シンガポールのしたたかな食糧安全保障政策とは

日本が加盟交渉国として会合に参加しているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、どうも先行きが不透明な感じだ。今ではニュージーランドが、米国や日本、カナダなどに対する抵抗勢力になっているらしい。米国では大統領選挙を控え、担当閣僚の会合が長期にわたって開かれなくなる可能性も高い。

そもそもTPPは、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国間の貿易協定で、2005年に調印され、2006年から発効している。そこに米国が割り込み、日本を取り込もうとしてからややこしくなった。ニュージーランドにしてみれば、大国の横やりに我慢ができなくなった、という気持ちもあるだろう。

四カ国の一つ、シンガポールは成功した都市国家として有名だが、国土の1%ほどが農地で食料品の大部分を輸入に頼っている。関税がない自由貿易国でもあり、世界中からありとあらゆる食糧を輸入しているわけだが、表題の記事では同国の考え抜かれた食糧安全保障政策について紹介している。

食糧を海外に依存しているシンガポールは、米国に次いで食糧の安全保障が有効に働いている国だそうだ。輸入先を分散させ、多様化させてバランスを取りつつ、弾力性を高めてリスクを回避している。輸入先の国との関係を友好的にするのも重要だ。また、最近では自給率を高める政策も積極的に進めている。

また、中間貿易国として食糧もシンガポールの輸出品にもなっている。米国やブラジル、オーストラリアなどの農業ビジネスへ投資することも忘れない。シンガポールの食糧安全保障政策は、日本も参考になるのではないだろうか。

THE DIPLOMAT
Singapore’s Impressive Food Security


理想的な軍事政権
アジアの放浪者
90年代の初めごろ、韓国のソウルへ行ったとき、コリアナホテルの裏あたりへ迷い込んだんだが、いきなり警備兵に取り囲まれて厳しい口調で誰何され、驚いたことがある。あのあたりは米国や英国、ロシアなどの在外公館が多く、警備も厳重だが、そのものものしさに朴正熙や全斗煥の軍事政権下の状況を彷彿とさせられたものだ。この記事ではタイの軍事政権について紹介している。タイでは2014年8月に立憲君主制になって以来19回目の軍事クーデターが起き、陸軍総司令官のプラユット・チャンオチャが第29代の首相に就いている。それ以前、タイではタクシン派と反タクシン派がバンコク市内を占拠し、大混乱に陥っていたが、同国では恒例の軍事政権ができて治安が回復しているようだ。半戒厳令下のタイだが、その不自由さと社会混乱を天秤にかければ、強権高圧的ではない軍事政権のほうがまだまし、というわけなのだろう。

2016年モデルの導入で「ベントレー」各モデルの価格を改定
clicccar
失敗したアベノミクスで一種のスタグフレーションになっている日本では、ますます経済格差が広がり、富者はより富み、貧者はより貧しくなっている。衣食住でも同じで、かつての「豊かな中間層」が絶滅したせいか、街中に安かろう悪かろうのユニクロや安かろう不味かろうのマクドナルドばかりが目立つ反面、ごく少数の富裕層向けの商品もそれなりに売れているようだ。この記事では、超高級車ベントレーの新型を紹介している。後部座席に乗るならロールスロイス、自分で運転するならベントレーと言うが、さすがに2000万円を超えるクルマとなると買える層は限られるだろう。

The Awesome Scale Of The New Apple Campus, Captured By Drone
Fastcodesign
米国カリフォルニア州のクパチーノと言えば、Apple社の総本山がある街だ。ほかにもシマンテックやHP、Facebookなどがある。そのApple社が新社屋を建設中のようだが、巨大な円周状の建築物らしい。円周状の建造物では、ペンタゴンやCERN(Europian Organization for Nuclear Research、欧州原子核研究機構)がフランスとスイスの国境に作ったハドロン衝突型加速器がある。この加速器、全周は約27Km。山手線ほどの大きさの装置だが、これは一種のトンネルだ。Apple新社屋はペンタゴンより少し大きく、素粒子がグルグル回ることもなく、実際にこの中で1万3000人の従業員が働くことになるらしい。

Débarrassée de son père, Marine Le Pen veut éconduire les “clandestins”
L’EXPRESS
シリアなどからの難民でヨーロッパ各国が対応を迫られているが、とりわけドイツやオーストリアはその対応に苦慮しているようだ。彼らが目指すのは経済的に豊かな国であり、ハンガリーやバルカン半島の国々は通過点に過ぎない。フランスはシリアのアサド政権に対して攻撃し、米国とともにシリア内戦を間接的に引き起こした犯人だが、この記事ではフランスの右翼政党「国民戦線」の党首、マリーヌ・ルペンの態度について解説している。国民戦線はもともと移民排斥をスローガンにしているが、反グローバル主義でもある。右翼やヤクザがグローバル化に対するドメスティックな参入障壁なのは日本も同じだが、日本の場合、新自由主義者に両者とも切り崩されつつある。右翼的言動をとる自民党の女性議員は多いが、彼女たちの多くは「米国追従右翼」という論理矛盾の典型だ。フランスの右翼は、その点で彼らよりずっとしたたかで歴史的に筋金入りかもしれない。


アゴラ編集部:石田 雅彦