中国の経済成長の仕方は何が違うのか?

2015年10月21日 10:10

中国の7-9月期GDPが発表になり、事前予想の6.8%を上回る6.9%で着地しました。この数字はある意味、パーフェクトな着地点でお見事しか言いようがありません。私が数字を作るならやはりこのあたりを落としどころにしたと思います。

それは7%という大きな節目を下抜けるネガティブな意味と事前予想より若干上回るポジティブな意味で中和されるということであります。意図したのかどうかわかりませんが、本来ならばもう少し下げなくてはいけないGDPですが、様々な要因で「補正」を急げない事情もあるでしょう。基本的には今後もじわじわとこの高度を下げ続け2年程度で5%ぐらいまで達成することになる気がします。あくまでもこれは経済の実態と関係がなく、恣意的な操作があるという前提ですが。

こう言っては元も子もないのですが、安倍首相が提唱するニッポンのGDP600兆円においてもGDPの算出方法に研究開発費などを参入する新基準を導入する予定で、この結果、20兆円以上ポンと上がる見込みです。つまり、統計の数字とはその計算根拠をどういじるか次第だということです。

よって、中国のGDPが本当はいったいどれ位なのか見当もつきませんが、経済成長という観点からみて少し気になっていることがありますので記してみたいと思います。

日本でもアメリカでも欧州でも経済成長を謳歌していた時代はモノの開発が次々と進んでいた時代です。例えばテレビなら白黒からカラー、画質も徐々に向上し、液晶に到達します。その間、消費者は明白なる違いを感じ、ほぼ誰でも「新しいのが欲しい」と思わせる段階を経てきました。音楽でもレコードプレーヤーからカセット、CD,MDと経てダウンロード型に変わっていくわけです。その間、多くの消費者はそのディバイスを購入し、その時々の進化する技術を愉しんでいました。むかしトヨタのコマーシャルで「いつかはクラウン」というのがありましたが、あれこそ、消費を重ねて最後に頂点に達する消費の重層化の仕組みそのものでした。

今、中国で売られているテレビは液晶です。白黒でもなければブラウン管テレビでもありません。つまり、初めから最新型でこれ以上一般消費者が品質の違いを明白に感じないレベルのものを初めから入手することが出来ます。

その結果、購買意欲はテレビに注がれることはなく、音楽もスマホでダウンロードする手軽さを初めから堪能することになります。とすれば、日本やアメリカの消費者がテレビや音楽プレーヤーに人生を通じて相当額費やしているのに対して中国の人はそれこそ10万円で最新型を入手し、長期にわたって愉しむことができるのです。

これではモノに対する欲求が高まらず、消費者はよりサービス産業にその消費をシフトしていきます。よって、旅行、飲食に対する支出の比率がより高まりやすいことになります。

中国が今、経済低迷に悩んでいるのは本来であればリーマンショック直後に施した巨額の内需振興策が国民全体に広くいきわたるようにすればよかったのですが、都市部と農村部で明白な差別化が発生し、且つ、市場原理に基づく需給の自然調整機能が政府の一存ののみで推進されたことでほぼワークしなかったこともあります。

つまり、現在の中国は明らかに2009年から始まったハコモノ傾注の経済振興策の反動とその在庫調整に時間がかかっているということではないでしょうか?在庫調整であれば、いつか必ずその調整は終了しますし、淘汰されるべきものは早くされたほうが回復は早くなります。また、理論的には農村部の改革を行い、国民の半分近いその従事者の中流化を推し進めれば良いと考えます。

同様の問題はインドでも起きる可能性があります。個人的にはインドの萌芽の方が中国経済よりも大きなインパクトがあると考えているものの、同国もカーストの名残と一部のエリート層がIT産業という最先端部門を担っていることでもっと大きなひずみを抱えていると考えています。

産業も我々の時代には軽工業から重工業、そして精密、ITといった成熟化の段階を経ています。中国でもこの部分についてはきちんと軽工業からスタートしているのです。しかしながら、インドはしょっぱなからITという3段跳びになっていることでかつての日欧米が経験した産業育成のステージを経ていません。

これは中国が今、格差社会で悩んでいますが、インドはもっと激しい差別化が生じることを意味します。

つまり、このままいけば私が唱える経済の大車輪である中流層による経済活性化に支障が生じることになってしまいそうです。

我々日本人は夢の実現化の為には長い年月の間、辛抱と忍耐で一歩、また一歩と登っていったと思います。ところがひとっ跳びに物質文化を先進国並みに謳歌するならば精神面でなにか置き忘れていることが出来てしまうでしょう。このひずみが中国やインドで今後、どのように調整するのか、非常に難しい問題になろうかと思います。

少なくとも今の中国は13億の民のうち、2-3億人だけを見れば成功し、中流を勝ち取ったようです。が、残り10億人は踏み台のまま終わるのか、これが習近平国家主席が歴史に残る人物となるのか、大きな境目となる気がします。

今日はこのあたりで。

岡本裕明 ブログ外から見る日本、見られる日本人 10月21日付より

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