠償として700億円程度を請求するとされています。これはエアバスとしても大型で特殊な飛行機であるため、転売がしにくいという状況があるのだろうと思います。ただ、エミレーツ航空が140機注文して納入途上にあるため、そちらに回すなどの方法はあるのだろうと思いますが、700億円かどうかは分かりませんが相当額の損害賠償金支払は余儀なくさせられることになるかと思います。

スカイマーク社の財務状況は銀行借り入れがないというより銀行と一緒に汗をかいていないので今さら銀行から借り入れすることは無理であります。とすれば、前払い金の265億円を全額損失計上の上、さらに追加請求を受けた際、同社がそれを受け止める体力は全くありません。資産価値がマイナスになりますから出資者をつのるのは難しいですし、第1四半期の決算もボロボロであります。

となれば選択肢は二つ。ひとつは潰すか、あるいは救済合併してもらうかであります。現実的にはエアバス社と延々とバトルするであろう損害賠償請求を考えれば誰も救済などしたくないでしょうから潰すか運営権と航空機を第三者に売却し、スカイマークそのものをもぬけの殻にして清算会社とするのがベストシナリオなのでしょうか?

航空会社自体の倒産はあまりびっくりすることではありません。一般的には倒産しても運休もせず、飛び続けことが多いのですが、スカイマークが現状のまま飛び続けるには経営の燃料が十分ではないかもしれません。

スカイマークを狂わせたのはLCCとされています。航空機にどんなサービスを求めるか、という点に関しては整備、安全、定刻発着といった最低限の内容に飛行機のクオリティ、食事、サービス、マイレージクラブなどが考慮されるかと思います。その中で機内サービスがなくては困るか、といえば私は正直、どちらでも結構です。飲み物も水1、2本あれば太平洋路線ぐらいOKですし、食べ物は必要なら寿司弁当でも買って乗ります。最近の機内食は改善していますが、頻繁に乗るせいか、最近は食べても半分。「いつものあれか」と思うと食欲は全くわきません。

大手が有利な点はワンワールドやスターアライアンスなど世界レベルのマイレージクラブだと思います。特に出張がちな人にとってアップグレードや無料で乗れるというおまけは思った以上に魅力的なものなのです。座席は新型の787ならシートピッチも幅も以前と比べ全く快適なものですので無理にビジネスではなくても大丈夫です。

こう見ていくとスカイマークは他社と比べ十分な特徴を出せないという問題点を抱えてしまったということではないでしょうか? 経営の先行きはかなり厳しさを増してくるかと思いますが、これを経営判断の誤りとすれば西久保社長の個人商店のような会社だったということなのでしょう。スカイマークが飛び続けられるか、今後の動きに注視したいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年8月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑